【マンガ】『ガンニバル』1巻―人食い村の謎を追え!
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紙の本も読みなよ / A-key-Hit
『ガンニバル』二宮正明 / 日本文芸社
⇧1巻は2019年2月18日発売。
最新刊の4巻は、2019年11月18日に出ました。
ホラー漫画です。
<食人文化について>
現代の日本人には受け入れ難いものかもしれませんが、ひと昔前までは、人を食べることは世界中で行われていました。
受け入れられないからといって、食人つまりカニバリズムを「野蛮で悪いこと」だと決めつけるのは短絡的です。
食人行為が、猟奇殺人犯による単純な人肉嗜食である場合もある一方で、
文化人類学的な側面もあれば、戦争や飢饉の時の食糧難で仕方なく行われることもあります。
(※猟奇殺人や緊急避難的に行われる食人は、カニバリズムとは呼ばない)
文化人類学的というのは、その地域で暮らす人々にとっては「食人は意味のある行為だ」という共通認識があるということです。
例えば、死者の魂を受け継ぐという儀式的意味合いで食人が行われることもあります。
また、敵対する部族の力を自分の中に取り込むという意味合いで行われることもあります。
つまり対象者の肉を食べることにより、特別な力が得られると信じられているわけです。
死者の血肉が強壮剤や媚薬になるという考えも昔は世界中にあり、日本でも江戸時代には、人間の内臓や各部位が何らかの薬効を期待されて販売されていました。
日本で食人が明確に禁止されたのは、明治になってからです。
この漫画は、食人文化を残すとある山村が舞台です。
村人たちに罪の意識はあるのでしょうか。
あれば犯罪ですが、なければヨソ者には理解できない風習ということになります。
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<あらすじ>
舞台は閉鎖的な山奥にある供花村。
主人公・阿川大悟は新任の駐在員として、妻と一人娘と一緒にこの村に引っ越してきました。
前任の駐在員は借金を作ってパチンコにハマり、村の人達とトラブルを起こして失踪したそうです。
大悟はそうならないよう、村人たちとコミュニケーションを取り、「村の新参者だけどよろしくね」という挨拶回りに余念がありません。
ただ、「ここの村人たちが人を食っている」というウワサがあることは気にしていました。
ある日、駐在所に遺体が発見されたという電話がかかってきました。
村で唯一の警察官である大悟は、さっそく現場に向かいます。
遺体の老婆は、森の中に山菜を取りに行っていたようです。
老婆の帰りが遅くて心配になった孫が森に見に行ったら、熊に襲われた遺体を発見したというわけです。
遺体は熊に食べられて損傷が激しく、バラバラ状態になっていました。
大悟は遺体の腕の外側に、人間の歯形がついていることを発見しました。
自分で噛むなら内側になるはずなので、なぜそんな位置に歯形がついていたのか、大悟はつい疑問を口に出してしまいました。
すると大悟に同行していた村の青年・後藤恵介は、「虐待があったとでも言いたいのか?」と言って怒り出し、持っていた猟銃を大悟の顔に向けました。
一緒にいた数人の村人たちも恵介に同調し、「撃ってしまえ」とはやし立てます。
大悟がとりあえず謝ったことで、何とかその場は収まりました。
恵介は「冗談だよ」と誤魔化しますが、とてもそんな雰囲気ではありませんでした。
大悟は、村人たちの平気でヨソ者を殺害しそうな勢いに戸惑いを隠せません。
とはいえその後も、狭い村で孤立しないよう、飲み会にも渋々参加して村に溶け込む努力を怠りません。
老婆の遺体が発見された翌日、仇を討つために村の猟友会が総出で山狩りを行いました。
大悟も彼らに同行します。
しかし山道に慣れていない大悟は、恵介とはぐれてしまいました。
しかも運悪く目的の熊に遭遇してしまい、襲われて殺されかけそうなところに、恵介の弟に助けてもらいました。
なんとか熊を倒した後、すぐに熊の解体が始まりました。
熊の胃袋からは、老婆がかけていた眼鏡や肉が出てきました。
どうやらその熊が老婆を喰ったことで間違いなさそうです。
それから大悟以外のメンバーは、胃袋の残骸に向かって手を合わせ黙祷をささげました。
その後、彼らは熊の肉を食べ始め、大悟にも食べるよう勧めます。
恵介はこう言いました。
「この熊を喰うことで、ばあちゃんは俺らの血と肉となって俺らの中で生き続ける。
それがばあちゃんにしてやれる最高の送り方だ!」と。
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<まとめ>
人を食べるというウワサのある村へやって来た新任駐在員が、村の不気味な風習の謎に迫っていくホラーサスペンスです。
1巻で描かれる熊を食べる行為は間接的な食人にあたりますが、弔いの儀式であって、人肉嗜食ではありません。
しかしそれ以上の謎が、この村には隠されていると示唆されていきます。
絵が非常に上手く、作品の不気味な雰囲気が見事に表現されています。
熊との戦闘シーンは迫力があります。
食人行為についても、単に怖さや不気味さだけを描くのではなく、儀式風習的な意味合いもきちんと描こうとしている所に作品の深みがあります。
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