【小説・ミステリー】『アリバイ崩し承ります』―アリバイトリック専門の安楽椅子探偵【2020年1月~ドラマ化】
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『アリバイ崩し承ります』大山誠一郎 / 実業之日本社
⇧文庫版は2019年11月25日発売。
『2019本格ミステリ・ベスト10』で1位を獲得した作品です。
2020年1月からドラマ放送が開始されます。(土曜夜11時15分~)
主演は安田顕さんと浜辺美波さんです。
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【小説】『アリバイ崩し承ります』/ アリバイトリック専門の探偵【2020年1月~ドラマ化】
<アリバイ崩し専門の探偵>
この小説は「安楽椅子探偵もの」のミステリーです。
ミステリーにおける「普通の探偵」は、事件現場を訪れ、そこで手がかりを発見し、関係者に聞き込みをして、謎を解いたり真犯人を指摘するものです。
一方「安楽椅子探偵」は、何らかの事情や理由(忙しい、めんどくさい等も含む)により、自分は現場に行かず、誰か(助手的な人)を聞き込みや現場検証に行かせて、その話を聞いて謎を解くスタイルをとります。
要は現場に出向かずに、話だけを聞いて推理する探偵のことです。
現場を見てもいないのに、さも全てを知っていたかのように鮮やかに謎を解く姿はカッコイイし、それが安楽椅探偵の醍醐味とも言えます。
しかし、助手の視点でしか現場を見られないので、手がかりに抜けがあった場合、推理をミスる可能性が高くなります。
まあそれは、ストーリーが盛り上がるオイシイ展開ととらえることもできます。
安楽椅子探偵は、古今東西のミステリーで色んな作家が書いています。
海外作品で有名なのが、ジェフリー・ディーヴァーの『リンカーン・ライムシリーズ』のリンカーン・ライムです。
国内作品なら、東川篤哉さんの『謎解きはディナーのあとで』の執事の影山です。
前者は脊椎不随で、自由に動くのは左手の人差し指と首から上だけという状態なので、自然と現場捜査は相棒に任せる形になります。
後者は健康体ですが、本業が探偵ではなく執事なので、現場にわざわざ行ったりしません。
これから紹介する『アリバイ崩し承ります』は、後者のパターンです。
本業が時計屋なので、探偵役の主人公はその店から動きません。
彼女はアリバイトリックだけに限定した探偵業を、サイドビジネスとしてやっています。
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<あらすじ>
この小説は、7話構成の連作短編になっています。
毎回、依頼人が解いて欲しいアリバイトリックの謎を、探偵の店に持ち込みます。
以下で、第一話「時計屋探偵とストーカーのアリバイ」を紹介します。
1ヶ月前に県警本部捜査一課に異動した新人警官の「僕」は、ようやく取れた休みの日に、引っ越してきたばかりの商店街を散歩していました。
彼はふと腕時計を見てみると、秒針が止まっていることに気付きました。
電池交換をしてもらうために、彼は近くにあった時計屋に入りました。
その店の名前は<美谷時計店>。
店主の美谷時乃(みたに ときの)は、先代の店主である祖父が亡くなったため、20代半ばで跡を継ぎました。
両親はすでに亡くなっています。
店内には「時計修理承ります」とか「電池交換承ります」といった張り紙があり、他に「アリバイ崩し承ります」というものまでありました。
詳細を尋ねたところ、美谷はこう答えました。
「アリバイがあると主張する人は、何時何分、自分はどこそこにいたと言います。
つまり時計がその主張の根拠となっているのです。
ならば時計屋こそが、アリバイ問題をもっともよく扱える人間ではないでしょうか」
メチャクチャな理屈ですが、とある殺人事件に行き詰っていた「僕」は、試しに美谷に相談してみることにしました。
ちなみに「アリバイ崩し」の成功報酬は、1回5000円です。
「アリバイ崩し」を依頼したのは、女性の大学教授が殺害された事件です。
彼女は一年前に夫と別れましたが、その男はストーカーになって彼女に付きまとっていました。
犯人はその男であることは間違いないのですが、彼には鉄壁のアリバイがありました。
被害者の浜沢杏子は、自宅で背中にナイフが刺さった状態で発見されました。
発見者は被害者の妹で、午前8時に被害者宅を訪れました。
姉が前日から電話に出なかったため、心配になったからです。
死亡推定時刻は前日の夕方から夜にかけての間です。
その時間帯は、妹はずっと勤め先にいたのでアリバイがあります。
一方、杏子の元夫である菊谷五郎は、殺害当日の昼にも杏子の職場に乗り込んできており、複数の人間がそれを目撃していました。
彼が杏子に金を貸してくれと何度も頼みに来ていることは、多くの人が知っています。
彼はギャンブル狂なのです。
菊谷は杏子の葬儀で、警察とモメました。
当然、彼は殺人容疑を否認していますし、殺害時刻には高校時代の友人たちと居酒屋にいたと主張しています。
居酒屋で8分間席を外した事実はありますが、その短時間で殺人を実行して現場から戻ってくることは出来ません。
果たして、犯人は元夫なのでしょうか。
だとすると、そのアリバイトリックとは、どういうものなのでしょうか。
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<まとめ>
安楽椅子探偵による、アリバイトリックだけに限定したミステリーです。
探偵は現場に行くことなく、話を聞いて即座に事件の謎を解きます。
難しい表現や、雰囲気づくりのための冗長な演出もほとんどないので、
「普段、小説なんか読まない」という方や、「ミステリーは難しそうで苦手」という方にもおすすめできる作品です。
話の分量も、それぞれ30~40ページ程度なので、「長くて読み切れない」ということにはならないはずです。
とはいえ、トリック自体はけっこう凝っているものもあり、ミステリーを読み慣れている方でも「なるほど~!」と唸らされるでしょう。
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【小説】『アリバイ崩し承ります』/ アリバイトリック専門の探偵【2020年1月~ドラマ化】