【マンガ】『応天の門』1巻―名探偵・菅原道真(+在原業平)
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紙の本も読みなよ / A-key-Hit
『応天の門』灰原薬 / 新潮社
⇧1巻は2014年発売。
最新刊の11巻は2019年7月発売
<菅原道真>
菅原道真をご存じでしょうか。
学問の神様といわれています。
優秀な学者でもあり政治家でもあった、平安時代の人物です。
遣唐使を廃止したのも彼です。
道真は幼少期から本を読み漁り、漢学の知識が豊富でした。
彼は平安京の中の大学で、文章得業生にまで上り詰めます。
<昇級の流れ>
大学寮の寮試験を受けて合格する ➡ 擬文章生(もんじょうしょう)
➡ 式部省の試験で合格する ➡ 文章生(20名)
➡ 特に優秀な2名が選ばれる ➡ 文章得業生
➡ 秀才試を受ける資格を得る。優秀な答案を作成した者は官職に任じられる。
つまり超優秀な学生だったわけです。
この漫画は、そんな頭脳明晰な菅原道真を探偵役としたミステリーです。
賢いといわれている昔の人物をミステリーの探偵役(主人公)にする作品はいくつかありますが、菅原道真が探偵役の作品はいままでありませんでした。
意外な盲点です。
ちなみにワトソン役は歌人・在原業平(六歌仙)です。
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<あらすじ>
西暦860年代。(平安時代)
藤原良房(よしふさ)が権力を握り、藤原氏の栄華が始まろうとしていました。
世間(平安京内部)では藤原氏の召使いの下女二人が行方不明になっており、鬼の仕業かというウワサまで立っていました。
帝はこれを凶兆だととらえ、早急に事態を解決するよう在原業平(40歳前後)に指示します。
一方、菅原道真は20歳前後。
彼はまだ、大学で文章生(もんじょうしょう)という身分でした。
道真は毎日家で読書に励み、たまに大学に来たかと思えば、先生に本を借りてすぐ帰ってしまいます。
大学校内は騒がしく、肩書きが欲しい者と仲間と騒ぎたい馬鹿ばかりで、彼の勉強の邪魔でしかなかったからです。
ある日、先生に本を借りて家に帰ろうかとする矢先、友人の長谷雄(はせお)が女官かどわかしの嫌疑で検非違使(けびいし)に逮捕される現場に遭遇します。
つまり行方不明になった女たちをさらった犯人が長谷雄だとみられたのです。
同じ現場に業平も出くわしました。
道真は友人の冤罪を晴らすため、業平は帝の命令を果たすため、二人は協力しながら下女誘拐事件の捜査に乗り出します。
そして 容疑者は絞られていき、藤原親嗣(ちかつぐ)が怪しいことまで捜査が進みます。
しかし「これ以上の深追いはしない」と業平は言いました。
藤原氏は朝廷の権力を掌握しており、たとえ容疑者を追い詰める証拠があろうと、屋敷内のことに口出しできる者など誰もいないからです。
今や藤原氏に逆らうことは、帝に逆らうことと同義なのです。
たとえ捜査内容を報告したところで、良房がもみ消すだろうという業平の判断です。
道真は権力者によって正しいことができない社会の理不尽さに腹を立てます。
果たして、彼はどうやって事件を解決するのでしょうか。
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<まとめ>
平安時代のミステリーなので、指紋やら死亡推定時刻やらの科学捜査は存在しません。
厳密な密室も、科学技術を使ったトリックも出て来ません。
検非違使という警察のような組織も存在しますが、それよりも上位の権力者たちに対しては家宅捜索すら出来ません。
現代の科学捜査・警察の捜査とは勝手がかなり違っています。
権力者たちによってまともな捜査ができないことが、この漫画の面白さの一つです。
高度なトリックの解明とは違い、「どうやって解決までもっていくか」に知恵が絞られています。
「物忌み(ものいみ)」や「方違え(かたたがえ)」など、古文の授業で習った懐かしい言葉たちも登場します。
会話の中で自然に使われているので、リアリティがあって簡単に覚えられます。
これらがアリバイになったりするのも上手い使い方です。
チビで目つきと口が悪いけど頭がいいという道真のキャラは最高に面白いです。
絵も上手いです。
ちょっと変わったミステリーが読みたいという方にオススメです。
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