【マンガ】『ラジエーションハウス』8巻―一人の当直は心細い
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紙の本も読みなよ / A-key-Hit
『ラジエーションハウス』モリタイシ・横幕智裕 / 集英社
⇧2019年6月19日発売。
4月からドラマ放送が始まり、6月17日に最終回を迎えました。
なんと6月24日(月)夜9時から、2時間スペシャルが放送されるそうです。
ドラマは終わりますが、マンガはまだまだ続きます。
⇧ 五十嵐唯織役の窪田正孝さんと、甘春杏役の本田翼さん。
<夜勤当番とオンコール>
よく医療モノのドラマでは、新人の医者が当直になって、そんな夜に限って難しい症例の患者さんがやって来るという話が描かれます。
当直の医者は先輩や同僚に頼ることができず、ひとりぼっちで判断・処置しなければならないことに恐怖を覚えるのです。
とはいえ、病院内に医療スタッフが一人だけしかいないというわけではありません。
看護師はもちろん、放射線技師にも夜勤当番の人が残っています。
外来の患者さんがやって来たら、レントゲンやCTを撮影する必要があるかもしれないからです。
夜勤の者だけでは手に負えない場合、オンコール可能な体制が取られています。
オンコールとは、呼び出しがあった際に、当番の者がすぐに出勤することです。
オンコール当番の者は「仮帰宅」という扱いであり、呼び出しがあるかもしれないので、お酒を飲むことは許されません。
この8巻では、主人公たちの勤める病院のオンコールの手当てが1500円だと書かれています。
「それで一晩拘束されるのは割に合わない」というセリフを脇役の放射線技師に言わせています。
その通りだと思います。
コンビニの深夜時給の1時間分程度で、病院の当直スタッフたちは働いているのかと思うと、感謝と同時に同情の念を禁じえません。
日本の医療が抱える闇の一つですね。
こういった一般には知られていない雑学や情報を知ることができるのも、このマンガの醍醐味の一つです。
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<あらすじ>
主人公は医師免許を持った放射線技師・五十嵐唯織(いおり)。
幼馴染の放射線科医である甘春杏の勤める病院に、彼が採用されるところから物語は始まります。
彼は子供の頃にした杏との約束(放射線技師として医者の杏を支える)のために、医師免許を所持していることを周りに隠して、一放射線技師として振る舞おうとします。
アメリカで最高峰の教授からお墨付きをもらうほどの診断能力をもつ彼は、その圧倒的な知識と技量によって、良くも悪くも病院内で目立つ存在となります。
最初はオドオドして挙動不審だったために、杏に気味悪がられていた彼ですが、その実績を認められて次第に頼られるようになってきました。
そしてついに6巻のラストで、唯織が医師免許を持っていることを杏に知られてしまいます。
このマンガは、巻ごとに取り上げる題材が変わっていきます。
8巻では、前半で「一人当直とオンコール」のエピソードが描かれ、後半でCT画像で虫垂炎と診断された症例が、実は珍しい虫垂腫瘍だったというエピソードが描かれます。
ある日の朝のカンファレンスで、医師が虫垂炎だと診断したCT画像を見て、唯織はその診断に違和感を持ちました。
虫垂炎ならばもっと濁って写るはずの虫垂の周囲脂肪組織が、ほとんど濁っていなかったからです。
しかしCT画像だけでは診断に確信が持てません。
だから診断を下した奈良医師に、「もう一度検査をした方がいい」と進言しました。
そのことで唯織は、「診断するのは医師であり、放射線技師のお前じゃない」と反感を買ってしまいます。
奈良医師が自分の診断にケチをつけられたと受け取ったからです。
奈良医師は東都大学の医局に所属しており、そこは医学界でも力を持っているので、怒らせるとやっかいな事になりかねません。
しかし唯織と杏は、虫垂腫瘍の疑いがある以上、再検査を実施することにしました。
医師のご機嫌を周りの医療スタッフが忖度しないといけないのは面倒でアホらしいですが、チーム医療あるあるなんでしょうね。
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<まとめ>
レントゲンも、CTも、MRIも、あらゆる画像診断には限界があります。
三次元(人体・立体物)を二次元(平面画像)に変換しているので、何かしらの情報が自然と欠落してしまうからです。
同じ様式で撮影したとしても、ときに曖昧だったり写らなかったりする可能性もあります。
「だから技術を過信せずに技術を使う必要がある。
そうしないと大切なことを見過ごしてしまう」と杏の父親は言いました。
画像をなんとなく見て診断してしまう医師か、
画像の違和感を見つけて、もしかしたら違う可能性があるかもしれないと仮説を立てられる医師か。
画像では見えていない部分を想像できるかどうかが、放射線科医や放射線技師の一流と二流が分かれるポイントなのかもしれません。
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