紙の本を読みなよ

主に読み終わったマンガ、小説、その他の本についての感想です

【マンガ】『BE BLUES! 青になれ』(32巻)―そんな事したって、気は晴れやしないよ

『BE BLUES! 青になれ』田中モトユキ / 小学館

 最初は選抜メンバーの中では一番の新参者で、皆からは期待もされなければ協力もしてもらえない厳しい状況からのスタートだった。

次第に結果で実力を示し、認めてくれる仲間を増やした龍(主人公)。

しかしポジション争いをしていた選手にケガをさせられてしまう。

周りの選手や監督たちにもアピールは十分、結果も文句なしだったのに、ケガのためにドイツ遠征には参加できず失意の帰郷となった。

 

ケガ当日は落ち込むも、すぐに気持ちを切り替える。

彼にはどんな状況でも腐らずに常に前進し続けようとするタフな精神力が備わっている。

 

切り替えの早さは大きな武器だと思います。

苦境に陥った時こそ、人は真価を試される。

彼のような強さ、ひたむきさ、前向きさを見習いたい。マジで。

まさに少年マンガの主人公としてバッチリなキャラクター。

王道すぎるほどの王道。

しかしそれを魅力的に描くことが出来る作家は実は少ない。

誰もがやっぱり少しはひねくれちゃうんですよね。

 

【マンガ】『ランウェイで笑って』(6巻)―お金や才能という言葉に縛られすぎないで

『ランウェイで笑って』猪ノ谷言葉 / 講談社

この巻では特に「お金(資金)」や「才能」の不足についてのエピソードが多いです。

逆境から最終的に大成功をおさめるという展開に持っていきたいという著者の意図は分かりますが、ネガティブエピソード多すぎやしませんかね?

主人公たちが頑張っているのはもう分かりましたので、つらい展開の連続は勘弁してもらえませんか。だんだん読むのがつらくなってきてしまいます。

 

少年マンガなのだから、こういう現実的な厳しい業界事情をことさら押し出してくるのではなく、もっと夢のあるエピソードをお願いしたいです。

資金が不足しているので我慢するというのでは、普通です。

ファッション業界の負の一面を、もっと技術的な工夫だったり、アイデア、発想で未来を切り開いていく展開を希望します。

(僕がマンガに期待しているものと、本当の少年読者層が期待しているものが違うのでしょうか。)

 

確かに資金や才能は大切です。成功するためには大きな要素になります。

けれど、若者の行動力や向上心、好奇心といったものは「成功する可能性があるから」生まれたり大きくなっていくのではなく、「それをするのが楽しいから」もっとやりたいと思うのではないでしょうか。

お金や才能というパラメータを使って成功にたどり着ける確率を計算してから行動を起こそうとする人は成功しない。

 

 

資金不足は最初につまずくポイントになりはします。

しかしそのせいで原初の衝動が忘れられていくのは悲しいことです。

主人公の彼らを救うのは、お金や才能なのでしょうか。

 

違うはずだと信じたい。

 

【マンガ】『ひとりぼっち』—マンガを芸術たらしめる作品

『ひとりぼっち』クリストフ・シャブテ / 訳:中里修作 / 国書刊行会

マンガは「娯楽」か「芸術」か。

・・という議論が『バクマン』の中で交わされてましたが、このマンガは芸術の要素が高いです。だからといって娯楽要素がないわけじゃない。

 

日本のマンガを娯楽性90%、芸術性10%だとすると

このマンガは娯楽性30%、芸術性70%くらい。

 

著者はフランスの作家さんですが、フランスのお国柄?もあってか芸術志向が強い。

絵も抜群に上手いし、日本人作家には見られない画風です。

絵が上手いからこそ、セリフが少なくても最強に説得力があります。

 

たまに同人誌作家の作品で、「絵は上手いのに物語性がないからキツい」という評価を目にします。その読者が狭量なのか、ないものねだりなのか、もう少し寛容な心を持てないものかと嘆息いたします。

しかしこの作品は、芸術性の割合を高めつつもストーリーというか文学性もバッチリ詰め込まれていて、文句の言いようがありません。

 

ある島の灯台で独りひっそりと生きている男の話です。

彼は陸を知らず、生活物資は週1回水夫が届けてくれるもののみ。

一番の楽しみは無作為に開いたページを指差し、そこに記載されている単語からイメージを羽ばたかせる「辞書遊び」。辞書の説明文がいかに曖昧で想像の余地だらけかということが分かります。

彼は孤独に苦しんでいるわけでも、悲しんでいるわけでもない。

毎日そこそこ楽しそう。

 

日本のマンガに少し飽きてきたけど、アメリカンコミックのようなマッチョなのを代替物として読む気にもならない方にオススメです。

世界にはこんな作家、作品が存在するのかと驚かれると思います。

マンガの可能性を感じられます。

 

