【マンガ】『映像研には手を出すな!』5巻―音響スタジオを作ろう【2020年1月~アニメ化/5月映画化】
『映像研には手を出すな!』大童澄瞳 / 小学館
⇧最新刊の5巻は、2020/1/30発売。
2020年1月5日からアニメ放送がスタートしました。
(NHK総合・毎週月曜午前0時10分~0時35分放送)
監督は湯浅政明さん。
メインの3人は伊藤沙莉さん、田村睦心さん、松岡美里さんが担当されています。
2020年4月5日からTVドラマがスタートします。
(MBS、全6話、TBSは4/7から放送)
2020年5月15日から実写映画化も予定されています。
メインの3人は、乃木坂46の齋藤飛鳥さん、山下美月さん、梅澤美波さんが担当されます。
順番に浅草みどり役、水崎ツバメ役、金森さやか役です。
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【マンガ】『映像研には手を出すな』5巻 / 音響スタジオを作ろう【2020年1月~アニメ化/初夏に映画化】
<1~4巻までの設定解説>
高校に入学しアニメ制作に挑戦したい、人見知りで気弱な主人公・浅草みどり。
お金儲けが大好きな、マネジメント能力に優れた現実主義者・金森さやか。
カリスマモデルなのにアニメーションを作りたいセレブ・水崎ツバメ。
彼女たち3人が出会い、アニメを作るための部活(映像研)を作るところから物語は始まります。
浅草は小さい頃から「設定」を考えるのが大好きでした。
彼女は、自分の頭の中で想像しているものこそが「最強の世界」だと信じています。
それを具現化することが彼女の行動原理であり、何よりもやりたいことでした。
彼女の趣味は探検です。
水崎はモデルをやりながらも、動きの細部までこだわったアニメーションを作ることに情熱を持っています。
昔から「人物」を描く練習もしていたので、画力はすでにかなり高いです。
その代わり、背景を描いたり設定を考えたことはありません。
金森は小さい頃からお金儲けが大好きで、徹底した合理性とマーケティング能力で大人たちを圧倒していました。
高校生になった今では、そのビジネスの才覚にさらに磨きをかけていこうと考えています。
3人が力を合わせることで、アニメ制作に必要な才能が集まったのです。
3巻では、音響部の百目鬼(どうめき)が仲間に加わりました。
彼女は廃部の危機にありながらも、一人で毎日ひらすら日常生活で発生する音を録音していました。
映像研と音響部が合併したことで、長年蓄積された音響資料は、浅草たちのアニメの効果音にも使えるようになりました。
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<5巻のあらすじ>
映像研の仲間に加わったものの、 4巻までの百目鬼の活躍はひっそりとしか描かれてきませんでした。
彼女はすでに多種多様でハイクオリティな「音」を持っていたので、浅草たちの技術の向上(作画での試行錯誤)を先に描く必要があったからです。
5巻では、いよいよ音響にもこだわったアニメ制作が始まります。
ある日の放課後、浅草と百目鬼は川に探検に出かけました。
彼女たちはザリガニ釣りやドングリ拾いをしている途中、大きい横穴を発見しました。
中に入って進んでいくと、穴を出た先の草むらの中に、ボロボロの時計塔を見つけました。
時計塔には鐘が付いており、百目鬼は鐘が鳴る音を録音しようとしますが、その瞬間に時計塔は壊れてしまいました。
鐘の音を録り逃がした百目鬼は悔しがり、何とかして時計塔を直せないものか金森に相談しました。
時計塔の所有者を調べてみたところ、それは書店経営している金森の知り合いのものでした。
とはいえ、直すお金も壊すお金もないので、時計塔は壊れたまま放置されるようです。
映像研の4人は、所有者に頼んで壊れた時計塔の中に入れてもらいました。
すると鐘は木製の広い板だと判明しました。
板は完全に割れていて直しようがありません。
浅草が「これはセコイアデンドロン(世界最大の木)では?」と口にしたことで、金森は金儲けのアイデアを思いつきます。
浅草と百目鬼は、「今や幻になってしまった時計塔の音をアニメで蘇らせよう」と考え、時計塔を題材とした作品をつくり始めました。
今回の作品では音は特に重要な要素なので、映像研の部室の地下に「録音スタジオ」を作ることにしました。
一方金森は、実際の時計塔を復活させるため、アニメの宣伝を積極的に展開し、大勢の集客を見込めるよう奔走します。
果たして、どんなアニメが出来上がるのでしょうか。
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<まとめ>
4巻で主人公・浅草のアニメ制作は、ひとつの達成(区切り)を迎えました。
5巻では彼女はサポート役に回り、音響にこだわった作品をつくります。
今回は音響担当の百目鬼が活躍します。
百目鬼もまた、浅草や水崎と同様にこだわりが強いです。
壊れてしまった鐘の板の音を再現するため、大きな木製の板を探し回ります。
彼女たちの作品のクオリティの高さは、彼女たちのこだわりと行動力に起因していることが分かります。
1巻から変わらず、ものづくりの根源的な楽しさ、面白さ、ワクワク感を味わえる漫画です。
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【マンガ】『美食探偵 明智五郎』―食事から犯人を割り出すミステリー【2020年4月~ドラマ化】
『美食探偵 明智五郎』東村アキコ / 集英社
⇧1巻は2016/2/25発売。
最新刊の5巻は、2018/6/25に出ました。
2020年4月からドラマ放送が開始されます。
(日曜放送 / 日本テレビ)
主演は中村倫也さん、その相棒役は小芝風花さんです。
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【マンガ】『美食探偵 明智五郎』/ 食事から犯人を割り出すミステリー【2020年4月~ドラマ化】
<〇〇探偵>
世の中には、『〇〇探偵』とタイトルの付いたミステリーがたくさんあります。
「〇〇」の部分には職業が入ります。
古書店主、司書、会計士、銀行員、執事、家庭教師、物理学者、ソムリエ、靴屋など何でも当てはまります。
彼らがその専門知識を活かして、遭遇した事件の謎を解いていくというストーリーです。
『〇〇探偵』の特徴は、「〇〇」の方が本業であって、決して探偵を生業としているわけではない点です。
