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【小説・ミステリー】『絞首商會』―容疑者全員が犯人になりたがる事件【メフィスト賞】

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『絞首商會』夕木春央 / 講談社

 ⇧2019年9月19日発売。

ハードカバー(四六判)です。文庫版はまだありません。

 第60回メフィスト賞受賞作です。

 

 

<犯人になりたがる容疑者たち>

世の中にあるほとんどのミステリーでは、容疑者は早期の段階で10人以下に絞られ、その誰もが容疑から逃れようとします。

真犯人は警察に逮捕されたくないですし、その他の容疑者たちは自分が犯人だと誤解されて冤罪になってしまうことを恐れているからです。

例外のない、当たり前すぎる行動です。

 

しかしこの小説は違います。

容疑者全員が犯人になりたがっているようなのです。

一体どういう理由があれば、自分に殺人の容疑がかかるように仕向けたくなるのでしょうか。

それがこの作品の肝です。

 

この奇妙な状況を成立させるために、「絞首商會」という国際的な無政府主義活動をしている組織が登場します。

無政府主義とはアナーキズム。

つまり国家やそれに付随する権力機構の存在を有害で不必要なものだとして、それらを減少あるいは廃止させようとする考え方のことです。

これを実現させるための方法論には、個人主義(自由主義)的なものと共産主義的なものに分かれます。

そして理想の実現のために過激な行動(破壊活動等)に出る集団も珍しくありません。

「絞首商會」もその部類です。

 

作中では無政府主義の正当性について語られている部分もありますが、別に無政府主義が事件の真相に深く関わってくるわけではありません。

イデオロギーの話題の箇所を読み飛ばしたとしても、全く問題なく謎やストーリーを理解できるので安心して下さい。

 

 「容疑者 画像 ミステリー」の画像検索結果"

 

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<あらすじ>

 探偵役である主人公は、3年前に泥棒をして捕まった男・蓮野(はすの)。

その助手役は、蓮野の友人でもある冴えない絵描き・井口。

蓮野は数年前まで銀行に勤めていました。

しかし極度の人嫌いなために退職し、今度は泥棒をしてお金を稼ごうと考えました。

そして、ある邸宅に忍び込んで金を盗み出したまではいいものの、すぐに警察に捕まって投獄され、最近になってようやく出所できたのです。

 

出所したばかりで仕事がない蓮野には、語学が堪能であるという特技がありました。

だから井口は彼にたびたび翻訳関係の仕事を回してあげていましたが、それだけで食べていけるわけではありません。

「探偵をやってみたらどうか」と井口が提案していたところに、ある女性が訪ねてきました。

 

女性の名前は水上淑子(としこ)。

彼女は3年前に蓮野が盗みを働いた邸宅で生活している人間の一人でした。

現在その邸宅には、彼女の他に遠縁の村上鼓堂(こどう)と、書生の宮尾と、女中が暮らしています。

蓮野が忍び込んだ当時は存命だった水上の叔父・梶太郎は、2ヶ月前に心不全で亡くなっています。

そして3日前、鼓堂がナイフで刺されて死亡しました。

 

 殺害された村上鼓堂を邸宅ので発見したのは、書生の宮尾です。

死因は胸を刺されたことによる大量出血ですが、凶器のナイフは現場から5km離れた場所に捨てられていました。

遺体の側にあった鞄の中には、血の付いた西洋紙が一枚、二冊の本の間に挟まっていました。

その紙にはなんと、蓮野の指紋が付いていました。

 

 水上は蓮野に、探偵として事件の真相を解明して欲しいと依頼します。

彼女は警察の捜査に先んじて、警察とは関わらない形で真相を知りたいようです。

「以前泥棒を働いた邸宅に、今度は探偵として出向くのは心苦しい」とその依頼を断る蓮野でしたが、結局は水上に押し切られる形で依頼を承諾しました。

 

実は鼓堂は殺される直前に「無政府主義の者に命を狙われているかもしれない」と知人にこぼしていました。

どうやら彼は無政府主義集団「絞首商會」と関わりがあり、大規模なテロを企んでいる「絞首商會」のことを警察に告発しようとしていたことも、遺品の書類から分かってきました。

 

鼓堂の死後、彼と関係が深かった3人の男が村上邸を訪ねてきます。

彼らは事件や犯人像についてやたら詳しく知りたがります。

 

果たして犯人は、3人の内の誰かなのか。

それとも水上や宮尾なのか、あるいは絞首商會の刺客なのか。

蓮野と井口は、警察とは別ルートで捜査を開始しました。

 

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<まとめ>

 刺殺された遺体で発見された村上鼓堂。

彼の親戚である梶太郎も2ヶ月前に死亡しました。

二人は絞首商會という無政府主義集団に所属していたようです。

そのことは彼の持っていた書類によって関係者全員が知ることになりました。

 

それからは水上も宮尾も3人の男たちも、警察よりも早く真相にたどり着きたいと考えます。

そして自分に容疑が向けられるような行動を取ります。

それぞれが抜き差しならない理由を抱えていたからです。

 

 殺人犯の容疑をかけられて一体どんなメリットがあるのでしょうか。

メフィスト賞らしい変則型の犯行動機ミステリーです。

 

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