【マンガ】『空が灰色だから』(1-3巻)—メンヘラ+キュートなギャグマンガ
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『空が灰色だから』阿部共実 / 秋田書店
1話完結のギャグマンガです。(週刊少年チャンピオン連載)
絵柄はシンプルでポップでカワイイのにメンヘラ気味の小中高生たちが主人公です。
思春期特有の感性というか、周囲や社会への違和感というか、モヤモヤした感情や感覚を著者は上手く料理してギャグとして成立させています。
大人になると、中学生の頃の感覚は忘れてしまうものですよね。
しかしこれほど丁寧に思春期の心情を描けるというのは、著者がメチャクチャ若いか、非常に鮮明に記憶しているか、まだ思春期から抜け出せていないか。
そして普通に描けばハードな暗い内容になりそうなネタを、ポップに面白くまとめられるセンスは素晴らしいです。中学高校生はもちろん、大人でも笑える面白さ。そのバランス感覚は恐ろしい。
すごい才能だと思います。
絵が下手な人ほど手数が増えてしまい、多くの余計な線が描かれてしまうものです。
線というのは情報なので、線を多く描けば情報量が増えて、その絵を見ると上手く見えてしまう(下手なのがバレにくくなる)ものです。よくよく見ればデッサンが狂っていたりパースが取れてないことが分かります。それを誤魔化すために線が増えてしまい、どの線を残すか取捨選択できない結果、線の多い絵が出来てしまい、自分でも上手く描けたと勘違いしてしまい、上達が阻害される。
つまりシンプルな線を引ける人は、絵が上手いのです。(それだけの線で作品として勝負するという覚悟と自信があるということ。)絵の描き手側からすれば、シンプルな絵柄にするほど周囲の作品(掲載誌内や書店での隣に配置される作品たち)から浮いてしまうので、余計怖いはずです。
この作品は絵柄が非常にデフォルメしてあり、かつ簡略化してあります。
一見単純そうに思えるのですが、実は相当なセンスと技術を著者は持っておられます。
(たまに描かれる細密な背景を含めたキメゴマがその証拠。)
そもそも週刊連載はスピード勝負が肝な部分もありますので、どうやって時間を捻出するかも著者の作家としての力量が試されるところです。
絵柄を可愛さを削がない程度に極力簡略化するのも戦略の一つ。
つまり、この作品は絵柄・ストーリーともにセンスの塊だということです!
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