つまり古書店主や司書が、実際の探偵の真似事をするだけです。
彼らの専門外の事件については手も足も出ませんし、警察の捜査方法に詳しいわけでもありません。
そしてミステリーではあっても、ガチガチにトリックに凝っているものは少なめです。
一方、これから紹介する『美食探偵 明智五郎』は違います。
探偵が本業で、さらに美食家であるという意味のタイトルです。
探偵や警察の捜査過程もけっこうしっかり描かれています。
扱う事件の謎は、「食」にまつわるものです。
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<あらすじ>
主人公は私立探偵の明智五郎。
彼は「食」にこだわりを持っていて、毎日高級レストランで食事をしています。
とはいえ、有名な店や高級な店でないと食べないわけではありません。
毎食おいしいものを食べないと気が済まないだけです。
ただ、食事のマナーには厳しめです。
最近の明智は、彼の探偵事務所の近くでワゴン販売している弁当にハマっていました。
ワゴン販売しているのは小林苺(いちご)です。
売り物の弁当は、すべて彼女の手作りです。
明智は支払いをカードでしようとしますが、ワゴン販売にそんな決済システムはなく、どんどんツケが溜まっていきます。
さらに明智は車も免許も持っていないので、移動手段に小林のワゴンを使おうとします。
ある日、明智が食事していた高級ホテルで死亡事件が起こりました。
被害者は若いフリーターのカップルで、死因はシアン化合物による毒殺です。
彼らは朝8時に朝食のルームサービスを頼んでいたことが判明しています。
捜査のため、明智は別室で同じ朝食を頼んでみました。
メニューは、フレンチトーストとフルーツの盛り合わせと紅茶です。
小林は厨房に潜入して朝食を作る過程を観察し、明智の部屋まで運ばれるまでの道のりを調べました。
その結果、毒を盛るタイミングは、人気のない廊下しかないことが分かりました。
つまり犯人は、メイドに変装してルームサービスを持ってきた者だということです。
明智はフレンチトーストを食べてみて、こう言いました。
「このふんわり優しい味のフレンチトーストじゃ、シアン化合物を混入しても一口食べて吐き出してしまう」
シアン化合物は味が強烈で、口の中に痛みが走ると言われているからです。
当然、フルーツを食べても分かります。
また、胃の内容物の分析結果から、被害者はメロン、洋梨、ブドウ、リンゴを食べていたことが判明しました。
ところが明智の食べたフルーツ盛り合わせに、リンゴはありませんでした。
つまりリンゴは持ち込まれたわけです。
状況的には、リンゴと一緒にシアン化合物を被害者に食べさせた可能性があります。
一体犯人は、どうやって被害者たちにシアン化合物を飲ませたのでしょうか。
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<まとめ>
美食家の探偵が、「食事」という観点から殺人事件の謎を解いていきます。
著者の他の作品のようにギャグは多めですが、ミステリーの部分はガチで考えられています。
犯人はすぐに分かりますが、犯行方法は見抜けないでしょう。
明智や小林はもちろん、他の脇役キャラクター達もキャラが立っていて面白いです。
殺人事件や謎がなくても、彼らのやりとりだけですでに作品として成り立っています。
セリフ回しも上手く、説明臭い部分がまったくありません。
ベテラン作家ならではの、非常に安定感のある作品です。
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【マンガ】『Dr.キリコ~白い死神』―ブラック・ジャックの天敵の物語
『Dr.キリコ~白い死神』sanorin・藤澤勇希 / 原作:手塚治虫 / 秋田書店
⇧1巻は2016/10/20発売。
最終刊の5巻は、2019/1/18に出ました。
<Dr.キリコとは>
Dr.キリコ(ドクター・キリコ)というキャラクターをご存知でしょうか。
手塚治虫の『ブラック・ジャック』に登場する、安楽死を専門にしている医者です。
ブラック・ジャックは、その天才的な手術で何としても患者の命を救うことを信条にしています。
一方Dr.キリコは、無闇に延命することは人の幸福には結び付かないという信条を持っています。
つまり二人は対極の立場にあるのです。
Dr.キリコは「死神」「殺し屋」として業界内では恐れられていますが、進んで人を殺しているわけではありません。
彼にとって安楽死は、あくまでも「生きようとする意志がなく医術的にも手の施しようのない患者への最終救済手段」であり、治せる患者は治します。
安易な自殺志願者に手を貸したりはしませんし、大金を積まれても事故に見せかけた殺人を請け負ったりもしません。
またDr.キリコは、ブラック・ジャックほどではないものの、依頼者から高額の処置料を取ります。
彼は安楽死を神聖なものとして考えていますし、依頼者の覚悟を試しているのかもしれません。
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<あらすじ>
主人公のDr.キリコは、元々は軍医でした。
彼は戦場で手足を潰されても死ねない多くの患者を診察しました。
そこで患者に毒を注射したところ、彼らはキリコに心から感謝して死んでいきました。
その経験から、キリコは見込みのない患者に安楽死を与える医者になりました。
この作品は『ブラック・ジャック』と同じで、1話完結型の漫画です。
第3話「託される願い」を以下で紹介します。
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夜遅く、キリコの自宅兼診療所に男が訪ねて来ました。
男は息子の郁馬(いくま)を背負っていました。
男は急に苦しみ出した息子を助けてくれるよう、キリコに懇願しました。
夜間救急病院に行くようキリコは言いますが、男はすでに多くの病院でたらい回しにされた後でした。
外見からお金を持っていなさそうなので、診療を断られたのです。
仕方なくキリコは郁馬を診察し、その結果、虫垂炎と腹膜炎だと判明しました。
緊急手術が必要でしたが、手術代の100万円を男が本当に払えるのか、キリコは再度確認しました。
男は「息子の命を値切るようなマネはしねえ!絶対に払ってみせる」と約束しました。
その後、手術は無事に終わり、郁馬はキリコの家で1ヶ月入院することになりました。
