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【マンガ】『葬送行進曲』―ゴミ屋敷での奇跡の出会い

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紙の本も読みなよ / A-key-Hit

『葬送行進曲』ウチヤマユージ / 講談社

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 ⇧2018年11月発売。

 コミックDAYSに連載されていました。

1冊で完結する短編マンガです。

 

<シンプルで個性のある絵柄>

昔と比べると、マンガの絵の密度はどんどん上がっていく傾向にあります。

つまり簡略化されデフォルメ(誇張)された絵ではなく、

リアルに近い絵になってきているということです。

悪いとは言えませんが、そういう絵柄ばかりだと飽きてしまうこともまた事実です。

 

この作品の著者の絵柄は非常にシンプルかつ個性的で、見やすくて独自性があります。

一度見たら忘れないでしょう。

デフォルメ具合が見事です。

シンプルな絵柄は一見簡単そうですが、他の作家と似てしまわないようにすることが難しいです。さらに魅力的で心地良い線でないといけません。

そして線の数が少ないので、絵の技量のごまかしが出来ません。

(線の数を増やすほど絵の下手さをごまかすことができます。)

 

例えば、ゆるキャラの「くまモン」はシンプルなデザインですが、

あの何とも言えないシルエットになるのに何度も試行錯誤があったそうです。

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くまモンがあと数ミリ痩せていても、数ミリ太っていても、あれほどの人気を獲得できたか分からないです。

それほどシンプルな線は調整が難しいのです。

 

シンプルだけど個性もあって魅力的な絵柄の漫画家さんの例として、

オノナツメさんや、阿部共実さんがおられます。

他の誰もマネできません。

シンプルなのに個性的な絵というのは、最強の武器だと思います。

 

そしてこの作品の見所は、絵柄だけではありません。

ストーリーも面白いです。

 

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<あらすじ>

 

元・板前だったが職場で揉め事を起こして刑務所に服役していた主人公・小磯和馬。

刑期を終える直前に、同室の男に「アテがなかったらそこへ行ってみろ」と住所が書かれた紙きれを渡されます。

出所後にそこへ行ったものの廃村であったため、途方に暮れて付近をさまよっていると廃屋が見つかりました。

夜中で雨もひどかったので、そこに入って休むことにします。

 

翌朝目が覚めると、その廃屋には老婆がいました。

なんとそのボロボロの廃屋はその老婆が住んでいる家で、とてつもないゴミ屋敷だったのです。

行くアテのない和馬は、泊まり込みでそのゴミ屋敷のゴミを掃除する仕事を、老婆から提案されて受けることにします。

 

老婆は毎日、株のデイトレードをやってお金を稼いでいました。

食糧もネット注文で配達してもらい、家から出ることはありません。

和馬は毎日コツコツとゴミを片付けていきます。

 

最初は付近の村の住人も和馬を怪しんでいましたが、次第に打ち解けていき、ゴミ屋敷の掃除を手伝ってくれるようになりました。

 

ついに掃除が完了して家の中が綺麗になった翌日、これまで元気だった老婆は廊下の隅っこで寝込んでしまいます。

ゴミで隠れて見えなかった景色が、老婆に過去を思い出させ苦しめる結果となったのでした。

 

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<魂の救済>

ネットやテレビでは、華やかな成功ストーリーや明るくて生き生きとした人達を取り上げがちですが、世間にはそうではない人達ももちろんいます。

人生が行き詰っていて、一人では方向転換もできない状況に苦しむ人達です。

助けを求めようにも、どういう風に助けてほしいのか自分でも分からないから、苦しみから逃れられません。

 

和馬と老婆も行くアテもなく、どん詰まりの人生を進んでいました。

あとはもう人知れず死んでいくだけといった状況です。

そんな孤独な二人が出会ったことで、お互いに救われる奇跡の展開が生まれるとは。

 

魂の救済というと大げさかもしれませんが、

読み終わったあと、優しい気持ちになれる不思議な話でした。

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