【小説・SF】『地下鉄道』―黒人奴隷少女の壮絶な逃亡劇
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『地下鉄道』コルソン・ホワイトヘッド / 訳:谷崎由依 / 早川書房
史実をもとに、SFの要素を加えて構成された文学作品です。
<あらすじ>
19世紀前半。
アメリカ南部で奴隷として農園で働く黒人の少女(主人公・コーラ)が、ある日同僚に一緒に逃亡する計画を持ち掛けられます。
逃亡をして捕まれば確実に拷問の末、殺されてしまいます。
そういう前例を何度も見てきました。
しかし劣悪な環境で働かされ、毎日に希望がもてない状況には変わりありません。
果たして逃げだしたところで、黒人奴隷が外界で生きていけるのか不安もあるので、逃亡計画に積極的に参加するのは躊躇してしまいます。
そして奴隷の仲間が理不尽に殺されたことで、ついに逃亡を決意します。
アメリカの地下には、黒人奴隷を解放する組織が運営する鉄道が走っています。
(ここだけがSF的設定で他の歴史的背景・設定は史実だと思われます。)
それに乗ってコーラは仲間とともに近くの駅に降りて、体力を回復させることにします。
その街では、これまでの農園生活とは比較にならない生活環境が用意してもらえました。生活に慣れるにしたがって気も緩みます。
やがてその街では表面上は黒人の地位向上を謳っているが、裏では黒人を使った恐ろしい人体実験が町ぐるみでなされていることを知ることになります。
彼女はまた別の街へ逃げることを決意します。
その後、いくつかの街を転々とすることになります。
逃亡奴隷を捕まえようとする賞金稼ぎに追いかけられ、逃亡中に白人を正当防衛のためとはいえ殺してしまったために指名手配されているから。
どの街でも程度の差はあれど、黒人は理不尽な差別、暴力、虐待、虐殺を受けていることを目にすることになります。
黒人であるだけで、ただ生きるということがこんなにも難しい時代があったのです。
そもそも人だと認めてもらえてなかった。
人ではないから、自由や平等といった権利を享受する資格はないという理屈です。
読み通すには中々ハードな内容で、苦しさと憤りでしんどくなりました。
本当の意味で自由と平等が実現した世の中にしたいですね。
2017年12月出版。
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