【小説】『ディア・ペイシェント』―理不尽な患者と向き合う医師たち【2020年4月~ドラマ化】
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『ディア・ペイシェント 絆のカルテ』南 杏子 / 幻冬舎
⇧2020/1/24 発売(文庫)
2020年4月17日(金)からドラマ放送が開始されます。
(毎週金曜夜10時~、NHK総合、全10回)
主演は貫地谷しほりさん。
他に内田有紀さん、田中哲司さんらが出演されます。
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【小説】『ディア・ペイシェント 絆のカルテ』/ 理不尽な患者と向き合う医師たち【2020年4月~ドラマ化】
<モンスター・ペイシェント>
現在、「医療はサービス業」という認識が一般的になっています。
昔は「診てもらえるだけでありがたい」という感覚だったそうですが、いつの間にか医者優位の状況から患者優位の状況に変わりました。
病院同士が生き残りをかけてサービスの質で競争するようになったこともそうですし、患者たちが医療に対する満足度まで考えるようになったからです。
そんな中、「モンスターペイシェント」という言葉が生まれました。
モンスターペイシェントとは、医療従事者や医療機関に対して、自己中心的で理不尽な要求を繰り返す患者(やその関係者)のことです。
教育現場で教員たちを悩ませる「モンスターペアレント」の医療現場バージョンです。
幼稚でモラルの欠けた彼らの言動は、現場で働く医師や教員のやる気を著しく低下させ、その結果サービスの質が低下する悪循環を生み出します。
飲食店でよく見かけますが、「客の立場だから何を要求してもいい」と勘違いしている人がいます。
モンスターペイシェントも同様です。
「お金を払ったんだから、治せないのはおかしい」
「お金を払ったんだから、いくらでも時間をかけて患者に丁寧な対応をすべき」
「患者を満足させて帰すべき」
というような主張を医師に押し付けようとします。
それが叶わないと、暴れたり騒いだり訴えるぞと脅したりしてきます。
この小説は、そんなモンスターペイシェントと向き合う医師たちの物語です。
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<あらすじ>
主人公・真野千晶(ちあき)は、35歳まで大学病院で働いていました。
そして半年前、神奈川県川崎市にある民間の総合病院に、常勤内科医として転職しました。
大学病院では研究や教育の比重が大きかったのですが、市中病院で診療がメインの仕事になります。
毎日、診療に忙殺されるようになった千晶は、大学病院時代には無自覚だったあることに気付きました。
それは患者たちの不満です。
調子が悪くない患者ほど、病気以外のことにクレームをつけて来るのです。
「食事がまずい」「隣の患者のいびきがうるさい」「エアコンが効いていない」などの他に、観葉植物にまで文句を言う人もいます。
千晶は誠実で丁寧な対応を心がけてはいますが、外来患者を3種類に分けてとらえていました。
まずは【上】クラス。
要領よく病状を伝えてくれて、こちらの説明もすぐに理解してくれる患者です。
次に【中】クラス。
どんな薬を飲んでいるかとか、聞かれて当然の質問にも答えられなかったり、処方した薬をきちんと飲まなかったりする、悪気はないだろうけど世話の焼ける患者です。
そして【下】クラス。
来院した瞬間から災厄を振りまく患者です。
気に入らないことがあればすぐに騒ぎ暴れる人です。
「何かあれば訴えてやる」と最初から身構えている人もこれです。
千晶だけではなく他の医師たちも、医師の言うことを聞かずにすぐにクレームを入れる患者にうんざりしていました。
しかし病院の経営者は現場のこと理解せず、ひたすら「患者様プライオリティ」を医師たちに強要してきます。
他の病院のサービスと比べられてしまうからです。
ところが、病院の作ったモンスターペイシェントへの対応マニュアルは具体性がありませんでした。
ある日、千晶のもとに座間という患者がやって来ました。
彼は「眠れないので睡眠薬を処方して欲しい」と要求しました。
話を聞いた千晶は、最長期間(1ヶ月分)の処方を決めました。
しかし座間は「忙しくて病院に来れないから2ヶ月分処方してくれ」と言って譲りません。
諦めそうになかったので、千晶は仕方なく2ヶ月分を座間に処方しました。
ところが翌週に座間がまたやって来ました。
彼は「母親のヘルパーに睡眠薬を盗まれたので再処方してほしい」と言いました。
千晶は嘘だろうと思いましたが、座間が急に激怒したため、仕方なく同じ量を処方しました。
座間はその翌週には「ひったくりに遭った」と言い、
さらにその翌週には「ボケた母に捨てられた」と言って再処方を要求してきました。
千晶が反対すると座間は激怒して大騒ぎするので、千晶は毎回、渋々処方しました。
後日、座間がどんでもない騒ぎを起こします。
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<まとめ>
理不尽な要求を繰り返す患者と向き合う医師たちの物語です。
患者の悪質さには際限がなく、毎日様々なクレームに医師たちがさらされていることに驚かされます。
マジメに誠実に対応しようとするほど馬鹿を見る職場環境です。
ただでさえ激務なのに、精神的に病んで自殺してしまう医師がいるのもうなずけます。
医療は普通のサービス業とは違います。
何でもかんでも医療ミスだと患者が訴えていれば、医師はリスクのある挑戦をしなくなります。
そうすると、医療のレベルは下がっていきます。
モンスターペイシェントの存在は、百害あって一利なしです。
医師に対して感謝と労りの心を持とうと、強く思わせてくれる小説です。
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