男は病気だった妻の治療費と葬式代で、貯金を使い果たしていました。
だから彼は日雇い労働で毎日1万円を稼ぎ、それをそのままキリコの家に持って来ます。(そのペースで払えば、4ヶ月で完済できます。)
やがて郁馬の退院の日がやって来て、男と二人で家に帰っていきました。
すると翌日から男は返済にやって来なくなりました。
「退院すれば後の治療費は払わずに逃げる」というのはよくある事だと、キリコは諦めかけました。
ところが1週間後の夜、郁馬が一人でキリコの家にやって来て、父を助けてくれるよう懇願しました。
男は働きすぎによって食生活が乱れ、かなり進行した腎炎になっていたのです。
腎臓は完全に機能を失っており、他の臓器も機能不全の状態です。
さらに足の末端は壊死を起こしており、切断するしかありませんでした。
病院に連れて行ったところ、2500万円の手術代と治療費がかかると言われました。
果たして、手術は行われるのでしょうか。
キリコはどうやって男と郁馬を救うのでしょうか。
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<まとめ>
ブラック・ジャックの天敵・Dr.キリコが活躍する物語です。
彼が延命では救われない魂を、安楽死によって解放していきます。
世の中にはブラック・ジャックのような天才外科医はほとんどいませんし、天才だからといって全ての患者を救えるわけでもありません。
天才でもどうしようもない状況は意外と多く、そういった事例がこの漫画では描かれています。
「治して救うだけが医者の使命か」というのは、いつの時代も考えさせられるテーマです。
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【小説・ミステリー】『月の落とし子』―月から出土した未知の致死病原体が地球へ!
『月の落とし子』穂波了 / 早川書房
⇧2019/11/20発売(ハードカバー)
SFミステリーです。
第九回アガサ・クリスティ―賞で大賞を受賞しました。
同時受賞した『それ以上でも、それ以下でもない』(折輝真透)の
紹介記事はこちらをクリック⇩
<パンデミック系SF>
未知の細菌感染によるパンデミック系SFは、アメリカドラマをはじめとして、今やかなりおなじみのネタです。
これは「災害パニックもの」の一つに該当します。
人為的な原因による「災害パニックもの」で、代表的なものが核爆発(核戦争)です。
ただ「核」というネタを使うと、ストーリーの大筋が「爆発するかしないか」の二つにほぼ決まってしまいます。
これでは「意外な展開」が起こりづらくなります。
だから著者は人間の生き方だとか、人生哲学だとかの内省的な方向に舵を切ることによって、作品の深みだったりオリジナリティを見出そうとします。
(あるいは政治的かけ引きにシフトします。)
SFにはそういったジャンルもあるので、批判しているわけではありません。
ただ「パニックもの」を期待している読者の方にとっては、「核」が題材だと肩透かしを食らう可能性があるということです。
一方、「生物・化学系の災害」つまり細菌感染のパンデミックは、「核」とは違ってラストまでどうなるか分かりません。
病原体が伝染していっても治療薬があれば対抗できますし、治療薬がなくても感染地域を焼却すれば一時的な応急対策にはなります。(非人道的ですが・・)
・治療法は確立されているのか(方法すら模索中か)
・治療薬は開発されているのか(開発途中ならどの段階か)
・治療薬のレシピはごく少数しか知らないのか(一般には知られていないのか)
・治療薬は感染者に行き渡るほど十分な量があるのか(生産は間に合うのか)
・治療薬を被災地に届ける手段があるのか(輸送は間に合うのか)
といった様々なレベルでのシチュエーションがありえます。
「核」のように爆発したらもう終わり、ではなく、逆転の手段が残されている点が「パンデミック系SF」の面白さでもあります。
この小説では、月の裏側から出土した未知の致死病原体(ウィルス?)が登場します。
発症から解決までの流れが実にスリリングです。
⇩エボラウィルス
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<あらすじ>
時代は現代か少し先の未来。
月面を調査する「オリオン計画」の第3回目。
5人の宇宙飛行士たちはオリオン3号で月を訪れました。
アポロ計画の6機の着陸船は全て月の表側に降り立ちましたが、現在、人類が注目しているのは月の裏側です。
第3回オリオン計画には、月の裏側のマグネシウム分布などを調べるため、土壌試料を採取して持ち帰るというミッションがありました。
採掘場所は、南極の盆地に点在しているクレーターの中です。
船外活動は船長と副船長が担当しました。
それは技術的には不安のない、栄光に満ちたミッションになるはずでした。
ところが船外活動中に船長が苦しみ始め、数分後には副船長も同様の状態になりました。
二人は突然吐血し、1時間後に死亡しました。
全くの原因不明事態でしたが、船長たちを月に残したままにしておけません。
残りの生存者のうちの二人(工藤晃とエヴァ)は、遺体の回収に向かい、無事に宇宙船に帰還しました。
船長たちの遺体の様子は、ウィルス性の出血熱の症状に似ていました。
ただエボラ出血熱などと違うのは、潜伏期間に自覚症状はなく、発症すればあっという間に死亡してしまうという点です。
晃は最初は宇宙にウィルスが存在するとは信じられませんでしたが、エヴァは「宇宙だからこそ、あり得ない可能性も考えないといけない」とたしなめます。
感染症だとして、一体船長たちはいつ感染したのでしょうか。
宇宙に来る前から感染していたという可能性は、出発前に徹底した検査を受けたのであり得ません。
宇宙船に病原体が付着していたり、一緒に連れて来たマウスが感染していた可能性も、議論の末、棄却されました。
結局、月の土壌に病原体が潜んでいた可能性が高そうです。
生き残った宇宙飛行士たちは地球に帰還しようとしますが、オートパイロットが故障していました。
なんとか手動操縦を試みますが、人工衛星に衝突して、意図しないタイミングで地球に落下することになりました。
果たして生き残った宇宙飛行士たちは、無事に地球に着陸できるのでしょうか。
地球に到着した未知の致死病原体を、人類はどうやって根絶するのでしょうか。
