【マンガ】『BLUE GIANT SUPREME』8巻―美しさか、情熱的な力強さか
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紙の本も読みなよ / A-key-Hit
『BLUE GIANT SUPREME』石塚真一 / 小学館
⇧2019年6月28日発売。
超アツいジャズ漫画です。
<音の出る漫画>
『ONE PIECE』の尾田栄一郎さんが、『四月は君の嘘』(新川直司/講談社)という音楽漫画に対して、
「聞こえる音楽。漫画がもっとも苦手なジャンル「音楽」の表現がまあ見事。」
と最大限の賛辞を送っていました。
漫画は小説と同じで、音が聞こえないジャンルのメディアです。
効果音は描き文字ですし、メロディならそのシーンに音符が描かれていたりします。
まあそれは凡庸な記号的表現であって、すぐれた漫画は絵だけで「音」を表現します。
この『BLUE GIANT SUPREME』も音楽の表現が素晴らしいです。
漫画から大きな音が出ているように感じます。
恐ろしいほどの迫力と熱量が伝わってきます。
巻が進むにつれて、その音圧がどんどん増していっています。
『四月は君の嘘』はクラシックですが、『BLUE GIANT SUPREME』はジャズです。
扱う音楽のジャンルによって、表現の仕方が全く変わってくるところが面白いです。
一言で表すなら、前者は繊細さ、後者は激しさでしょうか。
音が聞こえないからこそ、音楽表現の方法は無限にあるのです。
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<あらすじ>
プロのサックスプレイヤーを目指してヨーロッパにやって来た主人公・宮本大。
彼が演奏しているのはジャズです。
目標は世界一のジャズマンに なることですが、独りでライブを繰り返しているだけでは限界があることを感じます。
そこで大はこれだと思ったプレイヤーたちを集めて、4人組のバンド(サックス、ピアノ、コントラバス、ドラム)を結成しました。
メンバーは皆プロではないけれど、腕に覚えのある者たちぞろいなので、日々の練習でも演奏に関してよくモメます。
初めての4人のライブは力み過ぎて全員の演奏が噛み合わず、大失敗に終わりました。
めげずに彼らはヨーロッパ中を回るツアーに旅立ちます。
行く先々のライブでそれなりに好評を得て、自信をつけていきます。
技術も才能もあるメンバーたちなので、それは半ば必然の結果ともいえます。
噛み合わなかった4人の歯車がようやくうまく回り出したのです。
まだまだ無名の彼らは、ライブをさせてくれる会場があると知れば、どこにでも足を運んで行きます。
そんな中、大の父親が倒れて入院したという連絡が届きます。
ツアーに勢いがついてきてこれからという大事な時でしたが、大は一時日本に帰国することにしました。
大が日本にいる間もツアーは続けれらます。
その間は、知り合いに紹介してもらった実力派若手サックスプレイヤーのアーネストを代役にしてライブをこなしていきました。
アーネストは自分の実力に自信を持っており、実際に申し分ないレベルでした。
そして大の代役ではなく、自分を正規メンバーとして迎え入れるようバンドの仲間たちに要求します。
日本から戻って来た大に対して、アーネストはライブのステージ上で勝負を仕掛けてきました。
テナーサックスのソロ演奏の対決です。
バンドメンバーや聴衆に、アーネストの方が優れたプレイヤーであると示そうと考えたわけです。
どちらも観客を魅了するわけですが、その反応は明確に違っていました。
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<まとめ>
アーネストと大はパワーは同じくらい。
テクニックはアーネストの方が上です。
それなのにバンドメンバーは、アーネストが大と入れ替わることはありえないという見解で一致しました。
うまく言葉では説明できないけれど、大の演奏の方が魅力的だというのです。
もちろんアーネストは納得できません。
ライブ中やライブ終わりの観客たちの反応も異なっていました。
アーネストの演奏中は観客は喜んだり拍手したりしていますが、
大の演奏中は皆、圧倒され、呆然としています。
ライブ後、アーネストの元にはサインをねだったり一緒に写真を撮ってくれと頼む人が集まったのに対し、大の元にやってきたのは、ただ「ありがとう」と熱い目で握手してくる一人の青年のみでした。
10人の観客を喜ばせるか、1人の人間を心の底から感動させるか。
これはどちらが優れているか、どちらが正しいかという問題ではなく、目指す方向性が違うということです。
アーネストはテクニックを駆使した美しさと分かりやすさを追求し、
大は毎日、自分の全ての情熱を出し尽くすことを追求しています。
ただ、テクニックや打算に基づいた戦略には限界があります。
「世界一を目指すなら、チマチマと計算をしているような生き方では届かないよ」というメッセージが伝わる漫画です。
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