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【小説】『刑罰』―裁判でも人生は狂う【このミステリーがすごい2020・18位】

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紙の本も読みなよ / A-key-Hit

『刑罰』フェルディナント・フォン・シーラッハ / 訳:酒寄進一 / 東京創元社

⇧2019/6/12発売。

ハードカバーです。

『このミステリーがすごい!2020年版』海外編・第18位にランクイン。

 

 

<裁判でも人生は狂う>

この本は短編集です。(12話収録)

それぞれの話は独立していますが、いずれも主人公が犯罪に関わり、裁判にかけられるまでの過程が描かれています。

 

ところで、厳密な法律や裁判の制度ができる前は、犯罪者への裁きは感情的に曖昧に決定されていたと思われます。

では現代の法律や裁判は、完璧でしょうか。

昔と比べて格段に改善されたとはいえ、まだまだ改善の余地や制度の穴があります。

 

 よく「犯罪を犯したことで人生が狂った」と言いますが、裁判によっても人生は大いに狂わされます。

被告人が間違いなく犯罪を犯し、証拠も明白ならば、量刑は簡単だし問題ありません。

ただ、状況証拠からは限りなくクロに近いのに、証拠不十分なために釈放になり、また新しい被害者が出てしまう場合や、

あるいは逆に、やってもいないのに犯罪者にされてしまう(冤罪)場合もあります。

つまり、裁判によって不必要な犠牲者が生み出されるわけです。

 

この小説では、裁判によって人生が狂わされた(人生の受け止め方を大きく変えられた)人々が登場します。

やっていないのにやったことにされたり、やったのにやってないことにされたり、被告人本人の与り知らない所で、そういうことが決められます。

弁護士と検察官が法廷で激論を交わし、とうとう無罪を勝ち取るといった王道のリーガルサスペンスではなく、法律では裁けなかった罪の真相を語るミステリーです。

 

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<あらすじ>

 最も鮮烈だった第1話参審員を紹介します。

 参審員とは、日本でいう裁判員のことです。

ちなみに、この小説の舞台はすべてドイツです。

 

主人公のカタリーナは高地で育ちました。

父は製紙会社の支配人で、母は教師でした。

両親はふもとの町で働いており、カタリーナは学校帰りによく父親の会社に立ち寄りました。

父親は彼女を非常に可愛らしく思っていました。

 

カタリーナが14歳の時、父が秘書と浮気をして、母と離婚することになりました。

カタリーナは母と一緒に親戚の家に引っ越しました。

それきり父とは会いませんでした。

 

その後、カタリーナは大学入学資格試験で学校でトップの成績を取ります。

大学で政治学や法学を学びつつ、州議会議員のオフィスで実習生として働きました。

その議員と恋人になりましたが、結婚を切り出されると冷めてしまいました。

カタリーナはいつも自分には価値がなく、口先だけの人間で、やっている仕事も無意味だと思っていたのです。

 

ソフトウェア開発会社に転職したある日、地方裁判所から通知が届きました。

そこには「5年間、参審員に任命する」と書かれていました。

参審員をやりたくなかったカタリーナは、免除申請を出そうとしますが、調べていくうちに不可能だと分かりました。

初公判の日になり、彼女は渋々裁判所に向かいました。

 

カタリーナが参審員を務めるのは、とある夫婦の傷害事件でした。

審理が進行していき、彼女はとんでもない事をやらかしてしまいます。

 

「法廷 画像」の画像検索結果

 

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<まとめ>

法律では裁けなかった罪の真相を語るミステリーです。

裁判制度の穴が、見事に登場人物たちの人生を狂わせていきます。

主観的な描写を極力排除することで、人生の悲哀がより重みをもって伝わってきます。

 

 1話ごとのページ数が少なく、短い文章で淡々と書き綴られていくので、非常に読みやすいです。

オチの切れ味も鋭く、苦みの効いた大人のミステリーといえます。
この形式の短編集は著者は3作目ですが、人気が出るのも納得の上手さと面白さです。

 

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