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【小説】『黄』―盲目の中国人探偵の慧眼【このミステリーがすごい2020・16位】

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紙の本も読みなよ / A-key-Hit

『黄』雷 鈞 / 訳:稲村文吾 / 文藝春秋

⇧2019/7/24発売。

 『このミステリーがすごい!2020年版』海外編で第16位にランクインしました。

 

 

<盲目なら叙述トリック>

 この小説の主人公は盲目です。

ミステリーにおいて、盲目の主人公視点で物語が記述されている場合、大抵は叙述トリックが仕掛けられています。

叙述トリックとは、作者読者に仕掛けるトリックのことです。

ちなみに普通の物理トリックは、犯人探偵役(警察)に対して仕掛けられます。

 

地の文に事実と異なることを書いてはならない」というのがミステリーの暗黙のルールです。

作者は一部の描写を省略したり曖昧にしたりして、読者をミスリードしようとします。

あるいは「信頼できない語り手」という手法を使って、暗黙のルールをかわそうとします。

 

叙述トリックのある作品は、「叙述トリックがある」と 知られることが最大のネタバレになります。

当然のことながら、作者はそれがバレないように細心の注意を払いますし、本の帯の宣伝文なども、内容をぼかした紹介のされ方をしています。

 

ところがこの小説では、冒頭に「この小説には叙述トリックがある」と明かされています。

これは作者に見破られない自信が相当あるからか、バレたところで物語の価値が損なわれるわけではない場合です。

この小説は両方です。

 

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<あらすじ>

主人公はドイツで暮らす18歳の学生・ベンヤミン(以下・ベンと表記)。

彼は生まれつき盲目(先天性黒内障)で、いつも盲導犬のエリザベートと一緒です。

彼には妹がいて、彼女は盲目ではありません。

実は彼も妹も養子であり、約10年前に中国から裕福なドイツ人夫婦のもとへ連れて来られました。

 

ベンは元々は中国出身で、小さい頃は山奥の孤児院で育ちました。

孤児院時代の彼の名前は阿大(アーダイ)です。

養子になってから、ドイツ人用に名前が変わりました。

そのため彼は、ドイツ語と中国語が話せます。 

 

ベンは今、10日ほど前に中国で起きた凄惨な事件に興味を持っていました。

とある山奥の村で、小光(シァオ グァン)という6歳の少年の両目が、何者かによってえぐり取られてしまった事件です。

世界的なニュースになったことで、ベンの耳にも入ってきたのです。

小光を励ますために世界中からメッセージが送られていましたが、「盲目になった者の気持ちが誰よりも分かるのは自分だ」と思ったベンは、小光に直接会いに行こうと決めました。

さらに探偵小説好きの彼は、小光の事件の真相も解明してやろうと企みます。

 

ある日ベンの住む家に、温幼蝶(ウェン ヨウディエ)と名乗る女がやって来ました。

中国の国家中央事務局所属のインターポール職員です。

単身で中国に乗り込もうとするベンを心配した彼の両親が、温を同行者として採用したのです。

最初は渋っていたベンでしたが、手続き等のことも考え、結局二人で中国へ行くことを承諾しました。

 

 中国に到着したベンたちでしたが、小光とは行き違いになってしまい、すぐには会えませんでした。

 仕方なくベンは、事件の調査を優先します。

事件のあった村で宿泊することが出来たベンたちは、ナーバスになっている村人たちに警戒心を持たれないよう、さりげなく事件のことを聞いていきます。

徐々に真相に迫っていくベンでしたが、村に来てからずっと違和感を持っていました。

村に鶏はたくさんいるのに、犬が一匹もいないのです。

 

ベンがこの理由に気づいたとき、事件の衝撃の真相が明らかになります。

 

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<まとめ>

 盲目の中国人の青年(ベンヤミン / 阿大)が探偵役のミステリーです。

彼が、とある山奥に住む少年の、両眼がえぐり取られた事件の謎を追います。

 

冒頭で「叙述トリックがあるよ」と警告されていた通り、叙述トリックが仕掛けてあります。

たしかに簡単には見破れませんし、分かった時はかなり驚かされます。

しかしこのトリックの有無にかかわらず、物語自体が非常に面白いです。

 

人種差別問題や、障がい者差別問題にも切り込んでいますし、

盲目者ならではの思考や感受性も丁寧に描かれています。

凄惨な事件を扱っていますが、ラストは爽やかな結末です。

 

ミステリーとしてもそうですが、一人の青年の成長を描いた小説としても優れています。

 

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