【マンガ】『二月の勝者』(1-2巻)―ホラーより怖い受験戦争
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『二月の勝者』高瀬志帆 / 小学館
一部の子どもは「早く大人になりたい」と願い、
一部の大人は「子どもに戻りたい」と願うものです。
僕はどちらでもありませんでした。
大人になった今「学生時代に戻りたい」と1ミリも思わないのは受験があるからです。
受験というイベントが死ぬほど嫌でした。
このマンガは「受験マンガ」です。
「受験マンガ」といえば『ドラゴン桜』(作:三田紀房)が有名ですが、このマンガとは対象読者(作者や編集部が想定しているメインターゲット層)が違います。
『ドラゴン桜』が受験生本人たちに向けてのもの。
『二月の勝者』は受験生の子どもをもつ親に向けてのものです。
前者は大学受験、後者は中学受験です。
このマンガでは受験のための学習塾業界の裏事情が詳細に描かれています。
冒頭の3ページですべてを物語っています。
「自分は天才とでも思っているのか?
君たちが合格できたのは、父親の「経済力」、そして母親の「狂気」」
超久しぶりにマンガを読んでいてゾッとしました。
確かにその通りなんですが、改めて言葉にされるとメチャクチャ怖いですよね。
中学受験というのは現代社会の狂気的ホラーなんだと思います。
韓国は日本よりもさらに厳しい受験戦争だと聞いたことがありますし、
中国では大学受験は一発勝負で、その1回で人生が決まるらしいです。
プレッシャーとストレスが半端じゃない。
日本では落ちても浪人すればいいからまだマシなのでしょうか?
受験というシステムを取り入れてる国ではどこも似たようなものなのかもしれません。
逆に、受験という概念がない社会や国家では若者はどうやって過ごしているのでしょうか。小さい頃から受験に専念しなくていいから、青春時代をぜんぶ遊ぶことに使えるのでしょうか。そういうわけでもないでしょう。内戦だったり、貧困だったり、子供の頃から労働力として社会に組み込まれていたり、色んな苦労があるはずです。
受験というシステムを無くせばOKなのかといえば、それもまたそういうわけにはいかないでしょう。
そもそも受験というのはなぜ生まれたのか。
受験というのはつまり、「学問で身を立てれば出世できる」という成功(成り上がり)への道として開設された唯一のルートだったはず。
それまでは身分制度でガチガチに固められて、選択できる職業や結婚相手も限定されていたわけで、人生の自由度を上げるためには勉強していい学校に入るしかなかった。
でもそれは初期の話であって、現在では職業選択はほぼ自由です。
自由に生きるためにそこまで「学歴」が重要なわけではなくなったし、人生を保障してくれるものでもなくなりました。(学歴があった方が有利かも、という程度)
ではなぜ小学生から受験しないといけないのか。
その理由の一端がマンガ内で示されています。
本当に自分が今現在小学生でなくてよかった。
受験生の方はこのマンガを読まない方が精神衛生上よいかもしれません。
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