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<まとめ>
月の裏側から土壌採取した5人の宇宙飛行士たちが、未知の致死病原体に感染します。
発症すれば、短時間でほぼ確実に死に至ります。
宇宙飛行士たちは何とか犠牲者を最小限にしながら、地球に帰ろうと試行錯誤します。
宇宙船は地球に到着しますが、そこから病原体が感染を広げていきます。
超絶にスケールの大きい、災害パニックSFミステリーです。
ピンチに次ぐピンチで、息つく暇がありません。
冒頭から最後まで退屈な部分が一切ない、見事なストーリーでした。
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【マンガ】『戦争は女の顔をしていない』1巻―独ソ戦争に参加した女性たち
『戦争は女の顔をしていない』小梅 けいと / 原作:スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ / 監修:速水 螺旋人 / KADOKAWA
⇧1巻は2020/1/27発売
独ソ戦争で、前線に参加した女性たちの話です。
この漫画の原作は、2015年にノーベル文学賞を受賞したスヴェトラーナ・アレクシエーヴィチさんです。(訳:三浦みどり / 岩波現代文庫)
<独ソ戦争について>
独ソ戦争とは、第二次世界大戦のうち、ドイツとソ連の間で展開された戦争のことです。(1941年6月~1945年5月)
もともとドイツとソ連は、1939年に独ソ不可侵条約を結んでおり、お互いに戦わないことにしていました。
しかし1941年6月に突如ドイツが条約を破り、ソ連に侵攻してきたことで戦争は始まりました。
ドイツの侵攻は不意打ちとなり、ソ連領の奥深くまでが戦場になりました。
最終的にはソ連はこの戦争を耐え抜き、ドイツの首都ベルリンを攻略し、ナチス・ドイツを倒すに至ります。
しかしその犠牲は極めて大きく、ソ連は軍人・民間人を合わせて2700万人が亡くなりました。
一方、敗戦国側のドイツの戦死者の数は800万人でした。
当時のソ連軍の特徴として、前線に女性兵士も多数参加していました。
男女同権を唱える社会主義の理想がそれを後押ししたのです。
そして彼女たちは男性と違って徴兵されたわけではなく、自らの意志で戦場に向かいました。
動機は愛国心や敵への憎悪など様々です。
とはいえ男性と同じように動けるはずもなく、非常に苦労されたようです。
この漫画では、そんな独ソ戦争の前線に参加した女性たちの体験談が描かれています。
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<あらすじ>
ソ連では第二次世界大戦で100万人をこえる女性が従軍しました。
看護婦や軍医だけでなく、兵士として戦争に参加した人達も大勢います。
戦後、そういった戦争体験は隠され、語られることはありませんでした。
しかしジャーナリストであるスヴェトラーナ・アレクシエーヴィチさんの聞き取り取材により、500人にのぼる証言が集められました。
この漫画の1巻では7話が収録されており、
洗濯部隊、軍医、狙撃兵、衛生指導員、看護婦、高射砲兵、通信兵、一等飛行士、機関士など様々な役職に就いた女性兵たちが登場します。
いずれも過酷なエピソードが語られています。
その中の通信兵の話を以下で紹介します。
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マリヤ・セミョーノヴナ・カリベルダ軍曹は、通信兵として前線に参加しました。
彼女は長く「女であること」でバカにされ続けていたので、男の兵士に劣らないことを証明しなければならないと考えていました。
「やっぱり女は・・」と言われないために、男たちよりも頑張って働きました。
暑い夏、毎日 30kmの行軍がありました。
200人の女性兵士の後を、200人の男性兵士が歩いています。
マリヤたちが通った後には赤いシミが砂に残りました。
生理の血です。
ソ連軍には女性用下着はもちろん、脱脂綿や包帯すら不足していたので、女性兵士たちはズボンを血だらけにしながら歩くしかなかったのです。
血が乾ききったズボンはガラスのようになり、さらに内側の皮膚を傷つけます。
マリヤたちが渡河点に着いた時、ドイツ軍の空爆が始まりました。
男たちは急いで物陰に隠れましたが、女たちは爆撃の音もかまわず河に向かって走り出しました。
一刻も早く水の中に入って、ズボンの血を洗い落したかったからです。
数人の女性兵士たちは、そのまま水の中で空爆を受けて亡くなりました。
生き残ったマリヤは後に語ります。
「恥ずかしいって気持ちは、死ぬことより強かった」
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<まとめ>
独ソ戦争で前線に参加した、女性兵士たちのエピソード集です。
男性兵士たちももちろん過酷な戦場で苦労してはいますが、女性兵士ならではの苦労もあります。
洗濯部隊の現場の悲惨さなどは、他ではあまり知ることのできない話です。
日本以外の戦争にも興味を持っている方におすすめです。
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【小説・文学】『背高泡立草』―母の実家の納屋と島にまつわる話【第162回芥川賞】
『背高泡立草』古川真人 / 集英社
⇧2020/1/24発売。
第162回芥川賞受賞作です。
<かわいそうな風景とは>
我々は、人間以外の動物に対しても「かわいそう」と感じることが出来ます。
さらに生き物以外を目にした時にも、そう感じる瞬間があります。
例えば、
・壊れて遊べなくなったおもちゃ
・綺麗に盛り付けられたけど食べられることはなかった料理
・大切に履いていたいたけど穴が開いてしまった靴
などです。
これらは自分の日常生活に近いものですが、自分の生活とほとんど関係のないものまで「かわいそう」と思えることもあります。
ちょっと想像してみて下さい。
昔に建てられた木造の納屋があったとします。
長い年月の間に風雨にさらされ、屋根には穴が開き、トタン部分はサビだらけで、外壁には苔が張り付き、内部は湿気でカビ臭くなっています。
今では誰も使う者はおらず、周囲には雑草が大量に生い茂っています。
納屋はもう朽ち果てるのを待つしかありません。
この風景を目にした時、あなたはちょっとした寂しさを感じたり、「かわいそう」と思ったりしませんか?
