【マンガ】『将国のアルタイル』1巻―友を勇気づけるのに正論は要らない
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紙の本も読みなよ / A-key-Hit
『将国のアルタイル』カトウコトノ / 講談社
⇧2008年発売。
2019年4月時点で21巻まで出ています。
<作品の大枠>
中東(トルコ近辺)や南東ヨーロッパを下敷きにした架空の世界が舞台。
人物や階級、土地の名前もトルコ語(将軍=パシャなど)がベースに使われています。
時代は現実世界での中世くらいでしょうか。
イスラム文化的な要素がうっすら入れてあったり、衣服や建造物などの装飾が独創的で存在感があって素晴らしいです。
唯一無二のエキゾチックファンタジーです。
ジャンルは「軍略もの」と呼べばいいのでしょうか。
戦争での騙し合いや政治的かけひきは見事で、原作者がいないのが不思議なほどの面白さです。
大抵、こういうマンガはストーリー原案と作画担当に分かれているものです。
作画担当者に、ここまでの軍略的知識と構成力の持ちあわせがないからです。
それが普通であって、作画担当者が能力不足なわけでは決してありません。
上手い構成と演出を加えた面白いストーリーを作るマンガ家さんもいますが、やはりそちらにリソースが割かれて、絵のクオリティは平均値を下回っていることもしばしば見受けられます。
読者は面白いストーリーを読めたことで満足はしますが、絵が上手くて楽しんでいるわけではありません。
しかしこのマンガは違います。
この『将国のアルタイル』の著者・カトウコトノさんは、ストーリーと作画の両方で恐るべき才能の持ち主なのです。
ストーリーの圧倒的な面白さに加えて、絵も圧倒的に上手いのです。
そんな奇跡的な作品であり作家なのです。
絵が恐ろしく細密で上手いため、コミックとは別に画集まで発売されています。
ちなみに他の巻の表紙は以下の通り。⇩⇩手間がかかっていますね~。
画集⇩⇩⇩⇩美麗すぎて触るのが怖い・・・
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<あらすじ>
国土のほとんどを砂漠と草原に覆われたトルキエ将国。
この国の軍事と行政を司るのは「十三人の将軍」(ヴェズィール)と呼ばれる者達。
徹底した能力主義社会で、上位に立つ者は常に功績才能に豊かで、人格も高潔であることが求められています。
若くして「十三人の将軍」の一人にまで昇格を果たした主人公・マフムート。
隣国のバルトライン帝国との戦争で12年前に両親を失った彼は、二度と戦争を起こさないために軍人になったのでした。
ある日、バルトライン帝国との国境の町・ヒサールで武力反乱が起きました。
そこを統治しているのはマフムートの友人・イブラヒム。
彼が反乱など起こすはずがないと信じるマフムートは、武力反乱はバルトライン帝国の戦争支持派による陰謀だと見抜きます。
しかしトルキエにも戦争支持派(ザガノス将軍)がいて、彼は部下のイブラヒムを反乱首謀者として抹殺することで開戦の口実にできると考えました。
ヒサールへ向かっていくザガノス軍の謀略を阻止するため、
バルトラインの思惑通りに事態が発展するのを防ぐため、
マフムートはイブラヒムを救いに、両軍に先んじて独りヒサールの町に潜りこみました。
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<友を勇気づけるのに正論は要らない>
1巻では、まだ将軍になる前のマフムートの過去も描かれます。
彼とイブラヒムは同期でそのキャリアをスタートさせました。
幼いマフムートは5対5の騎馬戦で味方をうまく統率できずに負けてしまいます。
彼は「俺は向いていないのか?4人も指揮できない俺みたいなのは将軍になることはできないのか?」と泣いて悔しがります。
そんな彼にイブラヒムはこう言います。
「いやあ、そんなの関係ないだろ。
向いているかどうかはともかく、自分のトコの総督には総督になりたくて一番努力した奴でなきゃなってほしくないな。それは将軍も同じだろ?」と。
イブラヒムは、周りから疎まれているマフムートが努力していることを知っているからこそ、このセリフが出たのでしょう。
客観的には一番努力している人よりも、一番能力のある人にトップに就いて欲しいところですが、心情的には僕もイブラヒムに同意します。
(まあ、マフムートに能力があることも分かった上での話なのでしょうが。)
この言葉があったから、マフムートは諦めることなく見事将軍にまで到達できたわけです。
彼はイブラヒムへの感謝を忘れず、階級が違っても友人であり続けました。
落ち込んでいる友人を励ますのに、正論は必要ないのです。
「努力よりも結果を示せ」と社会では言われますが、
努力を認められたからこそ、その後に結果が出せることもあるのだと思います。
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