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【マンガ】『王様ランキング』1巻―童話と少年マンガの新しい融合!【このマンガがすごい2020・7位】

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紙の本も読みなよ / A-key-Hit

『王様ランキング』十日草輔 / エンターブレイン(KADOKAWA)

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⇧2019年2月12日発売。

 『このマンガがすごい!2020』オトコ編・第7位にランクイン。

 

 

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【マンガ】『王様ランキング』1巻/童話と少年マンガの新しい融合![【本のおすすめ紹介】

 

 

<応援したい主人公>

マンガの主人公には二種類あります。

読者から憧れられる系」と「読者が応援したくなる系」です。

 

前者は強さ、賢さ、上手さ、行動力などの特定のパラメータが物語の最初から突出していて、周りを引っ張ったり魅了していくタイプで、

後者は最初は弱かったり、バカだったり、下手だったりして、周りから笑われたり期待されていなかったりするけれど、素直さひたむきな努力家でもあるタイプです。

 

前者のタイプには欠点や苦手分野もあわせ持ち、仲間から助けてもらったり慕われたりしてチームが出来上がっていく流れが王道パターンです。

後者のタイプには実は隠された特技や長所があって、今までそれを活かしきれていなかっただけで、サポートしてくれる仲間に出会うことで徐々に才能を開花させていく流れが王道パターンです。

 

この『王様ランキング』の主人公は後者にあたります。

バカでマヌケなのに加えて、耳が聞こえず、うまく話すこともできず、チビで虚弱体質というハンデまで抱えています。

次期国王になる立場(国王の息子)であるにもかかわらず、周りからは全く期待されていませんし、バカだと呆れられている始末です。

身のこなしや動体視力は良いのですが、それは全く評価されていません。

その特技を活かしたヒットアンドアウェーの剣術も、周りからは王としてふさわしくない卑怯なやり方だという見方をされてしまいます。

 

彼は見下されバカにされても素直さを失わない健気さを持ち、悔しい気持ちは笑顔で隠していつも隠れて泣いています。

応援せずにはいられません。

 

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<あらすじ>

 主人公はボッス王国の第一王子・ボッジ。

口も利けず非力な彼は、家来や民衆からの信望は薄いです。

片や義理の弟である第二王子・ダイダは大人顔負けの剣術を持ち、皆からの人気も高く、次期国王に推す声が多い有様でした。

王になることを夢見るボッジでしたが、父である国王以外はそれを望んでいないようです。

 

ある日、町に出かけたボッジは影のモンスター・カゲと出会います。

カゲはボッジに金品を要求し、ボッジは素直に従います。

毎日それを繰り返しているのに嫌な顔ひとつしないボッジに、カゲは興味を持ちます。

帰り道にボッジを尾行するカゲは、ボッジが皆からバカにされて笑われても一人になるまでは決して悔し涙を流さずに我慢していたことを知ります。

それからカゲは、どんなことがあってもボッジを応援することを決めました。

唯一の仲間ができたのです。

 

その後、国王が亡くなり、次期国王が選ばれる時がやってきました。

王の遺言ではボッジを次期国王にするように指示してありましたが、実際の国民への発表では、第二王子であるダイダの名が呼ばれました。

失意から城を飛び出したボッジ。

同時にカゲはダイダの側近に捕らえられ、殺されようとしていました。

 

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<斬新な設定>

普通、主人公が弱いとか下手だとかのマイナススタートは、唯一の特技でうまくカバーされていき周りの評価も変わってくるものですが、このマンガは違います。

主人公のハンデは、実は彼自身のせいではなく、父親のせいだったのです。

 

 ボッジの父親・ボッス王は若かりしときに魔神契約を結びました。

世界一強い力を持ちたいと願うボッス王に、魔神は

「血のつながりのある者の力を奪い、その力を与えることならできる」

と答えます。

そのときに家族はいなかったボッス王は、結婚して息子を産ませ、息子(つまりボッジ)が本来持つはずだった力を与えられることになったのです。

ボッジが弱くて愚かで虚弱体質なのは、性格でもなく遺伝でもなく、父と魔神との契約のせいだったということです。

 

可愛らしい絵柄にごまかされそうになりますが、これはかなり残酷な設定です。

「強くて偉大な父親」というのは、大抵は「主人公の乗り越えるべき壁」として立ちはだかるものですが、主人公に負の遺産を相続させる役として機能しています。

他のマンガには見られない斬新な設定です。

すごいです。

 

 自分の責任ではない弱さを背負うことになった主人公は、一体どうやってそれを乗り越えていくのでしょうか?

童話っぽい絵柄と語り口ですが、深くて大人でも楽しめる、全く新しい王道少年マンガです。

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