この小説にはそんな納屋が登場します。
主人公たちは、休日を丸々かけて、納屋の周りの草を刈ります。
主人公たちは明るいですが、対照的に納屋は寂しそうです。
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<あらすじ>
主人公・大村奈美(20代後半)は、せっかくの休日を潰されて不満タラタラでした。
母(美穂)が従姉妹と一緒に、母の実家にある納屋の周りの草刈りに参加するよう強制してきたからです。
納屋は20年以上も前に打ち棄てられており、今や誰も使う者はいません。
奈美はそんな場所の草刈りをする必要性をまるで感じなかったのです。
当日の朝、奈美を車で迎えに来た美穂は、「あんまし草茫々やったら、みっともないじゃん」と言いますが、奈美は納得いきません。
誰も使わないのだから別に草茫々でもいいだろうと反論しますが、「放っておいたらかわいそう」という妙な理屈で押し切られてしまいます。
奈美は渋々車に乗りこみ、福岡から美穂の実家の長崎の島に向かいます。
奈美はなぜ皆そこまで納屋を気にかけるのか気になり、美穂や伯父や祖母に、納屋やその近くにある【古か家】と【新しい方の家】の来歴を聞きました。
美穂の実家の吉川家では、戦前は【新しい方の家】で酒屋をしていて、戦中に廃業になり、【古か家】に移り住んだそうです。
【古か家】を売った男は、その後に一攫千金を夢みて、満州に旅立ちました。
【古か家】のある島では、いつの時代も色んな者がやって来たり、出て行ったりしました。
江戸時代には、捕鯨でトドメを刺す役の「刃刺」の男が漁のために蝦夷に向かったり、
戦後には、難破した船から島の漁師たちが多くの人達を救い出したり、
少し前には、中学生の少年が鹿児島からカヌーでやって来たり・・・。
納屋の草刈りを文句を言いながら手伝う奈美と、納屋と島の歴史との対比。
過去からの流れを追っていくと、膨大な時間の蓄積の中に読者は寂しさを発見するでしょう。
※ちなみに背高泡立草の花言葉は「元気、生命力」です。
⇩セイタカアワダチソウ
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<まとめ>
母の実家にある納屋の周りの草刈りを、娘たちが休日にやりに行く話です。
草刈りと同時に、納屋にまつわる昔のエピソードが間に挿入されていきます。
それは江戸時代にまで遡ります。
この小説は、前々回の芥川賞受賞作『ニムロッド』(上田岳弘)のような現代的なテクノロジーが登場するわけでもないし、『1R1分34秒』(町屋良平)のようなスタイリッシュなスポーツが題材なわけでもありません。
前回の受賞作『むらさきのスカートの女』(今村夏子)のように、一人の主人公の心情をひたすら掘り下げるわけでもありません。
つまり、物語に分かりやすい派手さがないのです。
しかし、我々が忙しい毎日の生活で目をそらしがちな、「日常的に存在する寂しい風景」を思い出させてくれます。
「余計な事を思い出させるなよ」と思われるかもしれませんが、文学の役割は「読者を不安にさせること」とすれば、見事にその機能を発揮していると言えます。
だからこそ、視野を広げるキッカケになったり、
慌ただしい生活に疲れている方の、支えになってくれる作品かもしれません。
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【マンガ】『マイ・ブロークン・マリコ』―友の遺骨と約束の海へ逃避行
『マイ・ブロークン・マリコ』平庫 ワカ / KADOKAWA
⇧2020/1/8 発売
1冊で完結です。
あまりの人気に、Amazonですぐに売り切れになりました。 (即日重版)
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【マンガ】『マイ・ブロークン・マリコ』―友の遺骨と約束の海へ逃避行【本のおすすめ紹介】
<遺骨の行方>
日本人には「遺骨の行方」を気にする文化があります。
おそらく火葬という習慣が生んだ感覚でしょう。
結婚生活が長い夫婦だったとしても、「この人と一緒のお墓に入るのは嫌」と言う人もいますし、「遺骨は海に撒いて欲しい」と言う人もいます。
つまり、誰もが自分の遺骨の行方にこだわりを持っているのです。
「死んだ後のことなんてどうでもいい」と強がる人もいるかもしれませんが、ちょっと想像してみて下さい。
自分が憎悪している相手の家に、自分が大好きな人の遺骨が置いてあるとします。
嫌な気持ちになりませんか?
