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【ビジネス】『父が娘に語る経済の話』―専門用語なしで経済の本質に迫る

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紙の本も読みなよ / A-key-Hit

『父が娘に語る美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話』ヤニス・バルファキス / 訳:関美和 / ダイヤモンド社

⇧2019年3月7日発売。

 

 

<超わかりやすい経済の本>

大学で経済学を専攻しない限り、日本人が経済について体系的に学ぶ機会はあまりありません。(高校の選択科目に「政経」(政治・経済)がありますが、主要5教科の勉強の合間の息抜き的ポジションにあり、もったいないことに、真剣に取り組んでいる学生は少ないです。)

もちろん巷に経済の関連書籍は多くありますが、どういう順番で勉強すればいいのか全くの素人には分かりません。

しかも経済学者たちは人によって言っていることが正反対だったりするし、専門用語が多くて何を言っているのか意味が分からないことが多いし、経済学は独学で始めるには最初のハードルが高めの学問です。

 

この本は、「父親が娘に難しい言葉を使わずに経済のことを説明している」という体裁を取っているため、専門用語や脚注が登場しません。

そのため素人が読んでもすんなり理解できます。

 「資本主義」という言葉すら「市場社会」と言い換えられています。

中学生くらいからなら一人で読みこなせるはずです。

 

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<経済学は科学ではなく占い>

経済について語られるとき、専門用語が多すぎて素人にはまるで理解できません。

だから「そういうややこしいことは経済学者に任せておこう」と考える人が多いです。

しかしそれではいけないと著者は説きます。

 

 著者が経済学者になったのは、経済理論や数学を学べば学ぶほど、一流大学の専門家やテレビの経済評論家や銀行家や財務官僚がまったく見当はずれのことを言っていることが分かってきたからです。

一流の学者は見事な経済モデルを作っていますが、そうしたモデルは現実の労働者や借金を勘定に入れておらず、市場社会では役に立たないのです。

二流の経済評論家たちは、自分が崇める一流の経済学者のモデルを理解していないばかりか、自分の無知を気にもとめていません。

 

経済学を信奉している人は「経済学は科学だ」と言います。

 物理学が数理モデルを使って自然現象を解き明かすように、経済学も数理モデルを使って経済の仕組みを解き明かすものだと。

著者によれば、それはデタラメなのだそうです。

 

たしかに経済学者はすっきりとした数理モデルや統計ツールやデータを使います。

しかしだからといって彼らが本物の科学者だということにはなりません。

物理学では理論が正しかったことを自然界が公平に判断してくれますが、経済学はそうはいきません。

科学実験とは違って、実験室で経済状況を完全にコントロールして正当性を証明できないからです。

(※科学的であるかどうかは、その現象に再現性があるかどうかが求められます。) 

 

つまり経済学者が数学を使うから科学者だと言い張るのは、

星占い師がコンピュータや複雑な表を使うから天文学者と同じくらい科学的だと言うのと変わらないということです。

 

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<無からお金を生み出す銀行>

 銀行は、貯金があってもすぐに使う予定のない人たちと、貯金がなくてお金を借りる必要がある人たちの間に立って、両者を結びつけます。

預金者からお金を預かり、借り手にお金を貸しつけて利子を取り、預金者には少しの利子を払ってその差額で儲けるのが仕事です。

これはかつての銀行の姿であって、今は違うそうです。

 

たとえばAという人物が、事業のために銀行に1000万円の借金を申し込んだとします。

銀行はAに貸す1000万円をどこから見つけてくるでしょうか?

「預金者が預けたお金」は不正解です。

正解は「どこからともなく魔法のようにパッと出す」です。

 

方法は簡単です。

Aの口座残高を電子的に1000万増やすだけです。

これは非常に恐ろしい手法です。

無からお金を生み出しているのですから。

これこそまさに錬金術です。

僕はこれをやっているのは各国の中央銀行だけだと思っていました。

(※日銀は円高にならないようにお金を刷りまくっています)

普通の銀行でもやっているのだそうです。

 

ひと昔前なら、銀行はAが借金を返済できると確信できなければお金を貸していませんでした。(「半沢直樹」の世界)

利益どころか損失になってしまうからです。

しかしAの事業がうまくいかない場合にも、銀行が被害を被らない方法が生み出されました。

 

例えば、銀行はAに貸し付けを行ったあと、その債権を小口に分割してたくさんの投資家に販売するようになりました。

1000万円のローンを100人の投資家に分けるとすると、銀行はそれぞれの投資家から10万円ずつ受け取れます。

ここで、Aのローンを買いたい投資家などいるのか疑問に思われるかもしれません。

もちろんいます。

銀行は投資家に対して、銀行に10万円預金したときよりも高い金利を受け取れるように設定するからです。

こうすれば銀行はすぐに1000万円を回収できるし、もしAが破産して借金が返済できなくても100人の投資家が損をするだけで、銀行は無傷でいられるのです。

 

頭がいい手法ですが、危なっかしいことも確かです。

 こんな錬金術を連発していては、金融危機がやってくるのは当然ですね。

 

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<まとめ>

上記のこと以外にも

なぜ格差が存在するのか?

仮想通貨の危機とは?

献血が有償の国では、無償の国よりもはるかに血液が集まりにくい理由など

面白い経済トピックばかりの本です。

 

経済について少し興味があるけど、「歴史的な背景や専門用語なんかも一切知らないから何から勉強していいか分からない」という方にはうってつけの内容です。

難しい言葉を避けているのに本質に迫っていて、さらに面白いとなれば売れているのも納得です。

 

著者は2015年、ギリシャの経済危機の時に財務大臣を務めました。

EUから財政緊縮策を迫られる中、大幅な債務帳消しを主張して話題になりました。

その経済学者っぽくない大胆な個性も、文章の中に表れています。

ギリシャ危機を乗り切った人物が、経済についてどう考えているのかという視点で読むのもまた興味深いです。

 

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