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【小説・ミステリー】『FEED』―底辺少女たちの運命の分岐点

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紙の本も読みなよ / A-key-Hit

『FEED』櫛木理宇 / 新潮社(『少女葬』に改題)

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 ⇧2016年5月発売。

ハードカバーです。

 

『少女葬』と改題されて、文庫版が2019年4月に発売されました。

 

<作風紹介>

ミステリーでは普通、に焦点が当てられてストーリーを牽引していくものですが、

この作家さんの作品は話の展開が気になって読み進めてしまう感じです。

キャラクターの運命が気になってしまい、ミステリー要素は相対的にオマケくらいに感じてしまうほどです。

魅力的な謎を作り出すよりも、人物やテーマをきちんと描こうとしているからなのでしょう。

 

著者はホラー小説でデビューしたこともあってか、どうしようもない現実の残酷さを描くことに容赦がありません。

凄惨な描写に耐性がない読者は、ショックを受けてしまうかもしれません。

ハッピーなものを小説に期待している方にはオススメできない作品です。

個人的には非常に面白かったです。

 

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<あらすじ>

父親の暴力に耐えかねて家出した女子高生・伊沢綾希。

まだ16歳なのでアルバイトをしようにも親の確認が必要だし、住み込みでやるなどもっての外でした。

お金もないので、家賃が安くて保証人もいらず、契約に年齢制限もないシェアハウスに入居することにしました。

 

そこは家出した少年少女たちや生活保護受給者たちが集まる場所でした。

油断すると入居者に私物を盗まれるので、誰に対しても気が抜けず、心を休めるヒマもありません。

外出時はいつも私物は全部持って出ないと、確実に盗まれます。

 

他に自分のような境遇の人間を住ませてくれるアパートもないし、家に帰る方が嫌だったので、綾希はそのシェアハウスで暮らすことを続けます。

地獄のような毎日でしたが、やがて同じ家出少女の眞美と友達になります。

彼女と一緒にハローワークに出かけて求人情報を探したりしますが、保証人になる親と関わりたくない彼女たちに紹介してもらえる仕事などあるはずもありません。

 

ある日、シェアハウスのオーナーの知り合いだという海里と出会います。

彼女は裕福な暮らしをしていて、オシャレでイケてる友達(取り巻き)も多く、綾希たちもその仲間に加えようとします。

海里は自分の言うことを聞く都合のいい友達を配下に置いておきたいだけなのですが、洗練された彼女の立ち振る舞いに次第に心酔していく眞美。

一方、海里のうさん臭さがなんとなく気に入らない綾希。

やがて綾希と眞美に距離ができていきます。

 

綾希は自立するために仕事を探そうと試行錯誤します。

偶然もらえた手芸の内職的な収入を手がかりに、まともな大人と知り合い、保証人になってもらって住む場所を確保できるまでになりました。

建設的な未来に、希望がわいてきます。

 

一方眞美は、収入がないけれど海里にお下がりをもらったりして、一時的に華やかな生活を送ることができていました。しかし周りの不良連中にいいように使われて心も体も疲弊していきます。

他に友達もいないし収入もないから、彼らのグループから抜け出すことも出来ません。

現実は苦しいばかりで、未来に希望など持てません。

 

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<運命の分岐点>

眞美はたしかに依存心が強く、海里に言われるがまま流されて生きていました。

綾希は自立心があり、自分の頭で考えることができました。

 

二人の運命を決定的に分けたものは何だったのでしょうか?

容姿?、性格?、自分の頭で考えようとしたかどうか?、

育ってきた環境?、それとも運?

 

どれが決定的だったかは分からないですが、綾希は何度も眞美に「そんな生き方を繰り返してちゃダメだ」と言いましたし、逆に眞美も綾希に「オシャレなものは何でも手に入るからこっちにおいでよ」と誘います。

 

眞美には引き返すチャンスは何度もあったのです。

ただ、建設的に未来を見ようとする意志が足りませんでした。

 

まだ10代で信じられるものが何もない状況で、一瞬でも居心地のよさがあれば、

そちらになびいて行ってしまうのは仕方のないことです。

大人でもそうなりがちだからです。

楽な方に流されるのは人の常です。

 

眞美のような性格や生き方を僕は批判したくありません。

彼女が悲惨な結末を迎えることになってしまったのは結果論だと思います。

綾希が仕事を見つけられずに絶望のまま死んでしまうことも、

眞美が海里の腰巾着のまま金満生活を送れていた可能性もあるのです。

 

ただ、周りに流されずに自分の頭で考えた方が、不幸にはなりにくいのかもしれません。

 

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