なるとしたら、やはり「遺骨の行方」を気にしているといえます。
これから紹介する漫画『マイ・ブロークン・マリコ』では、まさにそんな状況の主人公が登場します。
親友の遺骨を取り返すために、憎悪する相手の家に命がけで乗りこむのです。
切なく熱い、友情の物語です。
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<あらすじ>
主人公は営業職に就いている26歳の女性・シイノ トモヨ。
彼女はある日、ラーメン屋に設置されているTVのニュースで、親友のイカガワ マリコが死んだことを知りました。
マリコは自宅のマンション4階のベランダから転落したのですが、当時、大量の睡眠薬を服用していたことから、自殺だと判断されました。
シイノはそのニュースを見て、呆然となりました。
マリコとは先週も遊んだばかりで、昔は自傷癖が少しはあったものの、最近はそんな感じは全くなかったからです。
もしかして誤報ではないのかと、マリコに電話やLINEをしてみましたが、反応はありませんでした。
シイノとマリコは中学時代からの友人でした。
そして彼女たちが出会ったときから、マリコは父親から虐待を受けていました。
母親はマリコが小学生のときに家を出て行ったのですが、高校生になると戻って来て、すぐにまた出ていきました。
マリコはいつも「いい子」でいようと努力していたのですが、父からも母からも認めてもらえず、それをシイノに涙ながらに語りました。
シイノはマリコの辛い境遇をどうすることも出来ませんでしたが、ずっと友達であり続けました。
シイノはふと、マリコの遺骨に思い至りました。
葬式をやるのかどうかは分かりませんが、シイノはマリコの遺骨が唾棄すべき父親の元にあるのが許せませんでした。
遺骨を救出するべく、シイノはマリコの実家を訪れました。
何が何でも遺骨を手に入れるため、カバンの中には包丁を忍ばせています。
営業の訪問に見せかけて何とか部屋に上がり込んだシイノは、仏壇の前で手を合わせるマリコの父親と、そこに置いてあるマリコの遺骨を目にしました。
その瞬間、シイノは遺骨を取り上げて逃げようとしました。
しかしマリコの父親に捕まってボコボコに殴られます。
負けずにシイノは包丁を取り出し、「中学生だった実の娘を奴隷扱いしてやがったテメェに弔われたって白々しいだけだ」と言い放ちます。
中学時代、シイノとマリコは「夏休みに海に行こう」と約束したことがありました。
しかし、マリコの父親がマリコの外出を許さなかったので実現しませんでした。
シイノはそれを思い出し、遺骨を抱えて約束の海へ向かいます。
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<まとめ>
突然、親友のマリコが亡くなったことを知った主人公のシイノが、遺骨を抱えて海を目指す話です。
何も言わずに自殺してしまったマリコの死を、シイノはなかなか受け入れられません。
海への逃避行の中で、学生時代にあったシイノとマリコの思い出が語られます。
テンポが良く、セリフ回しは面白く、カメラワークが上手いです。
感傷的だけどシリアスになり過ぎず、絵に躍動感があり、キャラクターの存在感は抜群です。
泣けて笑えて感動する、非常に完成度の高い作品です。
「表現力がヤバイ」と話題になるのも納得です。
まず間違いなく、今年12月に発表される『このマンガがすごい!』2021年版にランクインするでしょう。
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【小説・ミステリー】『かがみの孤城』―思い出を残すか、願いを一つ叶えるか【2018年本屋大賞】
『かがみの孤城』辻村深月 / ポプラ社
⇧2017/5/11発売。
まだ文庫化されていません(2020年1月現在)。
2018年の本屋大賞受賞作です。
漫画化され、1巻がすでに発売しています。
作画:武富智 / 集英社 / 2019/12/19
<学校に行かなくなった子供たち>
この物語には、学校に行かなくなった(行けなくなった)7人の中学生が登場します。
不登校になった理由は様々で、いじめられた子もいれば、周囲とうまく馴染めなかった子もいます。
大抵の親は、不登校になった子供が再び学校に通えるようになることを望みます。
だから子供は「学校にまた行けるようになるべきだ」と思うと同時に、「もう学校には行きたくない」という相反する感情を抱えながら苦しむことになります。
子供の生きている世界は、学校か家(か習い事)しかありません。
そして目を覚ましている時間の大部分を学校で過ごすので、学校が世界の全てだと信じてしまいがちです。
大人になれば、もっと色んな世界があることが分かって来ますが、それを口で説明しても子供は体感として理解できないでしょう。
不登校になった子供にこそ、それを早く知って欲しいものですが、不登校になるとさらに世界が狭くなりがちです。
子供が最も知るべきことは、学校が世界の全てじゃないということです。
「たかが学校」だと考えられるようになること。
学校だけが居場所じゃないと分かること。
そう思えるようになれば、ずっと生きるのが楽になります。
この小説は、不登校になってしまった中学生の女の子が、そんな風に成長していく物語です。
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<あらすじ>
主人公は中学一年生の安西こころ。
彼女は4月に少し学校に行った後、不登校になりました。
クラスメートの真田美織が首謀者となって、こころに嫌がらせを繰り返したからです。
具体的には無視、陰口、こころと仲良くしない方がいいと他の子に吹聴するといった組織的ないじめです。
真田が嫌がらせをする理由は、彼氏が元々はこころが好きだったことを知ったからです。
こころは不登校になってからは外出も出来ず、自分の部屋にこもって生活していました。
