【小説】『拳銃使いの娘』―ヤバい父親よりもヤバい娘【このミステリーがすごい2020・2位】
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紙の本も読みなよ / A-key-Hit
『拳銃使いの娘』ジョーダン・ハーパー / 訳:鈴木恵 / 早川書房
⇧2019/1/10発売
『このミステリーがすごい!2020年版』海外編・第2位にランクイン。
<悪い父親とその娘>
悪事に加担した父親が悪者達とトラブルを起こし、彼の家族にまでその巻き添えが広がるという展開の話は、アメリカのハリウッド映画などにはよくあります。
妻や小さな娘を守るために必死に戦う父親の姿はカッコイイような気がしますが、そもそも最初から悪党と関わらなければ、家族にまで被害が及ぶことはありません。
父親側にどんな事情があったにせよ、妻や娘にとってはかぶらなくていい迷惑なのです。
大抵こういったストーリーでは、父親と悪者たちとの戦いがメインで描かれ、娘は守られるだけの存在として物語に登場します。
そういう意味では「娘」のキャラクターは画一的であり、面白味がないと言えます。
現実的には、大人の男同士の戦いに小さな子どもが入り込める余地はないのでしょうが、それでは物語はありきたりなものになってしまいます。
この小説では乱暴者の父親と、その娘が主役です。
娘は最初は守られるだけの弱々しい存在でしたが、徐々にその血を覚醒させ、殺人以外の犯罪にはビビらないようになっていきます。
これには父親も驚きますし、読者もそうなるでしょう。
父親が全ての状況をコントロールしているつもりなのですが、娘がそれに影響を及ぼすようになります。
父親と娘の力関係が徐々に変わっていくのです。
娘が変化していく様子が非常に面白いです。
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<あらすじ>
主人公は11歳の内気な少女・ポリー。
母と義理の父親の3人で暮らしています。
ポリーは頭が良く、学校の勉強は低レベルすぎてつまらないため、宿題は今後一切やらないことに決めました。
とはいえ毎日ちゃんと学校には通うというマジメな性格です。
ある日、下校中のポリーの前に、刑務所に入っているはずの実の父親・ネイトが現れました。
彼はポリーに有無を言わせず付いてくるように要求します。
ポリーの命に危険が迫っているからだそうですが、彼女は身に覚えがないためワケがわかりません。
渋々ネイトの車に乗ったポリーは、すでに母親と義父が殺されていることを知らされます。
ネイトは子どもの頃から強盗を繰り返してきた、札付きのワルでした。
彼は刑務所内で刑期を終える1週間前、ギャングの一員であるチャックに麻薬の運び屋にならないかという勧誘を受けました。
ギャングの構成員になりたくなかったネイトは、それを断ります。
するとチャックと争いになり、正当防衛でチャックを殺してしまいました。
チャックはカリフォルニアのギャング団<アーリアン・スティール>のボス・クレイグの弟でした。
弟を殺されたクレイグは怒り、ネイトの家族を皆殺しにするよう部下に指示を出しました。
クレイグは刑務所内に収監されており、身動きできないからです。
刑務所外にいるギャングのメンバー達は、報奨金欲しさに、ネイトとその家族の命を狙ってきました。
ポリーは母親が殺されたことにショックを受けて落ち込みます。
ネイトはポリーがこれからは自分で身を守れるよう、護身術や人の殴り方を教えます。
最初はオドオドしていたポリーでしたが、そういった学校では教えてもらえないことを学ぶのが、徐々に楽しくなっていきます。
ギャングたちからの逃亡生活を続けながら、ポリーは強盗を繰り返すネイトの姿を見てワクワクするようになりました。
果たしてギャングからの逃亡生活は、どんな終わり方を迎えるのでしょうか。
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<まとめ>
『このミステリーがすごい!2020』で第2位にランクインしていますが、ミステリーというよりサスペンスです。
乱暴者の父親が内気な娘を連れてギャングと戦っていく物語かと思いきや、その娘が徐々に変貌をとげて、父親よりもクレイジーな行動力を発揮していきます。
「小さな子どもは守られているだけ、あるいはお荷物にしかならない」という先入観を壊してくれる小説です。
ポリーのキャラクターが生き生きしていて、非常に魅力的です。
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