【マンガ】『彼方のアストラ』(2-5巻)―完璧な伏線回収と気持ちのいい大団円
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紙の本も読みなよ / A-key-Hit
『彼方のアストラ』篠原健太 / 集英社
↑全5巻。一気読み推奨です!
1巻は買ったけれど年末年始のドタバタで2巻以降を買うのが延びていました。
ようやくラストまで購入しました。
一気に買っておけばよかった。
<1巻のあらすじ>
「惑星キャンプ」という林間学校のような学校行事に参加するために、宇宙港に集まった主人公・カナタたち9人の高校生。
「B5班」という名前の班なので、他にも参加者がいて、カナタたちとは違う惑星に行ってキャンプしているのでしょう。
教師の先導により無事に目的地の惑星マクパに到着しました。
教師たちがいなくなって、カナタたちだけが残されます。(大人はキャンプに参加せずに子供たちで5日間過ごすというイベント。)
その直後、謎の光の球体に吸い込まれることによって、5012光年先の宇宙空間に飛ばされてしまいます。(後に光の球体はワームホールと判明)
なんとか付近にあった宇宙船に避難することができましたが、なぜ都合よくそこに宇宙船が存在していたのかという理由はこの時点では説明されません。
5012光年という距離は、その宇宙船で超光速航行を使っても3ヶ月かかります。
宇宙船には食糧も水も3日分くらいしかありません。
絶望的な状況を打破する方法は一つ。
3日で辿り着ける惑星の中で、水や食糧を補給できるものを探し出すことです。
5つの惑星を経由すれば帰還できるルートをなんとか見出した9人。
リスクはありますがそれしか生き延びる方法はないので、9人は未知の惑星へ出発することにしました。
<2巻以降のあらすじ>
謎の光の球体の正体と現状把握のための議論が交わされます。
これは「惑星キャンプ」の企画の一つなのでは?
との意見が出されましたが、
「ヘルメットを被っていなければ、宇宙空間に飛ばされた瞬間、窒息して死んでいた」ことから、これは何らかのトラブルであるという結論に至ります。
お互いのこれまでの経緯を話し合っていくうちに、「B5に入れて一斉殺処分」というキーワードが出て来ます。
宇宙船の通信機器が意図的に破壊されていたことから、9人の中に犯人がいて、
その犯人は自分を含めた「B5班」全員を殺害するという目的を持ってキャンプに参加してきたことが判明します。
その刺客の正体や目的の動機(9人全員を殺害するための共通点)が謎のまま、
物語は進行していき、いよいよ最後の中継惑星に辿り着きます。
それまでいくつもの危機を全員が力を合わせて乗り越えてきたことから、刺客も当初の目的を変更して全員が生き残る道を選択したかに思われました。
<ラスト>
この時点(3巻終了)で、読者の目線からしたら、「皆こんなに仲良く、力強い絆さえ生まれたのに、本当に刺客なんているの?」と思えたことでしょう。
9人はみんな「良い奴」なので、誰も刺客であってほしくないと願ったのは僕だけではないはずです。(本当に嫌な奴が一人もいないんです。)
こんなにも結束が生まれているのに、これを破壊しようとする意志が介在するはずがないと。
こんなにかけがえのない仲間たちと出会えて、それを裏切る動機は一つも思いつかないぞと。
そもそも生まれも育ちも違う9人の高校生を、一斉に殺害しなければならない理由などあるはずがないだろう、と。
この赤字の部分だけで超A級のミステリーです。
この理由を創造した著者に脱帽です。
そして4巻後半から、驚愕の謎解明編が始まります!
・9人の共通点は一体何だったのか
・9人を一斉に殺害しなければならなかった理由は何なのか
・刺客の正体とその動機は?
・最初に偶然発見した宇宙船は何だったのか
・彼らは最終目的地にたどりつけたのか
ぜひ5冊一気読みをして確かめてみてください!
ジャンプの3原則「努力・友情・勝利」に加えて、
勇気、愛情、笑い、哀しみ、喜び、希望、絶望といったあらゆる感情表現、
最大級の魅力的な謎とSF的ギミックの大量投入、
完璧な伏線回収と気持ちのいい大団円。
文句なし。
完璧です。
完璧すぎて怖いくらいです。
誰にでも薦められて、誰もが面白いと思うであろう作品です。
こんな作品はそうそうありませんよ。
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