【小説】『路 ルウ』―台湾高速鉄道を巡る物語【2020年5月ドラマ化】
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『路 ルウ』吉田修一 / 文藝春秋
⇧2015/5/8 発売(文庫版)
2020年5月からドラマ放送がスタートします。(NHK総合、土曜、全3回)
ドラマのタイトルは「路(ルウ)~台湾エクスプレス~」です。
主演は波瑠さん。
その相手役は、台湾のアイドルグループ飛輪海(フェイルンハイ)のメンバーであるアーロンさん。
他に、井浦新さん、寺脇康文さん、高橋長英さん、シャオ・ユーウェイさん、ヤン・リエさん、リン・メイシューさんらが出演されます。
<台湾高速鉄道について>
台湾高速鉄道をご存知でしょうか。
台北市・南港駅から高雄市・左営駅までの345kmを結ぶ高速鉄道のことです。
日本が新幹線の車両技術を輸出・現地導入した初めての事例です。
2001年から工事がスタートし、2007年に完成しました。
台湾高速鉄道は当初は2005年の完成予定でしたが、スケジュールの延長が繰り返されました。
その原因は、台湾が日欧混在システムを採用したことにあります。
つまり台湾高速鉄道で日本の技術が導入されたのは新幹線の車輛だけで、分岐器はドイツ製、列車無線はフランス製ものが使われているのです。
日本と欧州の足並みが揃わなかったことから、開発は遅れていくことになりました。
そもそも最初の契約の段階では、台湾は欧州連合と組んで新幹線事業を進める予定でした。
しかし1999年に台湾大地震が起きたことや、ドイツ鉄道が自国で脱線事故を起こしたことなどから、台湾は地震の多い日本の技術も導入する方針に転換しました。
この小説は、そんな台湾高速鉄道の建造計画が進む台湾が舞台です。
鉄道が出来上がってく過程と並行して、その近くで生活している人や鉄道事業に関わる人達の様子が描かれます。
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<あらすじ>
主人公は、大井物産の台湾新幹線事業部に勤める多田春香。
入社4年目の新人社員です。
彼女は東京生まれ神戸育ちで、台湾で暮らしたこともなければ留学経験もありません。
大学時代に一人で台湾旅行に行ったことがあるだけです。
1999年、日本の新幹線車両が台湾の鉄道で使われることが決まりました。
大事業に参加したかった春香は、台湾に転勤することを承諾しました。
彼氏は日本で働いているので、遠距離恋愛になります。
春香は台湾に住んでいるとはいえ、たまの休みには日本に帰って来て、家族や彼氏に顔を見せることは怠りません。
春香には台湾で忘れられない思い出がありました。
それは大学時代の一人台湾旅行で、ある青年と知り合ったことです。
青年は親切に色々な場所を案内してくれました。
別れ際に春香は青年から連絡先を書いた紙を受け取りますが、日本に帰国後にその紙を失くしてしまい、一切連絡が取れなくなってしまいました。
当時の春香は中国語は出来ず、英語もカタコトだったため、青年の名前すら分かりませんでした。
春香は再び台湾にやって来て、青年と巡った場所を探してみましたが、会えませんでした。
春香は、仕事をする中で台湾で親しくなった林芳慧(リン ファンホエ)に、旅行のエピソードを話していました。
5年も前の話なので、春香は今さら青年を探そうとはしていませんでしたが、芳慧は知人のツテを当たって地道に捜索を続けました。
やがて、春香の探していた青年は、現在日本にいて働いていることが判明します。
なんと二人ともお互いの消息が不明なまま、相手の国に行って働いていたわけです。
驚きのすれ違いです。
春香のエピソードだけではなく、他の登場人物の話も並行して描かれます。
春香の職場のワーカホリックな先輩・安西誠。
台湾高速鉄道が敷設予定の土地で暮らす青年・陳威志(チェン ウェイズ―)。
戦時中は台湾で生活し、現在は定年で建設会社を退職した葉山勝一郎。
彼らの人生が交差し、広大な物語が展開していきます。
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<まとめ>
建設中の台湾高速鉄道の周りで暮らす人たちの物語です。
メインは台湾新幹線事業部に勤める多田春香の話ですが、それだけに留まらない物語の広がりと豊かさがあります。
恋愛小説とも言えますし、大規模事業に関わるビジネス小説とも言えますし、歴史小説とも言えます。
爽やかなノスタルジーに浸りたい方におすすめの作品です。
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