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【小説・ミステリー】『青の数学』—数学を解くことを競う意味

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紙の本も読みなよ / A-key-Hit

『青の数学』王城夕紀 / 新潮社

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 ⇧2016年7月発売。(全2巻)

 

<社会に出たら数学は使わない?>

 皆さんは数学が得意ですか?

僕は苦手です。

そのせいか、数学が出来る人をカッコイイと思ってしまいます。

 

よく「数学なんて社会に出たら使わないんだから、やる意味がない。やる必要もない」というフレーズを聞きます。

これは大抵が数学が出来ない人の言い訳・負け惜しみです。

その証拠に数学が出来る人からこのセリフを聞いたことがありません。

本当に意味や必要がないなら、彼らの一部もそれを口に出すことでしょう。

 

僕は出来ないグループに入っていますが、

「数学が出来ない人は、出来る人が見えている景色を想像することも不可能なので、意味や価値を実感することも難しくなってしまうのだろう」と推察しています。

社会に出ても使わないというよりも、使わなくて済むような道(職業)を選んでいるから実際に使わないだけでしょう。

自分がまさにそうです。

 

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 <あらすじ>

高校生の主人公・栢山(かやま)は数学が得意でした。

数学オリンピック予選の日、2年連続優勝した経歴をもつ京香凛と出会います。

そこで彼女から「数学って何?」という根源的な問いを向けられます。

彼女はその日の会場に現れず、消息不明となりました。

 

数学の早解きバトルをネット上で行う「E2」が、若い数学愛好家たちの間で流行っていました。数多くの問題が提供されており、参加者は好きな対戦相手と好きな問題を選んで勝負することができます。

「 一ノ瀬の十問」という「E2」のサイトの創設者が作った問題もあり、これらは腕に覚えのある参加者たちでも中々手が出せない難しさでした。

栢山はそのうちの一問を解いたことで少し名が知れ渡るようになります。

そこから名門高校の数学研究会「オイラ―倶楽部」をはじめとした多くのライバルたちと競い合っていきます。

 

ある日「E2」に業界内でも有名な京香凛が現れたというウワサが立ちます。

数学で競うことに疑問を持ち始めていた栢山は、香凛にもう一度会って数学についての意見が聞きたいと考えます。

香凛にコンタクトをとるために、逆説的ですが「E2」で「 一ノ瀬の十問」を全部解くことに挑戦していくことになりました。

 

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<数学を解くことを競う意味>

この小説の栢山は数学の問題を解いたり考えたりするのが好きです。

しかし、誰かと早押しクイズのように解く時間を競うことには疑問を持っています。

考えることは個人で完結できるので、競うよりも時間をかけて自分のペースで考える方が楽しいし有意義で純粋さがあると考えています。

競うことを第一に考えるのは本質からズレているように思えるので、できれば勝負を避けて通ろうとしています。

なのに彼の周りの数学が得意な人達は、やたらと彼と勝負したがります。

彼がかなり強い実力者だからです。

 

早解きのゲーム性は理解できなくもないけれど、

「じゃあ負けた方が考えたことに意味はなかったということになるのか?」と彼は悩みます。

たとえ遅い解き方だったとしても、自分が考えたやり方にも価値や意味はあるはずだと信じたいので、負けるとそれを否定される競技という形式は嫌なのです。

 

みんな、何のために競っているのでしょうか。

自己顕示欲、地位、名誉、プライド、自分よりすごい奴がいることを許せない者など色んな動機をもつライバル達が現れます。

しかしそういったものに興味がない栢山は、競うことに意味や価値を見出せません。

ただ自分だけで解いてちゃダメなのかと。

 

数学を解いたりするのは好きだけど何のために競うのか分からない栢山。

同じように、好きなことはあるけれど、それで他人と競い合うことに疑問を持つ人も少なくないと思います。

地位や名声のためという理由もありますが、別の理由が2巻で提示されます。

 

あらゆる研究がそうですが、最初にそれを発見した人に全ての名誉が与えられます。

だから先を争う者全員がライバルだというのは正しいのですが、敵対しているわけではないのです。

同じ一つの問題に取り組んでいる相手がいるのは、勇気づけられることでもあるのです。

世界で自分だけが独りで戦っているわけじゃないことが確認できるからです。

ライバルは戦友でもあるのです。

競い合うというのは、広い意味では仲間を増やすということなのです。

 

 高校生たちが悩み、ぶつかり、成長していく。

スポーツではないですが、数学を通しためちゃくちゃアツい青春ストーリーです。

学生でなくとも、読み終えたら数学を勉強したくなりますよ。

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