【マンガ】『恋と国会』1巻―元地下アイドル VS 世襲議員
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『恋と国会』西炯子 / 小学館
⇧2019年11月29日発売
<国会議員の不正>
日本において、政治家の不正行為が細かく報道されることはありません。
マスコミは政治家の犬に成り下がっていますし、大衆の中に政治家の不正を正そうという意欲も余裕も兼ね備えた人が少ないからです。
ニュースになるのは、ほんの氷山の一角に過ぎません。
結果、一般的感覚からすれば明らかに不適切なことが、数多くまかり通っています。
例えば「議員宿舎」です。
国会議事堂まで徒歩数分の場所にあります。
地方議員は実家から国会に通うのは大変なので、議員宿舎に住むことができます。
そんな都心の一等地の3LDKのマンションに、月14万円で住ませてもらえます。
普通なら40万円以上する家賃ですが、その差額は税金によってまかなわれています。
どうせ寝に帰るだけの部屋に、議員一人に対して月30万円も国民が負担しているのです。
もっと安い部屋で暮らしている国民がほとんどなのに。
議員宿舎が存在する名目は、「議員に職務を能率的に集中してやってもらうため」なのでしょうが、それにしてもこんな高級マンションを建設する必要はありません。
もちろんこれが異常だという感覚を持っている国会議員もいます。
彼らは議員宿舎に住むことを拒否して、他のマンションに住んでいます。
しかしそんな人達は少数派です。
この漫画では、そんな国会議員の世界では当然のようにまかり通っている、気色悪い慣習が多く描かれています。
国会では、一般的感覚ではおかしいと思われることも、「おかしい」と言えない空気が蔓延しています。
この国を正しく変えるには、周りからの同調圧力に負けずに「おかしい」と言える人間が必要です。
この漫画の主人公は、そんなキャラクターです。
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<あらすじ>
この漫画には主人公が二人います。
海藤福太郎(25)と山田一斗(25)です。
海藤は祖父が元国会議員、父が元総理大臣という世襲議員です。
このたび彼の父が政界を引退することを宣言し、その地盤を引き継いで、彼は楽勝で選挙に当選しました。
彼は政治家の家で生まれ育ったことで、政治家としての振る舞い方を完璧に身に着けています。
支援者のご機嫌をとり、さらなる票田の拡大を図り、選挙で確実に勝ち続けることを一番に考えており、特に国の問題点を解決しようとは考えていません。
一方、山田は元地下アイドルの女性です。
彼女は泡沫候補でしたが、選挙演説がウケてなぜか当選できました。
彼女は政治の世界について全くの無知でしたが、同じアイドルグループだったメンバーが自殺してしまったことをきっかけに、無戸籍児問題に興味を持ち、なんとかしたいと考えるようになりました。
つまり、日本をもう少しマシなものにしたいという強い願望だけで、政治家になったのです。
海藤も山田も、初当選の新人議員です。
二人とも政権与党である「大国党」に所属しています。
国会初日には、「首班指名」が行われます。
つまり内閣総理大臣の指名投票です。
それは、テレビでもよく放送されている衆議院本会議場で行われます。
海藤と山田は隣の席になりました。
何も分からない山田は、海藤に投票用紙について尋ねました。
海藤は「総理大臣にふさわしいと思う人の名前を書け」と言いました。
とはいえ、与党の代表者である大黒栄介の名前を書くことは、投票するまでもなく暗黙の了解として決まっていました。
そんな慣習など知らない山田は、自分の名前を書いてしまいます。
そして開票が進み、一票だけ入った山田の名前が呼ばれ、議員たちは驚愕します。
もちろん海藤も信じられない目で山田を見ました。
国会中継もされている状況で、彼女はこう言いました。
「さっきから国会の中を見ていたけど、国のリーダーにふさわしい人なんていない。
過労死した人のことを「厄介」とか言ってたし、偉そうな人に媚びを売るだけの女性議員はいるし、私に「消えろ!」とか言うし、その辺の街の人の方がよっぽど親切だよ。
大黒さんだって国民の声を「雑音だ」と言っていたし、
そんなんだったら私が総理大臣になる!」
与党からは「造反行為だ」「即刻除名処分だ」という声が上がりますが、
観覧席や野党の議員の中には、山田を応援する人もいました。
この程度で新人議員を除名したとなれば、世間から度量が小さいと思われて体裁が悪いため、山田は除名処分を免れました。
そして山田がこれから勝手な言動をしないよう、なんと海藤が彼女の教育係に任命されてしまいました。
これ以降、海藤の現実論と、山田の理想論との戦いが始まります。
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<まとめ>
二人の新人議員がベテラン国会議員たちの世界をかき回す「政治コメディ」です。
片や政界のサラブレッドである世襲議員、片や元地下アイドルの政治に無知な議員。
彼らが戦わせる理想論と現実論が、報道されない政治の世界の腐敗部分を読者に知らしめ、政治について考えさせる構造になっています。
この漫画を読めば、政治家の価値観が大衆といかにかけ離れているか分かります。
ベテラン議員が新人議員に向かって
「政治家の仕事とは当選し続けること。これに尽きる!」と諭している場面はゾッとします。
国に有益な政策の実行ではないんですね。
コメディを装っていますが、ある意味ではホラーとも言えます。
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