【マンガ】『テロール教授の怪しい授業』(1巻)―カルトの構造
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『テロール教授の怪しい授業』 カルロ・ゼン、石田点 / 講談社
⇧2018年12月21日発売。表紙が怖すぎます。
原作は『幼女戦記』の方です。
<大学新入生はテロリスト予備軍>
このマンガは、テロール教授が大学新入生に対して行う「テロリズム」に関する講義です。多少誇張はありますが、大学の授業ってこういうものなんだと中学・高校生の読者の方には参考になると思います。
高校までの授業と違ってけっこう自由ですし、学問のジャンルや先生によって講義スタイルが全然違うものなんです。
テロール教授は、まずは新入生たちに
「君たちは騙されやすい人間だから、テロリスト予備軍だ」と言い放ちます。
それを聞いた新入生たちは心外に思います。
自分たちはもう高校生じゃないし、何も知らない子供じゃない。
それなりに勉強して大学に入ってきたわけだし、知識もある。
まだまだ知らないことだらけだけど、理知的にふるまうことができる。
だからテロリストなんていう頭のおかしい集団に自分が加入するはずがない、と。
教授は彼らに言います。
「テロリストについてメディアを通じて学習したことは一度全部忘れて下さい。
それらは控えめに言ってもゴミです。」と。
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テロリストは頭が狂っているわけでもないし、
好戦的な人間がなるわけでもないし、
暴力的な思想を持っているからなるわけでもありません。
貧困や格差によって引き起こされるわけでもありません。
テロリストの多くは大学以上の高学歴で、中産階級の家庭出身です。
いわゆる「普通の大学生」が一番なりやすいのです。
そして、時代によってテロリストの定義は変わってきましたし、立場によっても呼び方が変わってくることを講義で示します。
ある者が所属する集団では、彼を「正義の英雄」と呼び、敵対集団からは「テロリスト」と呼ばれるだけだということです。
何を善とするかは立場によって変わるということです。
テロリストの条件ははっきりしないものなのです。
言ったもの勝ちの思考停止ワードともいえます。
悪のレッテルを敵対集団に貼り付け、自分たちを正義だと盲信するだけだからです。
そうなった原因や背景など理解しようとせず、ただ排除しようとするだけになります。
分かり合えるはずがありません。
<大学生は騙しやすいカモ>
日本にはテロ組織は少ないと言われていますが、カルト教団は多いイメージです。
周りに迷惑をかけなければ何を信仰してようと自由だとは思いますが、
カルトに加入してしまった人の身内の方にとっては、そうも言ってられません。
言動がおかしくなると、やはり心配になるものです。
僕の通っていた大学にも、怪しいとウワサされる新興宗教っぽいサークルがありました。ターゲットはやはり、一人暮らしを始めて、大学生活もまだ右も左も分からない新入生です。彼らはとにかく素直で騙されやすい。
大学新入生のほとんどは、新しい生活が始まったばかりで浮足立っていますし、
大学や社会のことについてまだ知らないことだらけです。
テロ組織やカルト教団から見れば、とにかく騙しやすいカモとして映ります。
小学生中学生なら何も考えずに、警戒心が先行して見知らぬ人は全部シャットアウトできます。そういう習慣が日頃から学校や家庭で励行されているからです。
「知らない人には付いて行っちゃダメ」というフレーズは誰もが子供の頃に何度も聞かされたことでしょう。
しかし大学生になると自信がついてきて、
「自分は社会のことはそこそこ分かっているから騙されない」と思い込んでいる人が多くなります。そこが狙い目なんです。
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<カルトの仕組み>
このマンガで一番驚いたのは、カルトの仕組みです。
よく街でも、数人で何かの勧誘をしている集団を見かけますよね。
彼らの多くが、顔が引きつっていたり、笑顔が不自然だったり、勧誘文句が怪しかったりします。
「こんな怪しいやり方や不適切な人選で、本当に勧誘される人なんているのか?」
「一流の営業マンみたいな人材が組織にはいないんだろうな」
と思っていましたが、本当の狙いは勧誘じゃなかったことを知りました。
彼ら自身を周りから孤立させることが目的だったのです。
周囲からの疎外感を味あわせることで、
彼らの組織内での連帯感・結束を高める効果があるのだそうです。
他人からは無視され続け、
「自分にはここしかもう所属する集団がない」と思わせられれば、
組織からの離脱が困難になるという仕組みです。
「自分を分かってくれる・受け入れてくれる集団はもうここしかない」と思わせる作戦なのです。
怖っ!!
巧妙すぎて怖すぎます。
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