【マンガ】『夢で見たあの子のために』1巻―サスペンスの面白さは切迫感
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紙の本も読みなよ / A-key-Hit
『夢で見たあの子のために』三部けい / KADOKAWA
⇧2017年12月発売。
現在3巻まで出ています。
<著者の作品について>
この『夢で見たあの子のために』は、アニメ化も映画化もされた大ヒット作品『僕だけがいない街』が終わった後に始まった作品です。
『僕だけがいない街』のテイストと似ていますが、あの空気感に再会できるのはむしろ喜ばしいことだと個人的には感じます。
著者はかつて、マンガ『ジョジョの奇妙な冒険』のアシスタントをしていたこともあり、そのせいかサスペンスの空気を演出するのが抜群に上手いです。
「ドドドドド」という効果音はもちろんありません。
『僕だけがいない街』以前にも、『魍魎のゆりかご』や『鬼燈の島』といった作品を描かれていて、どれもホラーサスペンスです。
著者の得意ジャンルなのです。
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<あらすじ>
主人公は高校3年生の中條千里(せんり)。
彼は5歳の時に両親と兄を何者かに皆殺しにされ、それ以降は施設で育ちました。
施設に入ってからも当時の記憶に苦しめられ、犯人を憎むようになっていきます。
千里は一家が殺害された瞬間は押し入れに隠れていて助かったのですが、
兄が連れ去られる瞬間に犯人の右腕に特徴のあるアザを見つけていました。
それだけを手がかりにしてこれまで犯人を捜し続けてきましたが、当然見つかるはずもありません。
ある日、テレビで町工場の取材のシーンを見かけます。
なんとインタビューを受けている者の背後にいた作業員の右腕に、特徴のあるアザがあったのです。
千里は急いでその町工場へ向かいましたが、その作業員(山田(=偽名))は退職したあとでした。
町工場の同僚に山田の引っ越し先を教えてもらった千里は、そのアパートへ向かいました。しかし住人からは山田は一週間前に死んだと告げられます。
山田の死を信じられない千里は、手がかりを探します。
そのとき、謎の二人組の男達が乗り込んできました。
彼らは山田が死んだとは全く考えていないようで、千里から山田の行方を力ずくで聞き出そうと襲いかかってきました。
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<まとめ>
家族の復讐のために生きている千里ですが、両親と犯人のつながりも、兄が連れ去られた理由も、犯人像や犯行の動機もまだ分からないことだらけです。
この1巻では謎を散りばめて、伏線を張りまくっている感じです。
「激痛を受けるたびに昔の記憶を思い出す」という千里の特殊能力も、まだ本領発揮していない印象です。
次々に場面が変わり、さらなる謎が提示されていき、緊迫感が増していくテンポのいい展開は『僕だけがいない街』と遜色有りません。
なぜこんなにストーリーの盛り上げ方が上手いのでしょうか。
著者はサスペンスを描く天才かもしれません。
サスペンスの面白さは何で決まるのでしょうか 。
「主人公の切迫感、焦燥感、自分を追い込んでいる感」なのではないかと、このマンガを読んでいると思います。
心配する 幼馴染や祖父母をよそに、千里は犯人を見つけ出すことに必死です。
彼が思いつめれば思いつめるほど、それに比例するかのようにストーリーも深刻さや緊張感が増していきます。
本当に上手いです。
主人公に共感しながら焦りも感じてしまい、もはや他人事に思えません。
サスペンスミステリーの名手は一流のストーリーテラーなのです。
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