【マンガ】『魔風が吹く』全5巻―スマホを腹の中に埋め込まれた男
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紙の本も読みなよ / A-key-Hit
『魔風が吹く』円城寺真己 / 集英社
⇧1巻は2018年8月発売。
最終巻の5巻は、2019年10月18日に出ました。
<最先端の拷問>
世界中には様々な拷問方法があります。
殴ったりして痛めつけるのは拷問する側も疲れるので、短期的に終了します。
逆に肉体的・精神的な苦痛を長引かせるための拷問もあります。
キリストのような磔(はりつけ)が代表的です。
木などにロープで縛りつけておく、横たわれない状態(立ったまま)でいさせる、顔に水をたらし続けるなど、肉体的な痛みは伴わなくても、長期間続けば絶大なストレスになる方法もあります。
拷問の目的は自白させるための場合もあれば、シンプルに嫌がらせの場合もあります。
後者の場合はなるべく長期間続く方が理想的です。
いつまで続くのか分からないことも、受け手の強いストレスになります。
この漫画の主人公は、手術で腹の中にスマホを入れられてしまいます。
電話がかかってくると、バイブ機能で振動するよう設定されています。
生きている間に絶対に高速振動するはずのない臓器が、強制的に振動させられるのはどんな気持ち悪さなのでしょうか。
乗り物酔いの100倍くらいの吐き気でしょうか。
スマホなので、拷問する者とされる者が同じ場所にいる必要がなく、遠隔操作でいつでも振動させることができます。
そして位置情報も分かるので、警察などに駆け込もうとしても、ずっと振動させて阻止することが出来ます。
最先端のテクノロジーを使った拷問です。
もちろん、主人公がそんな状態にされてしまった理由はちゃんとあります。
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<あらすじ>
2016年9月のとある地方都市。
主人公の堺翔平は高校を中退してからお金がなく、詐欺グループの末端の仕事に手を出しました。
オレオレ詐欺で騙した老婆から、直接お金(250万円)を受け取る役目です。
お金の受け渡しの直前になって、堺の監視役から電話がかかってきました。
どうやら老婆に銀行から人が付いているらしく、警察にバレているとの知らせです。
堺は老婆とすれ違っただけでやり過ごしましたが、顔を見られて心配になり、髪型と髪の色を変えました。
ある日、中学校時代の友人(木村)から電話がかかってきました。
台風が近づいてきているのに工場の準備が間に合わないから、手伝ってくれという依頼です。
バイト代も出してくれるようなので、堺は車で木村の工場に向かいました。
木村の工場に到着し、中に入ってみれば、そこには見知らぬ男がいました。
男の正体は、先日堺が詐欺の片棒を担ごうとした案件の「番頭」(グループのサブリーダー)でした。
番頭のことは一旦置いておいて、「捨ててきて欲しいものがある」と木村は堺に言いました。
それはビニールシートに包まれた、裸の女性の死体でした。
当然、堺は木村の依頼を断りますが、番頭がバールを持って脅してきました。
つまり「以前に任務を失敗したんだから、その尻拭いをせよ。しないなら殺す」というわけです。
仕方なく堺は死体を埋めるために車で山に向かいますが、どこも通行止めになっていて山に入ることが出来ません。
そこで台風が接近してきて増水している川に、死体を投げ込むことにしました。
その後、川は氾濫して堤防を突破し、水は住宅街に流れ込みました。
水が引いた後、流されてきた死体は街で発見されます。
警察は遺体の身元を特定し、その父親である上遠野に報告しました。
娘さんは殺された後に、川の上流から遺棄されたようだと。
医者である上遠野は、その日から犯人捜しを始めます。
娘の復讐のためです。
一方、堺は捨てた死体がニュースになっていることを知り、怯えます。
そして自首しようと思い立ちますが、踏ん切りがつかず警察の近くを何日もうろつくことになりました。
その姿を見ていた上遠野は、堺こそが娘を殺した犯人だと思い込みます。
上遠野は堺を拉致して麻酔を打ち込み、手術してスマホを堺の腹の中に埋め込みました。
どうしても堺を死刑にしたい上遠野は、堺にもう一人誰かを殺害するよう命令します。
一人殺しただけでは死刑が確実ではないためです。
堺は街に放された後も色々と抵抗を試みますが、その都度スマホを揺らされ、誰にも助けを呼べません。
果たして彼はどうなってしまうのでしょうか。
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<まとめ>
殺人犯だと間違えられて、腹の中にスマホを埋め込まれてしまう男の話です。
サスペンスミステリーです。
堺に手術を施した医者の上遠野もクレイジーですが、堺を追いかけまわす詐欺グループの番頭もクレイジーです。
堺の中学時代の友人たちもどこかネジが外れていて、まともな人が登場しません。
誰にも頼れない行き詰まり感の演出は見事です。
非常に絵も話の構成も上手いです。
先の展開が全く読めない、緊張感あふれる漫画です。
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