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【小説・SF】『なめらかな世界と、その敵』―人類初の月面着陸を果たしたのはソ連?!

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紙の本も読みなよ / A-key-Hit

『なめらかな世界と、その敵』伴名練 / 早川書房

⇧2019年8月20日発売。

文庫版はまだありません。

 カバーイラストは『かぐや様は告らせたい』の赤坂アカさんです。

 

 

<短編集>

この本は短編集です。

表題作を含め、以下の6つの作品が収録されています。

 

・『なめらかな世界と、その敵』

・『ゼロ年代の臨界点』

・『美亜羽へ贈る拳銃』

・『ホーリーアイアンメイデン』

『シンギュラリティ・ソヴィエト』

・『ひかりより速く、ゆるやかに』

 

どの話も質が高く、面白いアイデア満載ですが、

この記事では『シンギュラリティ・ソヴィエト』 を紹介します。

 

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<米ソ宇宙開発競争>

第二次世界大戦が終わると、アメリカとソ連の冷戦時代が始まります。

両者は実際の戦争の代わりに、様々な分野で相手を上回ろうとします。

科学技術の進歩も国の威信をかけて競い合っており、その中でも宇宙開発競争は最たるものでした。

ロケットはミサイルなどの軍事技術としても転用できるからです。 

最終的には1969年7月にアポロ11号が月面着陸を果たし、宇宙開発競争はアメリカの勝利として一旦終息しました。

 

これから紹介する『シンギュラリティ・ソヴィエト』は歴史改変SFです。

月面着陸を果たして科学技術の分野で勝利したのは、アメリカではなくソ連だったという設定から物語は始まります。

 

ちなみにシンギュラリティ(技術的特異点)とは、人工知能(AI)の開発が進歩して人類の知能をAIが上回るポイントのことです。

シンギュラリティを迎えると、AIのやっていることが人類には高度すぎて理解できなくなります。

あらゆる判断をAIにしてもらうことになり、人類はAIに支配されるとも言われています。

 

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<あらすじ>

 世界中の人がテレビの前で見守る中、アームストロング船長は人類で初めて月面に降り立ちました。

アメリカの国旗を月面に打ち立てようとするそのとき、彼の目の前に現れたのは、数十年前からそこにあったかのようなスターリンの銅像でした。

 つまり、アメリカより先にソ連が月面着陸を果たしていたということです。

その直後に世界中のテレビをハッキングして、画面内に現れたブレジネフ書記長はこう宣言しました。

「我らソヴィエトの人工知能―ヴォジャノーイは技術的特異点を突破した

 

それからソヴィエトでは、ヴォジャノーイが全ての国民の生活や判断を担うようになり、シンギュラリティ前とは比較にならない豊かさを手に入れました。

代わりに国民は、脳の半分を人工知能の演算領域として明け渡しています。

 

一方、自由主義諸国代表であるアメリカでは、ソヴィエトに遅れて人工知能・リンカーンを開発しました。

ヴォジャノーイに追い付き追い越すべく、リンカーンの演算領域の確保のため、アメリカでは国民を眠らせて生命そのものを演算資源にしてしまう流れが、各州の選挙で決まりつつありました。

ちなみに演算資源である眠っている人間は、仮想現実で幸せな夢を見られるようになっています。

 つまり人類は、二つの人工知能の競争のための駒に成り下がったのです。

 

 1976年。

人工知能博物館の学芸員であるヴィーカは、ヴォジャノーイの指示により、新聞記者を名乗るマイケルの尋問をすることになりました。

 マイケルはどうやら、アメリカのスパイのようです。

ヴィーカは、ヴォジャノーイと脳内で相談しながらマイケルの目的を探ります。

二人は博物館の展示を見て回りながら、自国の価値観や人工知能がいかに相手のそれよりも優れているかのマウントを取り合います。

 

マイケルは、ソヴィエト初の人間に勝った人工知能搭載戦闘機について話を始めました。

実はその人工知能のエピソードは欺瞞なのではないかというのです。

人間側のパイロットに勝てない理由が存在したのではないかと。

だとすると、それは人工知能の性能ではなくパイロットの問題だと。

つまりソヴィエトは優秀な人工知能を開発したというプロパガンダのために、事実を嘘で塗り固めたのではないかということです。

 

ヴィーカはこれまで薄々それに気付いてはいましたが、考えないようにしていました。

それは彼女には衝撃の事情があったからです。

 

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<まとめ>

 『シンギュラリティ・ソヴィエト』だけに限らず、本当に斬新な設定ばかりで、読んでいて楽しめます。

系統もバラエティ豊かで、SFの面白さが凝縮された短編集になっています。

日本のSFでは最先端を走っている作家の一人でしょう。 

 

著者はあまり商業誌で作品を発表しておらず、同人誌での活動の方が精力的です。

しかし作品のクオリティがあまりにも高いために、出版社が出している年間SF傑作選やアンソロジーに、著者の同人誌作品が採用されまくっています。

それによって世間からも注目されるようになったという稀有な作家なのです。

 

『三体』(劉 慈欣 / 早川書房)と同じく、2019年にぜひ読んでおくべきSF小説です。

 

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