【マンガ】『ランウェイで笑って』11巻―遠回りがやがて武器になる
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紙の本も読みなよ / A-key-Hit
『ランウェイで笑って』猪ノ谷言葉 / 講談社
⇧2019年7月17日発売。
唯一無二の服飾系少年マンガです。
11巻からは、ファッションショーに出す服の制作過程が本格的に描かれます。
<あらすじ>
ファッションデザイナーになるのが夢である高校生の主人公・津村育人。
母子家庭で母は病気で入院中です。
彼は4人兄弟(育人が長男で妹3人)で経済的にも苦しかったため、進学を諦めて就職しようと考えていました。
しかしパリコレモデルを目指しているクラスメートの千雪の計らいで、プロのデザイナー事務所(柳田一のアトリエ)で働けることになります。
アトリエでアルバイトとして雇ってもらって働く毎日。
高校を卒業して、アトリエで正社員として雇ってもらえないか交渉しようとする矢先、柳田はアトリエを畳むことを宣言します。
職場を失った育人は、芸華大学に進学することに決めました。
ところが、デザイン事務所がインターンを募集していることを、芸華大学の校内にある掲示板を見て知ります。
学校で学ぶよりも現場で学んだ方がより早く成長できるだろうと考えた育人は、すぐにインターンに応募します。
育人が応募したのは業界でも有名なブランド・Aphro I dite(アプロアイディーテ)。
そのデザイン事務所は育人の他にも多くのインターン生がすでに働いていて、彼らは皆、自分の実力が評価されて正社員に昇格することを夢見ていました。
そんな中で、育人は3ヶ月で正社員に昇格するという快挙を成し遂げます。
そして育人よりも先にAphro I diteに入って、チーフデザイナーをしていた柳田の元へヘルプに行くよう指示されます。
そこで育人は、柳田に戦力として認めてもらえるようになりました。
順風満帆に実力をつけていく育人でしたが、周囲の社員からは「ただのコネ入社の若い奴」という嫉妬と憎しみが混じった目で見られていました。
この11巻では、そのやっかみをはね返すくらいの実力を結果で示していきます。
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<デザイナーとパタンナー>
新しい服をデザインする現場には2種類の人間がいます。
デザイナーとパタンナーです。
前者がデザイン案を作り、後者がそれを実際の形に試作します。
デザイン事務所において、デザイナーは実績が無い人間にはなることができません。
即戦力なる者だけがデザイナーとして使ってもらえます。
育人が目指しているのはデザイナーであって、パタンナーではありません。
しかし実績が無いために、パタンナーからスタートしました。
パタンナーに必要な基本的能力は6つあります。
①、タイユール(堅い服を作るための知識)
②、フリュー(柔らかい服を作るための知識)
③、縫い目(位置や縫う方法を選択できる力)
④、生地選び(正しく選ぶことでシワやシルエットの美しさに繋がる)
⑤、スピード(手の速さ)
⑥、コミュニケーション能力(ワガママなデザイナーへの対応力)
育人はこの6つが特に突出しているわけではありませんが、服の構造を即座に脳内で立体化し、パターン化できる能力に優れています。
(6歳から服作りをしてきた経験のたまもの)
育人はベテランのパタンナーたちの中でもまれながら、上記の基本的能力値を上げていきます。
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<まとめ>
育人も最初こそは「デザイナーに早くなりたい」と言っていましたが、今はパタンナーとして経験を積んで、デザイナーへの土台を作ろうとしています。
育人はデザインの発想はリアルクローズに寄り過ぎていて凡庸だけれど、デザイナーの意図を理解する勘のよさは認められるようになりました。
デザイナーの中には、柳田のように案を考えるだけで服を全く作れない人間もいますが、作れた方が発想の底力がつくのは確かです。
根拠もなしにスピード出世に憧れてしまうのはありがちな事ですが、余程の天才でもない限りまずありえません。
たとえコネやまぐれで高い地位に就いたとしても、実力がなければすぐにメッキは剥がれて信頼を失います。
デザイナーを目指しているけれどパタンナーも経由するのは、基礎力が身に着くので決して無駄ではありません。
遠回りに見えるけれども、やがてその経験が迷ったりしたときに武器になる日が来ます。
育人はパタンナーの仕事をしていますが、その発想はかつて柳田(デザイナー)のアトリエで働いていた経験がもとになっています。
育人のパタンナーとしての妥協を許さない仕事ぶりは、デザイナーの意図を深くくみとり、服の質を上げることに繋がっています。
デザイナーとパタンナー、両方ができる人間の発想力の片鱗を育人は見せ始めました。
イメージを実際の形にできる人間は強いですね。
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