【マンガ】『BE BLUES! 青になれ』(34巻)―人を変えるものとは
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紙の本も読みなよ / A-key-Hit
『BE BLUES! 青になれ』田中モトユキ / 小学館
⇧2019年2月18日発売。
<組織内で苦手な人とやっていく方法>
よくビジネス書や自己啓発本や心理学系の本には、
「人間関係がうまくいかなくて困っているなら、
他人(周囲)を変えようとするのではなく、自分の考え方を変えよう」
という方針が薦められています。
その方が早いし確実で、ストレスを抱え込まなくて済むからです。
あるいは、
「どうしても苦手な人がいるなら、事あるごとに反発して対立するのではなく、
極力関わらないようにすべし」
という作戦も推奨されています。
こちらも余計な体力や労力を使って、ストレスをため込まないようにするためです。
しかしそうは言っても、チームプレイが必要な仲間内での話ならその方法で問題は解決できません。
スポーツなどのシビアな連携が要求されるチームならなおさらです。
チーム内に才能も技術もピカイチだけど、性格に難がある問題児がいたとしたら、
周囲はどう対処すればいいのでしょうか?
ある程度のレベルまでなら、彼をおだてていい気分にさせて結果も出せるかもしれませんが、 チームの連携なしに勝ち続けることはできません。
そこから先はどうすればいいのか。
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<問題児は変えられない>
このマンガの題材はサッカーです。
主人公・一条龍の所属するチームには、桜庭という問題児がいました。
(僕が一番好きなキャラクターです。)
彼はフォワードとして天才的な才能と技術を持っていたため、周囲の人間を見下し、自分からは絶対に他人にパスを出さないというワンマンプレーを信条としていました。
その超絶テクニックには誰もが最初は大いに期待を寄せるのですが、
パスをもらったら絶対に個人技でなんとかしようとする性格に、
周囲はやがて失望して、彼を試合で使うことは諸刃の剣だと考えるようになります。
以前桜庭が所属していたジュニアユースのチームも、彼のワンマンプレーぶりに困り果て、ついにはレギュラーから外すという処置をとったほどでした。
(彼はその処遇に納得がいかず、ユースを辞めて普通高校に入学してきたのです。)
もちろん以前のチームでも現在のチームでも、周囲は彼の性格やプレーをたしなめて、彼を変えようと努力してきました。
しかし彼は自己中心的なプレーを改めようとはしません。
悪いのは自分の技術に付いて来られない周りの方だと決めつけていたからです。
こんな調子では、周りが何を言っても変わるはずがありません。
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<問題児が変わるとき>
そんなジコチュー男・桜庭に変化が訪れます。
以前のチームメイトが所属しているチームとの対戦がありました。
そこで彼の性格を熟知している敵に、徹底的に抑えられてしまうのです。
それは自分の才能や技術だけでは越えられない壁の存在を、肌で感じた瞬間でした。
彼は自分に何かが足りていないことをついに理解したのです。
そして基本的なチーム戦術から教えてくれるよう、監督に直訴します。
プライドの塊である彼が誰かにものを頼むのは異例のことでした。
オフ・ザ・ボール(つまりボールを持っていないときの動き方)をひたすら練習し、
実戦でもチームプレイに絡んで得点できるようになりました。
かつてのチームメイトだった敵プレイヤーは驚きます。
「あのワガママ問題児をどうやって変えることができたんだ?!」と。
龍はこう答えます。
「オレは何もしてないよ。あいつが変わろうとしているだけで、
オレは待ってただけかな」
待ってただけというのは龍の謙遜ですが、ただ待ってるだけで問題児が変わってくれるなら誰も苦労はしません。
桜庭を変えたのは、あまりに苦い敗北経験でした。
周囲がいくら強く言ったところで、人を変えることはできません。
本人が変わろうと心の底から思わない限り、性格や信条は変わりません。
本気で現状を変えたいと思うには、手痛い敗北や失敗が必要なのかもしれません。
こういうショック療法は、事態が良い方へ転べば結果オーライですが、
事態が悪化する可能性も十分ありえます。
問題児が変わりたいと自分で思ったときに、きちんとそれをフォローしてあげられるチームであることが重要ですね。
そういう意味では、桜庭の所属しているチームは最高です。
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