【マンガ】『亜童』―軍事機密能力者の少年たち【令和版AKIRA】
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紙の本も読みなよ / A-key-Hit
『亜童』天野 雀 / 講談社
⇧1巻は、2020/2/6発売
<息つぎなしの逃亡劇>
漫画やアニメで、魅力的な逃亡劇を描くのは大変です。
会話が多い推理ものや、一ヶ所で戦うバトルものと違って、背景が固定できない(使い回せない)からです。
次々と場面が切り替わっても、読者が今何が起きているのか理解できるよう、作者は背景描写を逐一丁寧にやる必要があります。
似たような背景を描かない作画は、かなり手間がかかるのです。
そして、ただ逃げている主人公と、追いかけて来る敵を描いていればいいわけではありません。
なぜ逃亡劇になったのかという状況説明も必要になります。
ところが下手に回想シーンを入れると、逃亡劇のテンポや緊迫感が失われるので、説明はタイミングと長さが重要になってきます。
背景描写が上手く、状況説明のタイミングも量もバッチリな漫画は、息つくヒマもなく一気に読まされます。
この漫画がまさにそうです。
読み始めたら最後まで止まらない、非常に構成の上手い作品です。
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<あらすじ>
日本が移民を受け入れて、人種のるつぼとなった近未来。
ネット環境は5Gになり、顔をスキャンすれば氏名・年齢・国籍がすぐに分かり、本人確認が容易な時代です。
自動運転車もありますが、人間が運転している車も多いです。
最近では、雇用を奪われた日本人の一部が、移民を排斥するデモを行っています。
19歳の冴木リコは、15歳のときに家を出てからフリーターとして暮らしていました。
彼女は今、コンビニのバイトをしていますが、店長がネチネチと絡んでくるので嫌気がさしていました。
そして6度目の遅刻を機に、彼女はバイトを辞めました。
リコはある日、トラックに轢かれそうになった少年・エイトを救いました。
エイトは迷子のようだったので、警察に連れて行きました。
リコは警察でエイトの母なんじゃないかと言われましたが、本人確認後に疑いは晴れました。
一方、エイトのIDデータは警察に登録されていませんでした。
「アンタ、このままだと孤児院に送られるよ」というリコの発言を受け、エイトは警察署から逃げ出します。
リコはエイトの預け先に困りましたが、とりあえず夕飯を食べに中華料理屋に入りました。
いざ料理が運ばれてきて、さあ食べようという瞬間、窓際に座っていたエイトは外から狙撃されました。
窓ガラスが割れたことにリコも周囲の客も驚きますが、もっと驚いたことは、エイトの右腕が植物化し弾丸を受け止めていたことです。
その後、エイトを狙撃した武装部隊は店内に突入してきました。
彼らはエイトを殺害するため、容赦なく一斉射撃を始めます。
エイトは防御しきれずに重傷を負っていきます。
リコは射撃の間隙をぬってエイトを店内から連れ出し、射撃部隊から逃亡しました。
事態はよく飲み込めていないリコでしたが、このままエイトを放り出すのは寝ざめが悪いので、エイトを守ることを決意しました。
実はエイトは、軍の研究所で生み出された特殊能力者の一人だったのです。
彼らは「亜童」と呼ばれ、自分の肉体を植物化して攻撃や防御が出来ます。
エイトは研究所から脱走したのですが、軍の追手に見つかってしまいました。
機密保持のためか、エイトには殺処分命令が出ていました。
果たしてエイトとリコは、軍の追跡から逃げ切れるのでしょうか。
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<まとめ>
近未来を舞台とした、本格SFアクション漫画です。
軍によって生み出された特殊能力を持った少年が、研究所から逃げながら、追手の軍と戦います。
肉体を植物に変えられる能力は特別斬新なものではありませんが、その能力発動の迫力は抜群です。
絵は上手く、オリジナリティもあります。
新人作家とは思えない巧みな画面構成、テンポ、キャラクターの表情の豊かさが魅力です。
まさに令和版『AKIRA』とも呼べる、存在感のある作品です。
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