【マンガ】『うらたろう』(1巻)―不死になりたいか?
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『うらたろう』中山敦支 / 集英社
著者の中山敦支氏の特徴といえば、『ねじまきカギュー』で可愛さと狂気を同居させた異能の絵柄と、他の作家では躊躇するような読者への挑発的なテーマの提示だと僕は思っています。
読者である少年少女に対して、「生ぬるい生き方してんじゃねえ!もっと生と死を見つめろ。感情を爆発させろ。信念を狂気的なまでに踏み込んで先鋭化させろ!」と煽り、インパクトのあるマンガをいつも描かれておられます。
マンガから迸るアジテーションにはいつもハッとさせられます。
ボ~っとした気持ちで読んでいると怒られそうです。
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時は1192年。
壇ノ浦の戦いにて平氏が勝利し、源氏が討滅された。
不治の病(呪術?)に侵され余命1年の少女・千代は、なんとか生き延びる方法を求めて不老不死といわれる鬼人を探していた。
東北の山奥に住んでいる仙人の男(うらたろう)は800年間生きていて、どう頑張っても死ねないから諦めて眠り続けていた。
彼との邂逅を果たした千代は、不老不死の謎を解くカギを求めて出羽の国(東北)から出雲の国の黄泉比良坂(よもつひらさか)を目指して旅に出る。
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「死にたい」男と「生きたい」少女を対比させた、生と死について考えさせられるマンガです。
「不老不死」という願いはフリーザやベジータの野望でしたが、それは実現できませんでした。
『ダイの大冒険』で大魔王バーンは凍れる時の秘法でほぼ不老不死を可能にしていました。(普段はジジイだったわけですが。)しかしロン・ベルク(魔族)は彼と袂を分かちます。「魔族は人間と違って寿命が長い。だからダラダラ生きてる奴が多い。人間と出会ってから数年、自分の人生はこれまでで最も輝いていた」とバーンに宣言するシーンは最高にカッコイイ。
要は、人生は長さよりも密度だということです。
「①不老不死になる」ことと「②一般的な長生きをする」ことは別物です。
さらに「③余命1年の呪いを回避する」ことともまた違う。
しかし、生きたいという切実さは③が一番でしょう。
タイムリミットが迫っているのに、その厳密な違いに拘っている場合じゃない心情は理解できます。
ストーリーが進むにつれて③→①になる方法が提示されたとき、人はどういう選択をするでしょうか?
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