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紙の本も読みなよ

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【読書術(9)】長期休暇にこそ長編を読め

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紙の本も読みなよ / A-key-Hit

年末年始の正月休み、お盆休み、ゴールデンウイークといった長期休暇は読書するにはうってつけの期間です。

連続して自分の自由に使える時間が120時間(5日)以上あるという状況は、

現代の日本人では非常に珍しいことだと思います。

 

学生でも社会人でも、まとまった時間というのは意外と確保できないものです。

自己啓発本などで学んだ「時間管理術」とやらで、読書時間を捻出しようとしても、

1日でせいぜい1~2時間程度が関の山ではないでしょうか。

塵も積もれば山となるわけで、毎日それを実行していれば合計で膨大な時間にはなるのでしょうが、我々が真に欲しているのは、「まとまった時間」のはずです。

 

つまり、大抵は誰もが、コマ切れな時間を使って読書に勤しんでいるわけです。

長編小説や重厚なビジネス書、本格的なノンフィクションはかさ張るので、

通学通勤時には敬遠しがちです。

周りにも迷惑がかかりやすいですしね。

大体、短編かエッセイか、あるいは薄めの新書なんかをカバンに入れて、

時間がコマ切れになってもあまり残念感がないものを選択します。

 

しかし、これだと長編の本がせっかく買ったのに消化されませんよね。

気が付けば増えていく「積ん読」の山。

消化ペースよりも購入ペースが上回ってしまうのは、もはや「あるある」ネタなので別にいいとして、長編ばかりが溜まっていくのはいただけません。

 

よって、長期休暇は長編小説や、ハードなノンフィクション、厚めの教養書なんかを読むことに使うべきなのです。

ここで読まないと、おそらくずっと読まないままです。

エッセイや短編はお休みしましょう。

普段、「時間もないし、小説なんて読まないよ」と言う方も、ふらっと立ち寄った書店で、たまには長編に挑戦したくなるのが長期休暇の魔力です。

 

「長編」といえば、前編後編(2冊)とか前中後編(3冊)がありふれていますが、

そんなものではないレベルの「超長編」が世の中には存在します。

 

今、パッと思い出したのは『大菩薩峠』(中里介山 / 筑摩書房)です。

f:id:A-key-Hit:20181223194243j:plain  ←電子書籍か古本のみ。

世界最長を目指して書かれていましたが、41巻(未完)で著者が亡くなりました。

幕末の剣豪小説といえば略しすぎでしょうか。

虚無にとりつかれた主人公・机竜之介が旅をしながら、悩み苦しみ、人を斬っていきます。彼は辻斬り犯なのです。

1巻だけ読みました。

これはウンベルト・エーコの代表作『薔薇の名前』と同様、

各章の冒頭ごとに、その章のあらすじが書いてあるという、非常にありがた迷惑な形式を採用しています。

「今から読むのに、ダイジェストにしないで」と誰もが思うはず。

読むときは、このダイジェストを視界に入れないように注意しなければなりません。

この形式は著者の意図なのでしょうか?

編集者があとから付け足して出版されたのでしょうか?

謎です。

 

 

『失われた時を求めて』(マルセル・プルースト / 岩波文庫)も超~長いです。

f:id:A-key-Hit:20181223195833j:plain  ←全13巻。紙の本です。

 世界最長の小説といわれ、これはきちんと完結しています。

アニメ『PSYCHO-PASS サイコパス』で狡噛慎也が最終話のラストシーンで読んでいた本がこの小説です。

狡噛ファンとしては読まないといけない義務感を無駄に感じてはいますが、まだ最後まで読めていません。

小説を読み慣れていない方には、ハードルが高いかもしれません。

 

 

最初から熱い展開で、かつ読みやすいのは、北方謙三『水滸伝』でしょう。

f:id:A-key-Hit:20181223200934j:plain  ←全19巻。あっという間です。

 中国・北宋の時代。腐敗した官吏、不正が横行する国家を倒すために、

全国各地から108人の男たちが梁山泊に集います。

熱いアツい物語です。理想に生き、散ってゆく男たちの姿が心に刻まれます。

 

コマ切れの時間で読むと、膨大な登場人物の数に圧倒されて「覚えられないよ!」と音を上げてしまうかもしれませんが・・・

そこはベテランである著者の作家としての腕の冴えが、読者に何の労苦も感じさせないほど自然に覚えられる構成になっています。

 19巻ありますが、長さを感じさせない面白さです。

コミックだったら19冊まとめ読み出来ますよね?

そんなジェットコースター感。

17巻あたりで、「え?もうあと2冊しかないの?終わるのコレ?」と思うはずです。

 

 長期休暇を目前に控えて、何を読もうか考える時間こそが至福なのかもしれません。

 

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