【マンガ】『筆とあいつがいればいい。』―北斎の幽霊に憑りつかれた女子高生
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紙の本も読みなよ / A-key-Hit
『筆とあいつがいればいい。』中田アミノ / 小学館
⇧2019年9月30日発売。
1冊で完結です。
浅野いにお、奥浩哉、押見修造、花沢健吾、柳本光晴という錚々たる漫画家たちが、著者の才能を認めたそうです。
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【マンガ】『筆とアイツがいればいい』/ 北斎の幽霊に憑りつかれた女子高生
<葛飾北斎について>
葛飾北斎をご存知でしょうか。
江戸時代の浮世絵師です。
「富嶽三十六景」や「北斎漫画」が有名作品ですが、他にも3万点以上の作品を生み出しました。
しかも彼は絵だけでなく、木版画や銅版画なども手掛けています。
若い頃から90歳で亡くなるまで、その創作意欲は衰えなかったようです。
北斎は頻繁に改号を繰り返しており、その数は30にものぼります。
号とはペンネームのことです。
「北斎」もその一つに過ぎず、他には「春朗」「宗理」「戴斗」「為一」「卍」などがあります。
この漫画に登場する北斎は、自分のことを「卍」(まんじ)と名乗ります。
北斎は創作意欲が衰えず、まだまだ絵が描き足りない状況で亡くなりました。
そのため彼はこの世に未練を残し、自分の作品に憑りついて現代まで留まり続けました。
彼は誰かに手助けしてもらい、再び絵を描ける機会を伺っていたのです。
この漫画では、幽霊になった北斎の姿が見える女子高生が登場します。
彼女に北斎が憑りついて、超上手い絵を描いて周囲を驚かせていきます。
つまり、『ヒカルの碁』の佐為のような存在です。
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<あらすじ>
主人公は成績優秀な女子高生・瓦木叶(かわらぎ かのう)。
彼女は周囲から良く見られたい願望が強すぎて、つい見栄を張ったり嘘をついたりして学校生活を送っています。
ところがその嘘はバレることなく、ガサツなクラスメートと比較されることにより、相対的に彼女は輝かしい存在として皆の目に映っています。
叶は体育も得意な優等生でしたが、唯一苦手な分野が美術でした。
絵が壊滅的に下手だからです。
そんな彼女に、美術か音楽の授業を選ぶ選択科目記入用紙が配られました。
彼女は当然音楽を選ぼうとしますが、クラスメートに「叶ちゃんは賞とか貰ってそう」と言われ、つい見栄っ張りが発動して「海外の個展に参加したことがある」という嘘をついてしまいます。
その嘘を信じた皆は叶を讃え、皆で美術を選択することになってしまいました。
叶は困り果てました。
帰宅した叶は、母が買ってきた絵画(葛飾北斎・画)に八つ当たりをします。
そのとき、その絵の額縁に小人になった葛飾北斎が現れました。
北斎は自分を「卍」と名乗ります。
彼は「ワシが絵を描くためにお前の体を貸してくれないか?」と言ってきました。
叶は自分が幻覚を見ているのだと思って、しばらく卍を無視します。
どうやったら体を乗っ取れるか考える卍でしたが、就寝中の叶に触れた瞬間、すんなり叶の体に入ることができました。
どうやら叶が寝ている間だけ、卍が体に入って自分の意志で動くことができるようです。
卍はさっそく筆を探し、一晩で叶の部屋の天井一面に鬼の絵を描き上げました。
目を覚ました叶は、部屋が墨だらけで汚されていることに驚き怒りましたが、天井を見上げた瞬間に卍の描いた絵に圧倒されました。
卍は叶に宣言します。
「これからはお前の代わりにワシが絵を描く!
あらゆる技術を試して、自分が一番満足できる絵が描けたら、潔く成仏しよう!」
美術の課題提出締め切りまであと6日。
叶は「私の姿で描くからには、下手な絵は描かないこと」という条件を提示し、卍を彼女の名声獲得のために利用することにしました。
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<まとめ>
絵が超絶に下手くそな女子高生の主人公に、葛飾北斎の幽霊が憑りつく話です。
叶は最初は自分の名声のために北斎を利用しようと考えていましたが、次第に絵を描く楽しさに目覚めていきます。
コンビものの漫画であり、二人の掛け合いが非常に面白いです。
叶の腹黒さ・計算高さが空回っている感じも笑えます。
東村アキコ作品とノリやリズムが似ています。
最終話の卍のセリフを読んでからタイトルと見比べてみると、実に感慨深いです。
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