【マンガ】『ひゃくえむ。』1巻―激アツの100m競争!
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紙の本も読みなよ / A-key-Hit
『ひゃくえむ。』魚豊 / 講談社
⇧2019年6月7日発売。
<100m走のマンガ>
「ひゃくえむ」とは「100M」、つまり「陸上競技の100M走」のことです。
このマンガは「100M走」を題材とした作品です。
陸上競技のマンガは世の中にあることはありますが、「100M走」を題材としたものは少ないです。一瞬で決着がついてしまうから描きにくいのでしょう。
しかしついに傑作が誕生しました。
それがこの『ひゃくえむ。』です。
「お金さえあれば大抵の問題は解決する」とお金持ちの人はよく言います。
実際そうなんでしょう。
しかしお金だけが唯一の解決方法なわけではありません。
このマンガの主人公は
「100mだけ誰よりも速ければ、大抵の問題は全部解決する」と言います。
勉強ができなくても、運動ができれば学生時代はヒーローになれます。
それが全国1位のレベルならばなおさらです。
友達も出来ますし、先生からも認められる存在になります。
学校生活を快適に過ごせるというメリットが一番大きいかもしれません。
陸上競技をやっていない人からすれば「100mを速く走れたからって何になるんだよ」と思うかもしれませんが、中学高校で好成績を残せば、大学には推薦入学できます。
そこで実績を作れば企業に入りながらオリンピックも目指せます。
100m走が誰よりも速いということは、現代社会では非常に価値のある才能なのです。
小さい頃から足が速い子は、周りからそれを賞賛されるので、早く走れることがアイデンティティになります。
100m走で1位になることが、自分の価値を実感できるときです。
競争に負けるという事は、そのアイデンティティを失うということです。
一部の選手たちはアイデンティティを守るために、自分をストイックに追い込んだ生き方や練習をすることになります。
楽しさとは無縁の世界です。
不安や恐怖から逃れるために走っているのです。
彼らのそんな求道者のような姿がこのマンガで描かれます。
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<あらすじ>
小学六年生・トガシは生まれつき足が速く、100M走では負けたことがありません。
学校の体育はもちろん、大会に出ても優勝しかしていません。
「速く走れる」ということが彼の唯一の特技でしたが、それでクラスの皆からは一目置かれる存在となり、まったく問題ない学校生活を送れていました。
ある日、小宮という少年がトガシのクラスに転校してきました。
小宮はオドオドしていたので、初日からイジメのターゲットになってしまいます。
下校時間に、トガシは全力疾走して転倒する小宮と出くわします。
「なんでそんなに必死に走ってるの?走るのが好きなの?」と聞くトガシに対して、
「いや、辛い」と小宮は答えます。
ではなぜ彼は走っているのでしょうか。
それは
「気が紛れるから。
現実よりつらいことをすると、現実がぼやける」からです。
(イジメなどからの)現実逃避のために走っている小宮を見て、そんな理由で走るのはもったいないとトガシは言います。
「ただ走るだけでは問題は解決しない。けれど速ければ違う」と。
「100mだけ誰よりも速ければ、大抵の問題は全部解決する」のだと持論を語ります。
実際に彼自身がそうだからです。
それ以降、放課後になればトガシは小宮に走り方を教え続けました。
小宮は自主練もこなし、実力を上げていきます。
小宮の走り方はクセがあって、身体に大きな負担をかけています。
それでもタイムを縮めているのは、速く走ろうという気持ちが強いからです。
先輩選手からは「君は走るのを辞めた方がいい。そんな破滅的な走り方を続けると、いつか陸上に殺されるぞ」と忠告を受けます。
しかし小宮は走ることをやめません。
ある日、小宮はトガシに真剣勝負を持ちかけます。
公式戦でもなく、ただの河原での勝負です。
そこでトガシは生まれて初めて全力で走ることになりました。
同時に負けるかもしれない恐怖をリアルに感じました。
そしてもし負けてしまったら、自分の人生が変わってしまうという不安に襲われました。
トガシはその日から、アイデンティティを守るため、苦しみながら陸上競技を続けることになりました。
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<まとめ>
トガシも小宮も走ることが好きなのではありません。
気持ちよく趣味の領域内で走るという段階は過ぎてしまいました。
一度でも一位を取ると、もう楽しいだけには戻れないのです。
何のために走るのかは人それぞれですが、トガシは「足が誰よりも速い」というアイデンティティを守るために走るようになります。
小宮は何の取り柄もない自分が一瞬でも栄光を掴む可能性があるのなら、身体が壊れてもいいからそれに賭けてみたい思って走るようになります。
二人の共通点は、走ることに憑りつかれ、思いつめ、人生を賭けているところです。
必死すぎて怖いほどです。
何かに夢中になるというのは、狂気的なほどに思いつめるということなのかもしれません。
久々に超絶にアツいマンガと出会えました。
来年の『このマンガがすごい!』にランクインするのではないでしょうか。
なんと2019年6月から、コミックが5ヶ月連続刊行されるそうです。
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