【科学】『知のトップランナー 149人の美しいセオリー』―ダーウィンの偉大さ
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紙の本も読みなよ / A-key-Hit
『知のトップランナー 149人の美しいセオリー』編集:ジョン・ブロックマン / 訳:長谷川眞理子
⇧2014年発売。(文庫版はありません)
<科学者たちの話を聞きたい>
世界中の科学者たちは、いつもどんなことを考えているのでしょうか?
知の最前線にいる彼らに話を聞いてみたいけれど、軽い話題のために、実際に会いに行く人はまずいないでしょう。
彼らの雑談や貴重な話が聞けるのは、職場の同僚と分野の近い同業者だけです。
羨ましいというか、もったいないというか・・・。
この本を読んで、もっと学校の先生と話をしておけばよかったかなと思いました。
学生という身分にかこつけて、自分よりもはるかに年上の人の時間を、自分のために何度でも割いてもらえる機会というのは、実はメチャクチャ貴重なのです。
社会に出てからは、自分よりも立場が上の人間にアポイントをとることは結構ハードルが高いですし、学生のようにそう何度も訪ねるわけにもいきません。
(失礼ですし、ささいなことで何回も時間を作ってもらうのはマナーとしてよろしくない。)
大人はいつもかなり忙しく、会う約束をもらうことすら容易ではないことを学生時代は分かっていませんでした。
学生の最大の武器は、先生に文句を言わせずに「無料で何度でもアポイントを取る権利」があることです。しかも断られません。
大人の立場からすれば面倒なので、この事実を教えてくれないのは当然です。
自分で気付くしかありません。
学生のあなた、先生に遠慮せずに質問しまくれる機会は今しかないですよ!
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<内容>
この本は、「科学者のトップランナーたち149人に、同じ一つの質問をぶつけて何と回答するか調べてみた」という企画です。
分野も物理学者、生物学者、心理学者、哲学者など様々です。
その質問とは
「あなたのお気に入りの、深遠でエレガントで美しい科学理論は何ですか?」
というものです。
「どうせ自分の専門分野の理論を答えるんでしょ?」と思いますよね。
結果は違います。
もちろん専門分野の理論を回答している方もいましたが、多くは自分の専門分野ではない理論を提示されています。
回答された科学者は、ほとんど名前を聞いたことがない方ばかりでしたが、
『利己的な遺伝子』のリチャード・ドーキンス、
『暴力の人類史』のスティーブン・ピンカー、
『銃・病原菌・鉄』のジャレド・ダイアモンド
などの有名な方も寄稿されています。
誰もが数ページで回答をまとめてくれているので、少しずつ読み進めていくこともできますし、気になる箇所だけ読むこともできます。
一番気になったのは、多くの方が「ダーウィンの進化論」を挙げておられる点です。
相対性理論や大陸移動説などのメジャーなものもありましたが、進化論が圧倒的な多さでした。
ネタかぶりを避けてあえて違う理論を提示している方も何人かいたので、それも含めるとさらに多くなるでしょう。
多くの科学者が、進化論を一番深遠でエレガントで美しいと感じているのです。
今や21世紀になったというのに、19世紀に発見された説(ダーウィンの進化論)が一番というのは不思議なものです。
最近になって提唱された理論はどれも、一番美しいわけではないと科学者たち自身が評価しているというわけです。
面白いですね。
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<余談>
ちなみに、科学の定説について語るときに
「定理」「法則」「理論」「説」などの接尾語が付きますね。
例えば
・「ピタゴラスの定理」
・「フレミングの左手の法則」
・「相対性理論」
・「大陸移動説」
などです。
全部「〇〇理論」でいいじゃないかと思ったことはないでしょうか?
カッコつけて違った言い回しをしようとするなと。
もちろんそんなアホな理由で呼び名を変えているわけではありません。
言い方が違うのは、理論の確定度が違うからです。
上記の理論は、上のものほど確定度が高くなっています。
つまり「ピタゴラスの定理」は今後どんなことがあっても覆らない絶対性を持っていますが、「大陸移動説」は今後の発見によっては否定される可能性があるということです。
「〇〇理論」もまだ完全に確定しているわけではありません。
「法則」は条件付きで成り立つ事柄なので、どんなときでも成立する「定理」よりかは弱いことになります。
「進化論」もまだ改善の余地があるということです。
人間が理論の深みや優雅さや美しさを感じるのは、確定度とは必ずしも一致しないのかもしれませんね。
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