【小説・ミステリー】『パレートの誤算』―ケースワーカー殺人事件【2020年3月~ドラマ化】
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『パレートの誤算』柚月 裕子 / 祥伝社
⇧文庫版は、2017/4/12発売。
2020年3月7日からドラマ放送がスタートします。(WOWOW)
主演は橋本愛さん。
他に増田貴久さん、北村有起哉さんらが出演されます。
<ケースワーカーとは>
この小説では「ケースワーカー」が題材になっています。
ケースワーカーとは、生活保護受給者の住居を定期的に訪問し、必要な支援を行う行政の担当者のことです。
生活保護受給の判定から始まり、家庭環境や状況の調査、就労指導が主な仕事です。
他には、介護や不登校児童などの相談も扱っています。
ケースワーカーの人手は不足しています。
それだけ生活保護の受給者が増えているとも言えます。
そのため、社会福祉法ではケースワーカーの標準担当世帯数は80とされていますが、それ以上の受け持ちを抱えている人もいます。
彼らはただ受け持ちの世帯を定期的に訪問していればいいわけではなく、新しい生活保護申請者の書類整理や、病気や金銭トラブルを抱える受給者からの問い合わせの電話に対応しなければなりません。
大変な激務なので、身体を壊す人もいます。
生活保護の不正受給は論外ですが、
受給の権利を獲得した者の中には、現状から抜け出す意志がなく、酒やギャンブルや必要以上の娯楽に使ってしまう人がいます。
「支給されたお金をどう使おうと自由だ」という意見もありますが、市民の税金がそんなことに使われれば、大抵の人は憤りを覚えるでしょう。
ケースワーカーの人でも、そんな人間の住居を訪問して相談を受けるなんて、憂鬱な気分になって当たり前です。
この小説では、そんなケースワーカーが殺害される事件が起こります。
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<あらすじ>
主人公は2ヶ月前に市役所に就職した牧野聡美。
彼女は地元の福祉大学で社会福祉士と児童福祉司の資格を取得し、卒業後、ダメ元で受けた採用試験に合格したのです。
彼女が配属されたのは福祉保険部社会福祉課で、生活保護に関わる業務を任されました。
聡美は生活保護受給者に対して、嫌悪感を抱いていました。
彼らを一括りにしてはいけないとは分かっていますが、税金を酒やギャンブルで使い果たす人間に憤りを思えていたので、そういう人達と関わりたくなかったのです。
彼女は今までは配属されて間がなかったので、デスクワークだけの仕事でした。
しかし「これからはケースワーカーの仕事も覚えるように」と上司に言われ、気が重くなりました。
聡美は昼休みに、先輩の山川からアドバイスをもらいました。
山川は職場で誰からも尊敬されている人物で、ケースワーカーとして受け持ち世帯は160(標準の2倍)を超えていました。
彼はケースワーカーの仕事はハードだけど、やりがいのある仕事でもある経験談を示しました。
聡美は山川に説得される形で、午後から生活保護受給者の家庭訪問に向かいました。
聡美は先輩の小野寺と一緒に行動しました。
彼女たちは、各訪問先で受給者の体調や就職活動状況を質問していきます。
そしてその日の予定の訪問を終えて、市役所に戻りました。
一方、別の担当地区を回っているはずの山川は、まだ帰ってきていませんでした。
いつもなら帰って来るはずの時間なのに、連絡すらありません。
やがて、山川が訪問しているはずの受給者が住むアパートで、火事があったと知らされました。
聡美は山川に電話してみますが、つながりません。
心配になった聡美と小野寺は、火事のあったアパートに行ってみました。
アパートはまだ燃えており、そこから山川の遺体が発見されました。
遺体は焼けていましたが、死因は焼死ではなく撲殺―つまり他殺でした。
問題のアパートには8世帯が入れるようになっており、事件当時は6世帯が入居していました。
全員一人暮らしで、全員生活保護受給者です。
6人のうち5人は、警察が連絡を取れました。
残り一人の行方は分かりません。
聡美と小野寺は、尊敬していた山川の死の原因を探るべく、アパートの元住人達に聞き取り調査を行います。
果たしてケースワーカーの山川は、誰になぜ殺されたのでしょうか。
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<まとめ>
生活保護受給者の住居を定期的に訪問するケースワーカーが、訪問先のアパートで殺害されます。
被害者の同僚だった主人公(聡美)は、上司や警察に内緒で、犯人と犯行動機を探ります。
調査の過程で、新人ケースワーカーの聡美は生活保護の深い闇を知ることになります。
良い子ぶった聖人のようなケースワーカーではなく、嫌な事や不快な事は顔に出てしまう、主人公の普通の人間っぽさに好感が持てます。
ケースワーカーの仕事と、生活保護の実態を知ることが出来る社会派ミステリーです。
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