【小説・SF】『突変』―自分の住む町は好きですか?
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紙の本も読みなよ / A-key-Hit
『突変』森岡浩之 / 徳間書店
700ページ超えでまあまあブ厚めですが、リーダビリティが高いのであっという間に読めます。著者は読者を飽きさせないような構成に、かなりこだわって作られたのだと感じました。
ある地域ごと、人々が異世界・異空間に移動してしまうパニックSFもの。
「漂流教室」とか、類書を探せばいくつかあるんでしょうけど、この小説では規模が違います。町一帯ごと移動してしまうのです。
そして、規則・ルールが細かく語られる所に説得力を感じます。
設定や展開も面白いですが、一番はキャラクター造形です。
ヒロインや高校生の双子といった主役級のキャラはまともな発言、行動をとらせているのに、その他の人達(町内会長、議員、防除団員など)の醜悪さといったら・・
冗談だと思えないほど、社会のリアルがここにある。
責任逃れとか、ヒステリックなわからず屋とか、口だけ立派なビビりの無能者とか、反面教師的キャラがいっぱい登場します。
主役たちとの対比効果を狙っているというのもあるでしょう。
「力を合わせてこの町を守ろう」と言う奴は一人もいません。
好感がもてる一般市民はほとんど出て来ません。
でも、日本の町なんてどこも大体こんな感じなのでは?
僕の住んでいる町の治安が悪いから、歪んだ見方しかできなくなってしまったのでしょうか。
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