【新書】『たくらむ技術』―アメトーークの仕事術

『たくらむ技術』加治倫三 / 新潮社

人気番組「アメトーーク」「ロンドンハーツ」のプロデューサーである著者の仕事観を教えてもらえます。

 ADの頃から当事者意識・視点を持っておられたことが分かります。

「自分たちADが番組を支えているんだ」と思って行動していたそうです。

だからこそ、工夫の余地を見逃さない。

 

ビジネス書なんかではよく「新入社員でも経営者目線をもて」と言われていますが、

著者の仕事観とよく似ています。

 つまり未来の具体的なビジョンを持つ者が、仕事で上にいけるし、そこで成功することができる。

上に立ったときに考え始めても遅い。

新人時代から常に考えていたから、アイデアの種まきの収穫ができる。

 

アメトーークは好きでよく観るんですが、この本を読んでから観るとまた違った見方ができるのでより面白いです。

 

【小説・文学】『西の魔女が死んだ』―丁寧に生きるとは

西の魔女が死んだ梨木香歩 / 新潮社

夏休み・お盆休みですね。

おばあちゃんの家を訪ねる季節。

 

これは中学生になったばかりの少女がおばあちゃんの家に行って過ごす話です。

少女は中学に上がって、学校に行けなくなります。

心が縮こまってしまって、疲れてしまったんですね。

ひと夏の間、おばあちゃんと一緒に生活をし、心の滋養をとることを学びます。

 

10代の頃は誰しも、心のコントロールがうまく出来ないものです。

心がコントロールできないから、生活もコントロールできなくなる。

生活が不規則になって乱れていくと、さらに心はコントロールできなくなる。

 

おばあちゃんは少女に、丁寧に生きる方法を教えてくれます。

丁寧に生活を送ることを重ねていけば、心は気力を取り戻す。

 

大人になっても心のコントロールは100%はできないものです。

冷静さを失ったとき、

心身ともに疲れ切って自分を見失いそうなとき、

この本を開いて心の静養を得て下さい。

 

新潮社の夏の100冊フェアに毎年大体入っていますので、どこの書店でも入手可能です。

フェアに入っていなくても、新潮社の文庫棚に必ず常備してあるロングセラー。

夏に読むにはうってつけの一冊。

 

【FX】トルコリラ暴落

昨日から今日の朝方にかけて、トルコリラの暴落がエグかったですね。

トランプ大統領がトルコへの関税を倍にするとツイートして、暴落に一役買ったわけですが、アメリカは容赦ない。(怖)

弱っている者をさらに叩きのめすのは戦術として基本なのですが、やりすぎでは?

ここのところ、毎日のように史上最安値を更新し続けているトルコリラ

こんなに下落してしまっては、もうトルコは終わりなのでは?

・・と多くの人が考えればさらに売られて下落を誘発するというスパイラル。

 

トルコがやばくなれば真っ先に巻き添えをくらうのがユーロ。

ユーロもつられて昨日は大幅下落。

トルコリラからドルに資金が移動しているという話ですが、昨日はリスク回避で円がドルよりも買われた印象がします。

あんまり円高にしないでほしいものです。

ドル円が上昇しにくくなる。

 

米中貿易戦争も終わりが見えてきませんし、

今年、リーマンショックを越える金融危機が起こっても不思議じゃない感じです。

 

トルコがんばれ。

このままだと世界金融危機の火付け役になるぞ!

 

【マンガ】『ピアノのムシ』(13巻)―技術には敬意を払え!

『ピアノのムシ』荒川三喜夫 / 芳文社

ついに完結してしまいました。(´;ω;`)

すごく好きだったのに・・・。

 ピアノ業界のことを知りたければこのマンガが一番です。

 

調律師界のブラックジャックが主人公といえば若干語弊がありますが、ニュアンスが他に思いつきませんでした。(そこまで法外の報酬は要求しないので。)

技術も知識もすさまじく、超ひねくれ者で酒と格闘技好きの調律師の主人公・蛭田。

 彼はとにかく技術のない同業者と、ピアノの知識もなく知ろうともしない顧客を嫌悪しています。日本人の民度の低さに苛立っています。

 

とかく日本人は金を払うという点でケチ過ぎる。

割引きしていれば飛びつき、 安ければ安いほどよいと思っている。

安ければそれだけ品質が保証されないということが分かっていない。

安い粗悪品を買ったくせに、壊れたり傷んでいたらすぐに文句を言う。

 

こんなメンタリティが大衆で共有されていれば、

「高品質のものは価格が高くなって当然」だという当たり前のことに気付けない。

そして価格が高いことを受け入れられない。

 

それはモノだけに限らない。

技術に対しても同じこと。

 

高い技術にも対価を支払うべし。

技術とそれを持つ技術者に敬意を払うべし。

 

多くの人は安いものにしか触れようとしないから、一生ホンモノを知ることなく終わる。文句だけは一人前で。

 

そんな人間にはなりたくないものです。