ちなみに彼女が不登校になった原因を両親は知りません。
毎朝、こころが学校に行こうとすると腹痛になるので、両親は今の学校に通わせるのは無理だと考えました。
代わりにフリースクールに行くことを勧め、下見まで済ませましたが、いざ初登校の日になるとやっぱりこころは腹痛になり、スクールには行けませんでした。
ある日、こころは自室の鏡が光っていることに気付きました。
鏡に手を近づけてみたところ、吸い込まれて別世界にワープさせられました。
目の前には大きな城と、狼の仮面をかぶった少女がいました。
こころは怖かったので一旦は鏡から自室に戻りましたが、気になったので翌日も鏡の中に入ってみました。
すると今度は城の中に飛ばされました。
城の中には、狼の仮面の少女の他に、中学生の男女6人が待っていました。
彼らもまた、こころと同じように自室の鏡からワープしてきたのです。
狼の仮面の少女は、7人を集めた目的を説明しました。
・城の奥には「願いの部屋」がある。
・「願いの部屋」に入れば何でも一つ願いを叶えてもらえる。
・「願いの部屋」に入るには「鍵」が必要。
・「鍵」は城のどこかに隠されている。
・「鍵」を見つけた者だけが「願いの部屋」に入れる。
・「鍵」の捜索期限は来年の3月末まで。
・城に居ていいのは毎日朝9時から夕方5時までの間のみ
その日から毎日城にやって来る者と、不定期にしか顔を出さない者に分かれました。
大抵は皆、リビングのような広間でゲームをして過ごしますが、「鍵」の捜索もこっそり進めていました。
こころはもし「鍵」を見つけて願いを叶えてもらえるなら、自分に嫌がらせを繰り返した真田をこの世から消してもらおうと考えました。
果たして、鍵は誰が見つけるのでしょうか。
こころは再び学校に通えるようになるのでしょうか。
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<まとめ>
いじめが原因で不登校になってしまった中学生の女の子が、同世代の友人たちと出会って徐々に強くなっていく物語です。
ファンタジー要素やミステリー要素もありますが、主軸は主人公たちが救い救われる話です。
誰からも理解されずに嫌がらせに耐える主人公の姿に、読者も苦しむことになるでしょうが、最後はハッピーに終わります。
終盤の怒涛の伏線回収ラッシュは楽しいですし、
「 救済の物語」を構造的に完璧に仕上げることになるエピローグには、鳥肌が立ちました。
本屋大賞になるのも納得の一冊でした。
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【マンガ】『放課後ていぼう日誌』―女子高生たちが田舎で海釣り【2020年4月~アニメ化】
『放課後ていぼう日誌』小坂泰之 / 秋田書店
⇧1巻は2017/10/27発売。
最新刊の5巻は、2019/10/18に発売されました。
2020年4月からアニメ放送が開始されます。
主人公の鶴木陽渚役は、高尾奏音さんが担当されます。
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【マンガ】『放課後ていぼう日誌』/ 女子高生たちが田舎で海釣り【2020年4月~アニメ化】
<田舎の海の釣り漫画>
「釣り漫画」は数多くあります。
その中でも有名なのは、『釣りキチ三平』や『スーパーフィッシング グランダー武蔵』『Mr.釣りどれん』『釣りバカ日誌』などです。
いずれも昭和や平成初期のヒット作です。
ほとんどの主人公が少年であるという点が共通しています。
一方、現在描かれている釣り漫画の主人公は、女性が多くなっています。
例えば、『スローループ』『浜咲さんなら引いている』『つれづれダイアリー』『おひ釣りさま』などがあります。
◆『スローループ』
うちのまいこ / 芳文社 / 1~2巻(続刊)
◆『浜咲さんなら引いている』
瀬戸内ワタリ・水谷ふみ / 小学館 / 全1巻
◆『つれづれダイアリー』
草野ほうき / KADOKAWA / 全3巻
◆『おひ釣りさま』
とうじたつや / 秋田書店 / 1~4巻(続刊)
これから紹介する『放課後ていぼう日誌』も、女子高生たちが主人公の釣り漫画です。
とはいえ、釣り漫画といっても色々あります。
川なのか海なのか、都会なのか田舎なのか、ガチ勢なのかちょっとかじる程度なのか、一人でやるのか集団でやるのか、仕事なのか趣味なのか、経験者なのか未経験者なのか・・・等です。
この漫画の主人公は釣り未経験者なので、初心者にも分かりやすく描かれています。
舞台は田舎の海です。
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<あらすじ>
主人公は高校1年生の鶴木陽渚(つるぎ ひな)。
彼女はもともと都会に住んでいましたが、父親の実家―海沿いの田舎町に引っ越すことになりました。
彼女は手先が器用で手芸が好きなので、高校からは手芸部に入ろうと考えていました。
引っ越してきた日、 陽渚は母からお使いを頼まれました。
田舎にやって来ることを不安に思っていた彼女でしたが、気持ちのいい海風に吹かれている内に何とかなる気になってきました。
さらに海沿いの道を散策していたら、手に虫が付いていることに気付き慌てました。
彼女は昔から虫や海の生き物が苦手だったのです。
堤防の方を眺めていると、堤防の上でフラフラ歩きながら座り込んでしまった人物がいました。
熱中症になって倒れたのかと思い、陽渚は堤防の上に駆け寄りました。
すると座り込んだ人物—黒岩悠希は、ただ釣りをしていただけだと分かりました。
黒岩は釣り糸が絡まって解こうとしていたので、陽渚はそれを手伝ってあげました。
黒岩はお礼に陽渚に釣りを教えてあげました。
陽渚の持つ糸はすぐに動かなくなり、引き上げてみるとタコが釣れました。
タコは陽渚の足に絡みついてきますが、海の生き物が怖い陽渚はタコに触ることができません。
