【マンガ】『オオカミライズ』1巻―中国とロシアに分割統治された日本
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『オオカミライズ』伊藤悠 / 集英社
⇧2019年4月19日発売。
<著者について>
著者の伊藤悠さんといえば、『皇国の守護者』や前作・『シュトヘル』でも圧倒的に上手くて個性的な絵柄をすでに確立しておられました。
連載デビュー作の『面影丸』のときから、その才能は突出していました。
・『皇国の守護者』(原作:佐藤大輔 / 集英社 / 全5巻)
皇国軍・新城直衛中尉が大隊を率いて、圧倒的多数の帝国軍と戦います。
軍勢の違いによりほぼ負けが確定しているような状況の中、自分や部下を叱咤して最後まで自軍をまとめ上げる姿がカッコイイです。
・『シュトヘル』(小学館 / 全14巻)
西夏文字を守るための、モンゴル皇子の孤独で壮大な戦い。
現代から転生したシュトヘル(須藤)が彼を助けます。
いずれの作品も戦争(バトル)ものの要素があります。
主人公は争いを望んでいないけれども、状況がそれを許さず、戦争に参加せざるを得ないという点も共通しています。
この『オオカミライズ』もそうです。
三人の主人公たちは子どもの頃は仲が良かったのに、今ではそれぞれ別の勢力に所属していて、戦う運命にあります。
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<あらすじ>
北方独裁国家が関東地域の森に新型ミサイルを投下しました。
中国とロシアはその国の首長を拘束し、制裁を加えました。
被害を受けた日本の治安を維持するという名目で、中国とロシアは日本に軍を派遣します。
2年後、ミサイル着弾地点を基準として、日本は中国とロシアに分割統治されることになりました。
中国の自治区となった日本の南側は「寧倭(ねいわ)自治区」と改称され、日本人は倭族と呼ばれるようになりました。
中国は対ロシア用機密兵器として、人間を狼化させる技術を開発しました。
その試験体として選出されたのは、中国やロシアに支配されている日本人です。
狼化した日本人は「倭狼(ウォーラン)」と呼ばれます。
倭狼は失敗作であり、中国はロシアに発見・捕縛される前に彼らを処分しようと考えます。
しかし49頭の倭狼が脱走を果たし、ロシアとの境界エリア(非武装中立地帯)に逃げ込みました。
脱走した倭狼のリーダー・ケン。
倭狼殲滅部隊の一員であるアキラ。
ロシアの偵察部員・イサク。
彼らは子どもの頃は、同じ施設で育ちました。
20年前から中国によって統治される寧倭自治区では、日本人を各地の施設に入れて、中国に逆らわないように教育を施し、労働に従事させていました。
つまり強制労働と洗脳教育を同時に行う施設です。
そこには政治犯から浮浪者、大人から子どもまでごちゃ混ぜに集められていました。
大人たちが不満のはけ口として、外人であるイサクをリンチしているところをケンとアキラが助け、三人は仲良くなったのです。
そんな彼らも大人になり、対立する勢力(倭狼、中国、ロシア)に別れて生きていました。
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<まとめ>
「倭狼」というSF設定も面白くて、戦闘シーンは相変わらず迫力があります。
日本が中国とロシアに分割統治されるという架空の設定も、あながち空想とは言い切れない昨今ですので、リアリティがあります。
最初は治安維持という名目で日本に軍隊を派遣して、そこからなし崩し的に支配してしまうという展開は、実際の手法として十分あり得ます。
そうすれば国際世論的には批判されにくいのでしょう。
戦争モノならば大抵は二つの勢力を描くものですが、この作品では中国、ロシア、日本、倭狼という4つの対立軸が存在します。
倭狼は元日本人なわけですが、日本人にすら人間として認めてもらえない始末です。
仕方なく脱走した倭狼たちは森に逃げ込むわけですが、中国や日本人の追手が彼らに安穏とした生活を許しません。
物語はまだまだ始まったばかりですが、今後どうなるのか全く予測できません。
誰かが勝てば終わりというわけにはいかないでしょう。
国家間の複雑な利害関係を描くと同時に、主人公たちの繊細な心情にもクローズアップしていて、読者を飽きさせることがありません。
絵だけでなく、物語やキャラクターや設定作りも上手い作品です。
(⇦2019年4月19日発売)
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