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【マンガ】『アンサングシンデレラ』2巻―理想を枯れさせないために

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紙の本も読みなよ / A-key-Hit

『アンサングシンデレラ』荒井ママレ / 徳間書店

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⇧2019年4月20日発売。

 

1巻の記事「薬剤師の存在価値」はこちら。

 

<病院薬剤師とは>

薬剤師を題材としたマンガです。

日本の薬剤師の2割は病院薬剤師であるそうで、このマンガではそこに焦点が当てられています。

病院薬剤師とは病院や診療所に勤務する薬剤師のことです。 

医師の処方通りに調剤をすることが主な業務ですが、患者への服薬指導や他部署(このマンガでは救急救命)の手伝いも行います。

 

病院の薬局やドラッグストアで働く薬剤師と違うのは、病院内でのチーム医療に参加できる点です。

医師に処方の根拠を直接聞けたり、カルテで治療方針を確認したり、看護師やリハビリ専門職とも薬のサポートで関わったり、様々な職種の人間と接することができるのが最大の強みです。

他には臨床医療に携われる、最先端の医療現場に立てる、定期昇給があるといった点がメリットです。

 

とはいえ、夜勤もありハードな現場です。

定期昇給があるとはいえ、調剤薬局やドラッグストアで働く薬剤師よりも年収は低いと言われています。 

2巻の冒頭では、2年目の薬剤師としてそれぞれの現場で働く大学時代の同級生たちのランチのシーンが描かれています。

そこでは、製薬会社のMR(医療情報担当者)が590万調剤薬局勤務440~480万という年収に対して、病院薬剤師は380万だという推定金額が記載されています。

月の手取りが20万くらいというレベルです。

高度な専門知識を必要とする職種なのに、それにしては安い気がしますね。

 

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<あらすじ>

主人公は2年目を迎えた病院薬剤師の葵みどり。

理想に燃えるあまり感情で突っ走ってしまって、医者とケンカになることもあります。

患者の安全第一を常に考えているため、部署の垣根を越えて意見することも(嫌がられようが)遠慮しません。

それによって軋轢を生みそうなときは、理解のある上司のサポートによってこっそりアフターフォローされています。

 

ある日、足を骨折した透析患者(新田)の服薬指導面談をすることになりました。

新田は仕事の都合上、24時間営業のドラッグストアで薬を処方してもらっていました。そこで渡された薬があまりにも多く、飲み忘れもあり、明らかに管理できていません。

ドラッグストアでの薬剤師の説明も適当で、新田も別にそれを気にすることなく危機感を持っていません。

逆に葵は新田のそのズボラさに危機感を覚えます。

 

葵はそのドラッグストアに電話して、処方についての確認を行います。

透析日と非透析日では薬を飲む量が違うのに同じ袋に入っていたり、

食前の薬と食後の薬がまとめて一包化してあったり、

割ってはいけない錠剤を半分にして渡していたり、

患者のことを考えていない、いい加減すぎるドラッグストアの担当者の仕事ぶりに腹を立てて問い詰める葵でしたが、「医師の指示なんで」というのらりくらりとした返答しかしてもらえません。

 

とうとう葵はドラッグストアにまで乗り込み、担当者と口論するまで事態は発展してしまいます。

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<理想を枯れさせないために> 

ドラッグストアの新田の担当薬剤師・小野塚も最初からいい加減な仕事をしていたわけではありませんでした。

入社当初は理想に燃えて懸命に働いていましたが途中で会社の経営方針が変わり、他のドラッグストアとの差別化を図るために、24時間営業に変更になってからは心を擦り減らしていきました。

 

忙しくなったのに人を増やそうとしない上司、夜勤が嫌だと言って辞めていく同僚、独身の正社員だからという理由で夜勤を多く回されて、予約していた勉強会にも参加させてもらえない状況にイラ立ち、疲れていきます。

そんな中での夜勤は一人で色んな業務をこなさないといけないので、薬の処方時の説明もいい加減になってしまうというわけです。

 

そういった事情を知らない葵は「患者のことをもっと考えろ」と正論を述べますが、

小野塚にこう言い返されます。

 

「病院薬剤師ってなんかエラソーですね。

でもまぁそっか、自己負担金払わない患者の家に頭下げて集金に行くこともなければ、レセプト(診療報酬明細書発行)なんてやったこともないんでしょうね。

病院の外でも、そっちの理想 振りかざすんじゃねえよ。」

 

 

これは別にドラッグストアに限った話ではなく、コンビニなどの24時間営業やそれに近い営業形態を採用している職場ならどこにでも当てはまる話です。

会社は安易に営業時間を延ばすくせに、経費節約のために人員増強は実施したがりません。顧客満足度を上げようと叫ぶくせに、従業員の労働環境満足度にまで目は向けません。「お客様のために!」と言うくせに、そう口にしたマネージャーは深夜に働くことはありません。

現場で働く従業員たちが全てのシワ寄せを背負うのです。

心が疲弊して当然です。

 

葵の上司も言っていましたが、個人だけではなく職場全体が問題を抱えていることもあるので、いち薬剤師がどうこうできるレベルの問題ではありません。

 

このドラッグストアの経営方針のダメダメ具合は置いておくとして、

葵は病院と地域薬局との連携が取れていないことにも懸念を示していました。

病院薬剤師だから分かること、患者のかかりつけのドラッグストアの薬剤師だから分かることがそれぞれにあるはずなので、薬剤師の地域合同勉強会を提案します。

最終的には小野塚もその勉強会に参加しに来るシーンで物語は終わります。

 

普段から話をしないなら、いざという時に連携も取れないのは当然です。

問題点を共有していけば、お互いに助け合える部分も見えてきます。

理想のビジョンも押し付けることなく築いていけます。

 理想を枯れさせないためには、独りで頑張るんじゃなくて、仲間と話し合って協力していくことが重要なのかもしれませんね。

   

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