陽渚は黒岩にタコを取ってくれるよう頼みました。
その時、黒岩に名案が浮かびました。
タコを取る代わりに「ていぼう部」(魚を釣って食べる部活)に入部してもらうのです。
「ていぼう部」は部員が少なくて、部の存続が危うかったからです。
一刻も早くタコを取り除いて欲しい陽渚は、仕方なく入部届に名前を記入しました。
「ていぼう部」には3年の部長の黒岩の他には、2年の大野と1年の帆高しかいませんでした。
果たして海の生き物が苦手な陽渚は、「ていぼう部」でやっていけるのでしょうか。
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<まとめ>
海沿いの田舎町に引っ越してきた女子高生が、未経験の釣り部(ていぼう部)に入って、釣りの楽しさを知っていく漫画です。
主人公の陽渚が、虫や海の生き物が苦手なのがポイントです。
エサの作り方や竿の扱い方など、初心者にも分かりやすい描き方がされています。
「釣ったら食べる」というのが部のモットーなので、料理シーンも出てきます。
絵が細かく丁寧なので、非常に読みやすいです。
釣り初心者でも、経験者でも楽しめる漫画です。
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【マンガ】『アルテ』―貴族の娘が画家を目指す【2020年4月~アニメ化】
『アルテ』大久保圭 / 徳間書店
⇧1巻は 2014/4/19発売。
最新刊の12巻は、2020/1/20に出ました。
2020年4月からアニメ放送開始です。
TOKYO MX、BSフジほかで放送されます。
監督は浜名孝行さん。
主人公のアルテ役は、小松未可子さんが担当されます。
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【マンガ】『アルテ』―貴族の娘が画家を目指す【2020年4月~アニメ化】
<舞台設定>
この漫画の舞台は16世紀のフィレンツェ(イタリア)です。
つまりルネサンスの時代です。
ルネサンスは13世紀にイタリアで始まりました。
中でも、ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロが活躍した16世紀初頭がピークだったようです。
ルネサンスとは、経済、思想、文学、美術、建築、音楽などの様々な文化活動の隆盛のことですが、それを担ったのはほとんどが男性です。
その頃はまだ男尊女卑の価値観が幅を利かせており、女性は最前線の文化活動に参加させてもらえなかったからです。
女性はたとえ貴族であっても、礼儀作法と最低限の読み書き、計算、縫い物、楽器などしか習えず、活動の場は家庭内に限られました。
つまり主人の言うことをよく聞いて、子どもを産み育てればよいというわけです。
そんな、女性が自由にやりたい職業に就くのが難しかった時代。
この漫画の女性の主人公は、画家になろうとします。
ルネサンス真っ盛りで、芸術家を目指す男性のライバルが大勢いる中で、彼女は「女である」という重いハンデ(差別)を背負って、目標を目指して頑張ります。
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<あらすじ>
16世紀初頭・フィレンツェ。(ルネサンス発祥の地)
貴族の家に生まれ育った主人公のアルテは、小さい頃から絵を描くのが好きでした。
そんな彼女を父親は応援してくれましたが、母親は反対していました。
やがて父親が亡くなって家計が厳しくなると、母親はアルテの絵を燃やし、絵を描くことを辞めさせて結婚させようとします。
このままでは自由に生きられないと判断したアルテは、画家になって独立しようと考えて家を出ました。
この時代、芸術作品を作って生活する職人になるためには、どこかの工房で弟子になって、そこで仕事を手伝いながら一人前と認められるしか方法はありません。
アルテは片っ端から工房を訪ねて弟子にしてくれるよう頼みますが、「女である」というだけで、どこからも門前払いされてしまいました。
訪問リストの最後の工房にも断られ、アルテはそこの親方とモメました。
その騒ぎの仲裁に、レオという男が入ってきました。
彼は工房を持っている画家でした。
彼に弟子がいないことは有名だったので、周りの皆はレオにアルテを連れて行くよう依頼しました。
レオの工房にやって来たアルテは、自分が職人になりたいことを伝えました。
そして持参した自分の描いた絵を見てもらいました。
レオは貴族の家で育った甘ったれた娘を追い出すため、「画板20枚の下準備を一晩でやる」という無茶な課題をアルテに課しました。
ところがアルテはその課題をやり遂げました。
「当時の女の生き方」を強要してくる人達を、どうしても見返したかったからです。
アルテはレオに言いました。
「どこかでのたれ死ぬかもしれなくても、工房で学んで、自分自身の力で生きられる道を目指したいんです」
レオはアルテの覚悟を認め、弟子入りを許可しました。
これから職人になるための修行の日々が始まります。
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<まとめ>
16世紀のフィレンツェという、女性が一人で生きていくことに理解のなかった時代。
ルネサンス真っ盛りで、芸術家を目指す男性のライバルが大勢いる中で、主人公・アルテは「女である」という重いハンデを背負って、画家を目指して生きていきます。
絵の技術うんぬんではなく、女性が一人で生きていくための心構えが描かれます。
作画は上手く、線も綺麗で、細かな背景にも手を抜かない著者のこだわりが伝わって来ます。
困難な壁は、覚悟と社会への怒りで乗り越えられると教えてくれる漫画です。
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