【マンガ】『怪盗かまいたち』—ルパンよりも高度な怪盗?
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『怪盗かまいたち』都戸利津 / 白泉社
フィクションの世界に怪盗たちは大勢います。
多くは予告状を出し、警察の目をかいくぐって宝物を見事盗み出します。
この『怪盗かまいたち』も同様です。
富豪からしか盗まず、宝石ばかりをターゲットにし、人を傷つけません。
最大のポイントは「嘘をつかない」ということです。
そのうえで、登場人物と読者をも騙すわけです。
つまり叙述トリックです。
マンガで叙述トリックを仕掛けるのは、小説でやるのとは難易度が違います。
なにせ映像が読者に見えているわけなので、パッと見てすぐ分かるようなことは出来ません。小説だと「彼」と書いてあっても男性ということは分かっても年齢や見た目、服装の詳細は分かりません。映像だとすぐバレます。
マンガで叙述トリックをやるにはどうしたらいいのか。
一つのお手本のような作品です。
単語の一つ一つに非常に気を配っていないと不自然さが残り、読者にバレます。
どの単語を漢字にしてどれをひらく(平仮名表記にする)か。
このバランスを上手くやらないと雰囲気が変になったり堅苦しくなります。
いや、すごいです。
上手いな~!と感心しました。
そういった技術的な点も素晴らしいのですが、ストーリーも上手いし、絵柄も綺麗で誠実さを感じます。妥協がない。
著者はミステリーをあまり読まないとあとがきで書かれていましたが、
それでこの構成と演出をひねり出したわけで・・・努力型の天才ですね。
『嘘解きレトリック』でもそうでしたが、言葉の一つ一つの選択に非常に神経を使っておられます。著者の頭の良さと繊細さが伝わってきます。
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