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【小説・ミステリー】『月の落とし子』―月から出土した未知の致死病原体が地球へ!

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紙の本も読みなよ / A-key-Hit

『月の落とし子』穂波了 / 早川書房

⇧2019/11/20発売(ハードカバー)

SFミステリーです。

第九回アガサ・クリスティ―賞で大賞を受賞しました。

 

同時受賞した『それ以上でも、それ以下でもない』(折輝真透)の

紹介記事はこちらをクリック⇩

www.a-key-hit.com

 

 

<パンデミック系SF>

未知の細菌感染によるパンデミック系SFは、アメリカドラマをはじめとして、今やかなりおなじみのネタです。

これは「災害パニックもの」の一つに該当します。

 

人為的な原因による「災害パニックもの」で、代表的なものが核爆発(核戦争)です。

ただ「核」というネタを使うと、ストーリーの大筋が「爆発するかしないか」の二つにほぼ決まってしまいます。

これでは「意外な展開」が起こりづらくなります。

だから著者は人間の生き方だとか、人生哲学だとかの内省的な方向に舵を切ることによって、作品の深みだったりオリジナリティを見出そうとします。

(あるいは政治的かけ引きにシフトします。)

 

SFにはそういったジャンルもあるので、批判しているわけではありません。

ただ「パニックもの」を期待している読者の方にとっては、「核」が題材だと肩透かしを食らう可能性があるということです。

 

一方、「生物・化学系の災害」つまり細菌感染のパンデミックは、「核」とは違ってラストまでどうなるか分かりません。

病原体が伝染していっても治療薬があれば対抗できますし、治療薬がなくても感染地域を焼却すれば一時的な応急対策にはなります。(非人道的ですが・・)

 

治療法は確立されているのか(方法すら模索中か)

・治療薬は開発されているのか(開発途中ならどの段階か)

・治療薬のレシピはごく少数しか知らないのか(一般には知られていないのか)

・治療薬は感染者に行き渡るほど十分な量があるのか(生産は間に合うのか)

・治療薬を被災地に届ける手段があるのか(輸送は間に合うのか)

といった様々なレベルでのシチュエーションがありえます。

「核」のように爆発したらもう終わり、ではなく、逆転の手段が残されている点が「パンデミック系SF」の面白さでもあります。

 

この小説では、月の裏側から出土した未知の致死病原体(ウィルス?)が登場します。

発症から解決までの流れが実にスリリングです。 

 

 ⇩エボラウィルス

「エボラウイルス」の画像検索結果

 

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<あらすじ>

時代は現代か少し先の未来。

月面を調査する「オリオン計画」の第3回目。

5人の宇宙飛行士たちはオリオン3号で月を訪れました。

アポロ計画の6機の着陸船は全て月の表側に降り立ちましたが、現在、人類が注目しているのは月の裏側です。

 

第3回オリオン計画には、月の裏側のマグネシウム分布などを調べるため、土壌試料を採取して持ち帰るというミッションがありました。

採掘場所は、南極の盆地に点在しているクレーターの中です。

船外活動は船長と副船長が担当しました。

それは技術的には不安のない、栄光に満ちたミッションになるはずでした。

 

ところが船外活動中に船長が苦しみ始め、数分後には副船長も同様の状態になりました。

二人は突然吐血し、1時間後に死亡しました。

全くの原因不明事態でしたが、船長たちを月に残したままにしておけません。

残りの生存者のうちの二人(工藤晃とエヴァ)は、遺体の回収に向かい、無事に宇宙船に帰還しました。

 

船長たちの遺体の様子は、ウィルス性の出血熱の症状に似ていました。

ただエボラ出血熱などと違うのは、潜伏期間に自覚症状はなく、発症すればあっという間に死亡してしまうという点です。

晃は最初は宇宙にウィルスが存在するとは信じられませんでしたが、エヴァは「宇宙だからこそ、あり得ない可能性も考えないといけない」とたしなめます。

 

感染症だとして、一体船長たちはいつ感染したのでしょうか

宇宙に来る前から感染していたという可能性は、出発前に徹底した検査を受けたのであり得ません。

宇宙船に病原体が付着していたり、一緒に連れて来たマウスが感染していた可能性も、議論の末、棄却されました。

結局、月の土壌に病原体が潜んでいた可能性が高そうです。

 

生き残った宇宙飛行士たちは地球に帰還しようとしますが、オートパイロットが故障していました。

なんとか手動操縦を試みますが、人工衛星に衝突して、意図しないタイミングで地球に落下することになりました。

 

果たして生き残った宇宙飛行士たちは、無事に地球に着陸できるのでしょうか。

地球に到着した未知の致死病原体を、人類はどうやって根絶するのでしょうか。

 

 「月の裏側 画像」の画像検索結果

 

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<まとめ>

 月の裏側から土壌採取した5人の宇宙飛行士たちが、未知の致死病原体に感染します。

発症すれば、短時間でほぼ確実に死に至ります。

宇宙飛行士たちは何とか犠牲者を最小限にしながら、地球に帰ろうと試行錯誤します。

宇宙船は地球に到着しますが、そこから病原体が感染を広げていきます。

 

 超絶にスケールの大きい、災害パニックSFミステリーです。

ピンチに次ぐピンチで、息つく暇がありません。

冒頭から最後まで退屈な部分が一切ない、見事なストーリーでした。 

 

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