【マンガ】『BLUE GIANT SUPREME』9巻―良いリーダーの条件
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紙の本も読みなよ / A-key-Hit
『BLUE GIANT SUPREME』石塚真一 / 小学館
⇧2019年10月30日発売。
超アツいジャズ漫画です。
<リーダーの条件>
同世代の人間が集まってバンドなどを組んだ場合、どうやってリーダーが決められるでしょうか。
実力も似たり寄ったりなら、立候補やジャンケンで決めることが多いかもしれません。
とりあえず仮のリーダーが決まったとしても、それは名ばかりの形式的なものに過ぎず、「リーダーの言うことに従って行動しよう」とか、「大変そうな時は支えてあげよう」なんてすぐに考えられる人はまずいません。
色んなトラブルを乗り越えていく過程で、その集団固有のリーダーシップが形づくられていき、仲間たちの信頼も醸成されていくものだからです。
つまり途中で「コイツはリーダーにふさわしくない」と思われたら、交代も十分ありえるということです。
ところで「良いリーダーの条件」とはどんなものでしょうか。
・揺るがぬ信念を持っている
・決断力がある
・行動力がある
・発想力(アイデア)がある
・コミュニケーション能力に優れている(メンバーを動かせる)
などでしょうか。
最初から上記のすべての項目で優れている人間なんていないので、リーダーを務めながらリーダー力や信頼を高めていく必要があります。
この漫画の主人公もバンドを組んでから、すぐにリーダーに立候補しました。
もう一人のメンバーも立候補しましたが、短気だったために消去法的に主人公がリーダーになりました。
しかし実力が拮抗している我が強いメンバーたちなので、最初から素直にリーダーの言うことに従うわけではありません。
この巻では、最初は少し頼りなかった主人公が、いつしか深く尊敬されるほどになっていたことが描かれます。
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<あらすじ>
プロのサックスプレイヤーを目指してヨーロッパにやって来た主人公・宮本大。
彼が演奏しているのはジャズです。
目標は世界一のジャズマンになることですが、独りでライブを繰り返しているだけでは限界があることに気付きました。
そこで大は色んなライブを聴いて回り、これだと思ったプレイヤーたちに声をかけて、4人組のバンド(サックス、ピアノ、コントラバス、ドラム)を結成しました。
メンバーは皆、腕に覚えのある者たちぞろいなので、日々の練習でも演奏に関してよくモメます。
ベルリンでの初めての4人のライブは、力み過ぎて全員の演奏が噛み合わず、大失敗に終わりました。
めげずに彼らはヨーロッパ中を回るツアーに旅立ちます。
行く先々のライブで徐々に好評を得て、自信をつけていきます。
技術も才能もあるメンバーたちなので、それは半ば必然の結果ともいえます。
噛み合わなかった4人の歯車がようやくうまく回り出したのです。
様々なトラブルを乗り越え、4人はさらに強く、上手くなっていきました。
そして大が他の3人よりも一段上のレベルに到達していることに、メンバーたちは気付いていました。
最初は大がリーダーをやることに反対していたブルーノも、
まあ仕方ないかと渋々許可していたラファエルとハンナも、
今では大がリーダーであることに異論はなくなっていたのです。
むしろ全員が大に尊敬の念を持つようになり、支えてあげたいとすら思うようになっていました。
大は少し前から、自分たちのバンド「NUMBER FIVE」を改名したいと思っていました。
それは、「Dai Miyamoto NUMBER FIVE」という自分の名前を冠するバンド名です。
彼は「俺が俺が」というタイプの人間ではありませんが、世界一のサックスプレイヤーになるという夢があるため、バンドを有名にすると同時に自分の名前も売っていく必要がありました。
ある日のライブ終了後にそれを他のメンバーたちに提案したところ、皆は受け入れてくれました。
バンドを組み立てのときにも同じ提案をして即却下された光景が、今や懐かしいです。
つまり名実ともに、大はリーダーとして認められたということです。
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<まとめ>
大がリーダーとして認められたのは、いつだって彼が一番バンドのために頑張っていたからだし、1ミリも努力を怠らないからです。
彼はどんなに疲れていても、忙しくても、毎日のサックス練習は欠かしません。
ライブでは過去の失敗や遠い未来の計画に捕らわれず、目の前の演奏だけに全力を尽くします。
後のために余力を残しておこうなんていう打算はありません。
出し惜しみしないプレースタイルです。
そのまっすぐな演奏に聴衆は魅了され、バンドメンバーたちは大を尊敬するようになります。
「世界一のジャズプレイヤーとはこういう人間だ」というビジョンが、大の中に明確にあるのでしょう。
これほど読者の闘志を奮い立たせ、勇気づけてくれる漫画は他にありません。
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