【マンガ】『ヒル・ツー』1巻―都市伝説的恐怖と身分を剥奪される恐怖
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紙の本も読みなよ / A-key-Hit
『ヒル・ツー』今井大輔 / 新潮社
⇧2018年8月発売。
2019年6月8日に3巻が出ました。
タイトルの『ヒル・ツー』とは『ヒル』という作品のシーズン2という意味です。
それに気付かず、シーズン1を読まないまま、このマンガから読んでしまっても問題ありません。(まさに僕がそうでした。)
主人公もシーズン1とは違います。
<都市伝説的ホラー>
一人暮らしをしている方になら、特に共感できる恐怖があります。
それは自分の外出中に、見知らぬ人が自分の部屋に侵入しているのではないかというものです。
玄関の鍵をかけた自信はあっても、セキュリティが万全のマンションに住んでいない限りは絶対に安全とは言えません。
『デスノート』の月(ライト)のようにドアに紙片やシャーペンの芯を仕込んだり、ドアノブを下げてみたりしたところで、「誰かが自分のいない間に侵入した」ことしか分かりません。
⇦月
つまり最も恐ろしいパターンは、「犯人は侵入したけれども脱出していない」というケースです。
自分の知らない間に、別の人間が同じ部屋で隠れて暮らしているという状況です。
天井裏だったり壁の裏側だったり、めったに開けないクローゼットの奥だったり、小さな部屋だったとしても、隠れられる場所はゼロではありません。
部屋の名義人が在室している間はそこに隠れて過ごし、外出したときに部屋の備品を使って風呂やトイレや食事を済ませるのです。
そんな部屋の主に寄生して生きている者は、動物の蛭にたとえて「ヒル」と呼ばれます。
都市伝説にありそうですが、実際にありそうな話でもあります。
このマンガは、部屋の主である主人公が、ヒルに寄生されて人生が転落していくというホラーミステリーです。
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<あらすじ>
コンビニでバイトしながら、高校認定を取って大学を目指す主人公・四宮ユウキ。
彼に父親はおらず、母親は中学までしか面倒を見てくれませんでした。
そのため母親の元を去り、小さなマンションの部屋を借りて、貧乏な一人暮らしをしています。
彼はお金に不自由なく気楽な大学生活を送っている隣人を羨ましく思いながら、絶対に今の状況から這い上がってやると強い意志をもって生活していました。
ある日、夜勤のバイトから帰宅すると、部屋に包丁で腹を刺された見知らぬ男が倒れていました。
男にはまだ息があったので、状況を理解できないまま四宮は急いで救急車を呼びます。
男は一命を取りとめましたが、四宮は男を刺した容疑者として警察に疑われることになりました。
「帰宅したら部屋で見知らぬ男が刺されていた」というのは不自然すぎる状況であり、免許証も男が偽造して所持していた物の方がしっかりしていたことから、四宮の方がなりすまし・身分詐称していると警察に思われてしまいます。
四宮は、男が何のために四宮になりすまそうとしているのか、なぜ刺されたのに本当の事を話さずに四宮に刺されたと証言したのか分からず、混乱しました。
四宮は自分の言い分を全く信用してもらえないので、警察から逃亡を図ります。
逃亡中に同じマンションに住んでいた同世代の女と出くわします。
彼女は、刺されて入院した男は以前から四宮の部屋で生活していた「ヒル」だと教えてくれました。
そして、男を刺したのは自分だと告白します。(父親の仇)
その上で、四宮に男を殺す協力をしてくれたら、奪われた身分を取り戻すことができると提案してきました。
四宮に選択肢はなかったので、彼女に協力することを約束します。
男の名はヨビといい、ずっとヒルとして生きてきたようです。
ヨビはこれまでに3人殺していました。
ヨビは退院後、仲間を連れて女に仕返ししようと行動します。
果たして四宮は、身分を奪還することができるのでしょうか。
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<まとめ>
「ヒル」という生き方はフィクションですが、本当にできそうなほど作品に雰囲気があります。
寄生する部屋の見つけ方、侵入のタイミング、管理方法、不審に思われないごまかし方など、実際にできそうでリアルです。
さらに免許証やその他の身分を証明するものを偽造して、本人の身分を乗っ取る奴もいるというのは恐ろしいです。
よくこんな設定を思いつきますね。
戸籍とかマイナンバーとか、この社会で存在証明を捨てたのが「ヒル」という存在です。
何をしたって誰にも裁かれないけれど、何をされても誰も助けてくれません。
社会の外側というのは完全な弱肉強食の世界です。
これまで自分の個人情報なんて大した価値などないから、世間にバレても問題ないだろうと思っていましたが、その個人情報を奪われて悪用されたら、自分はまともに生きられなくなることがこのマンガを読んで分かりました。
実生活に役に立つホラーマンガです。
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