【小説・文学】『戒厳令の夜』―ロマンティック「ギャラリーフェイク」+センチメンタル「宗像教授伝奇考」
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『戒厳令の夜』五木寛之 / 新潮社
恩田陸推薦本にあったので読んでみました。
40年前に出版された小説です。(著者はこれを40代で書いた。すごい!)
なんともジャンル分けしにくい(あらゆる要素を内包した)不思議な物語でした。
マンガの『ギャラリーフェイク』(細野不二彦)と『宗像教授伝奇考』(星野之宣)を足してさらに政治抗争を加えたらいいでしょうか。
全く説明になってませんね。
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ある日、引き寄せられるようにとある酒場に入った主人公・江間。
壁に掛かっていた1枚の絵を目にして衝撃を受ける。
その絵は幻の画家パブロ・ロペスの作品だと確信する。
彼の作品はナチスに奪われ行方不明だったはずなのに、その1枚が福岡の酒場にあるのはどういうわけか?
つてを使って謎を解明する協力者(仲間)を増やし、他の作品群の在処を探す。
その過程で日本の政治家たちの炭鉱疑獄事件の暗部に触れてしまい、日本という国家を敵に回してしまうハメになる。軍や警察からも追われ、全国指名手配。
ロペスの作品群はゲットしたけれど、逃亡の方法がない。(絵を正当な持ち主に返却したい。)
そこで日本の裏道を知り、外道の世界で生きる水沼隠志に助力を求める旅へ。
ナチスのUボート、スペイン内戦、日本のサンカ(山人)の民俗学的伝承、そして最終地点・チリの軍事クーデターへ。
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世界観のスケールが壮大すぎて、僕の貧弱な語彙力では説明不可です・・orz
僕はこの時代に生きていなかったし、知識もほとんど無いので、どこまでが事実でどこからが創作なのか分からないほど、リアルに世界観が構築されていました。
なにより、著者の広域な分野の博学ぶりと当時(1970年代)の時事についての深い分析に驚嘆しました。参考文献の量もえげつない。
僕の中で「すごい作家」像とはまさにこういう人物です。
誰かに紹介されないと40年前の小説なんて知ることすらなかったでしょう。
教えていただいて感謝(^▽^)
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