【マンガ】『ぼくのツアーリ』1巻―独裁国家の皇帝を目指す青年
【広告】
紙の本も読みなよ / A-key-Hit
『ぼくのツアーリ』姫野ユウマ・草下シンヤ / KADOKAWA
⇧2019/11/2 発売
ツアーリ(ツァーリ)とは「ロシア皇帝」という意味です。
<独裁国家が舞台>
ワルキアという地域をご存知でしょうか。
ルーマニアの南部地域のことです。
ルーマニアは東ヨーロッパにあります。
ワルキアがこの漫画の舞台です。
⇩ルーマニアの位置は、画像の赤の部分です
ルーマニアは1945年までは王国でしたが、第二次世界大戦での敗戦と、ソ連による占領のせいで崩壊してしまいました。
それからは共和国となり、ルーマニア共産党による一党独裁体制に移行しました。
独裁体制時のルーマニアではソ連のような秘密警察がいて、国民の思想や言論を厳しく監視していました。
その後、1989年に起こったルーマニア革命によって独裁体制は崩壊し、民主化されました。
1991年にソ連が崩壊して、15個の国に分かれました。
その時に独立した国には、ウクライナ、アゼルバイジャン、キルギス、モルドバなどがあります。
これらの国に隣接しているルーマニアも、ソ連崩壊の動乱に巻き込まれました。
ここから、この漫画では架空の歴史が描かれます。
ワルキアが共和国として独立するのです。
政治はソ連のように国家評議会のメンバーが取り決めます。
とはいえ、評議会の議長が絶大な権力を握っています。
この漫画は、そんな独裁国家で次期独裁者の座を狙う青年の話です。
【広告】
<あらすじ>
ワルキア共和国国家評議会議長のピョートル・ナスターセ。
彼が革命軍を率いてワルキアを独立させてから、20年が経ちました。
今ではほぼ盤石の独裁体制を確立しています。
独裁体制を終わらせるために反乱を起こそうとする人達もいますが、そういった者はガンガン粛清されています。
ピョートルには3人の息子と1人の娘がいました。
彼らは全員優秀で、長男のヴィクトルと次男のユーリィはすでに国政に関わる仕事を任されています。
ヴィクトルは外務省第一外務次官。
ユーリィは国家保安局執行部部長です。
ちなみに三男は、主席卒業が見込まれる学生です。
主人公のユーリィの業務の一つは、国内の治安維持です。
彼は日夜、テロリスト集団「青き月」の構成員を摘発し、処刑を続けていました。
「青き月」の拠点であるゴート地区には、ワルキア共和国での被差別民族「ヌマーク人」が居住していました。
ユーリィはなぜかヌマーク人の少年・リューを拾ってきて、一緒に暮らしています。
リューにだけ心を許しているようです。
ユーリィの部下たちは、リューの存在を疎ましく思っていました。
現在はピョートルが絶大な権力を振るっていますが、けっこう高齢になってきました。
そして彼の後を継ぐ候補者として、長男のヴィクトルと次男のユーリィが有力視され始めていました。
ユーリィと兄のヴィクトルは昔から仲が悪く、お互いが権力を持ちすぎないように牽制し合っていました。
いつも冷静沈着なユーリィですが、時折ヴィクトルを睨む顔は、ヴィクトルの妻を怯えさせていました。
そんなある夜、ピョートルが心不全で亡くなりました。
死因はそれで間違いなさそうですが、ヴィクトルはこの機会を利用してユーリィを失脚させようと考えました。
そこで無実のはずのリューがユーリィの目の前で警察に捕らえられ、「ピョートルを殺害した」という嘘の自白をするまで監禁されることになりました。
「自白」しない限りリューが殴られ続けることは、ユーリィにも分かっています。
ユーリィは無実の親しい友人が捕まって動揺が隠せません。
そんな中、次の議長を決定するための多数決が取られることになりました。
果たして、ユーリィに逆転する手段はあるのでしょうか。
【広告】
<まとめ>
共和国として独立を果たしたルーマニア南部地域のワルキア。
そこで独裁者の息子たちが次期独裁者の座を狙って争います。
権力獲得のための殺人や罠が、日常的に仕掛けられる世界です。
けっこう骨太の歴史改変ポリティカル・サスペンスです。
著者がロシア文学好きなだけあって、そういった空気が作品内に反映されています。
キャラクターもよく、絵も上手く、名作になる予感がします。
⇦クリックするとアマゾンに飛べます
⇩⇩⇩⇩⇩
⇧⇧⇧⇧⇧
▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽
△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△