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【小説・ミステリー】『人間の顔は食べづらい』―本格ミステリー+スプラッターホラー

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『人間の顔は食べづらい』白井智之 / 角川書店

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 ↑文庫版よりもハードカバー版の方が不気味ですね。

ハードカバー版を買いました。 

文庫版は2017年8月発売です。

 

<奇才のデビュー作>

著者の白井智之氏といえば、『このミステリーがすごい!2019』で

『少女を殺す100の方法』が第25位にランクインしていましたね。

そちらもトンデモ設定なのに最後は見事に伏線回収する展開に驚きましたが、

衝撃がすごすぎて度肝を抜かれたのはデビュー作の『人間の顔は食べづらい』です。

 

著者はこの作品以降も、特殊設定とグロい描写を特徴とした作風でミステリーを出されています。この作風で独自の地位をすでに確立した感じです。

スプラッターホラーは僕も苦手なのですが、ミステリー的な要素を絡めたストーリーの運びが上手くて、つい読み進めてしまいます。

著者は大学時代にSF・推理小説研究会に所属していたそうで、読者を引き付ける魅力的な謎の作り方はそこで習得されたのでしょうか。

 

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<あらすじ>

謎の動物感染症が蔓延したことにより、日本では肉を食べなくなりました。

菜食主義だけでは栄養が偏るということで、自分のクローン人間なら食べてもOKという法案が成立します。

自分のクローンを食べるとはいえ、流石に顔は食べるのに抵抗がある(目が合う)ので、頭が無い状態でクローンは出荷されることになります。

食用クローン人間を生産する工場で働く主人公・和志。

彼の受け持ちの仕事は、クローン人間の首を切り落とす作業でした。

 

ある日客の元へ、首無しクローンと生首が同梱発送されてくるという事例が起きました。

首を落とす作業を割り当てられていた和志は、犯人の疑いをかけられてしまいます。

身に覚えのない彼は、真犯人を見つけるべく、捜査に乗り出します。

 

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 <特殊設定のミステリー>

あらゆる設定がぶっ飛んでいて衝撃的です。

「なんで肉が食べたいからってクローン人間やねん!」とか色々とツッコミ始めたらキリがない設定はいくつかありますが、ストーリー運びの上手さによってほとんど気になりません。

なにより、このメチャクチャな世界観の設定の中で、きちんと論理的に推理して真犯人や謎が解明されるのは見事です。

「クローン人間」が登場するからには、「人物入れ替わりトリック」だろうと誰もが身構えて読むはずですが、そんなことは著者も想定済みです。

読者の想像をはるかに超える「入れ替わり手法」が用意されています。

 

ちなみに特殊な世界観設定の中での論理的解決をする本格ミステリーで有名なものに、

山口雅也氏の『生ける屍の死』や、西澤保彦氏の『七回死んだ男』があります。

  

 

どちらも超名作です。

前者は「死者が生き返るのが通常という設定の世界観もと、なぜ殺害されたままの死体が存在するのか」、

後者は「くり返される1日という特殊設定のもと、殺害された人物を救うべく、犯人を見つけ出し犯行を阻止するにはどう行動したらよいか」

という謎を解明する話です。

 

我々が暮らす現実世界とは異なる物理法則や設定下での論理的推理というのは、

ありえない極端な状況を設定して考える「哲学の思考実験」に似ています。

 

こういうストーリーや設定はどうやって考え付くのでしょうか。

マンガは「キャラクターが出来たら勝手に動くので、自然とストーリーも出来る」と言われることがありますが、特殊な設定のミステリーはそうはいきません。

設定から考えるのでしょうか?

トリックから考えるのでしょうか?

 

著者がどういう発想をもとにその作品を書き上げたのかを考えてみるのは、

他人の思考をトレースする遊びとして楽しいですし、

アイデアを考える練習にもなるかもしれません。

 

「ガチの本格ミステリーだけど、変わったものが読みたい」という方にはオススメの作品です。

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