【マンガ】『アヴァルト』(1-2巻)―世界観の設定が天才的に上手い
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『アヴァルト』光永康則 / 講談社
ある日、宇宙飛行士?の主人公・ロイドは冷凍睡眠から目が覚めた。
宇宙船内には仲間の乗組員の姿はなく、一人がミイラ化状態になっているのを発見する。ミイラの乗組員はゲームをやりながら死んでしまったように見える。彼の座っていた座席のモニターにはゲームサーバが1万年稼働しているログが残っていた。
(ロイドは1万年冷凍睡眠していたようだ。)
地球に交信を試みるも返答はなし。
地表の様子を観察したところ、人類が死滅したわけではなさそうだがその数は激減し、後退したわずかな文明を残して細々と生き延びている状況のようだ。
1万年間稼働していたゲーム(RPG)のマップと地表の配置が一致したことから、地球と自分に何が起きたのかを知る鍵はゲームにあると推測し、ロイドは過去に使っていた自分のアバターを使ってゲームにログインし、世界を確認しようと試みる。
地球では本来のゲームには登場していなかったモンスターが人々を襲って、街を破壊していた。そこへ自らを「神」と呼ぶ巨人たちが現れ、モンスターたちを倒していく。
一見、人類を助けたかのように思えるが、人間の数を適当に減らしたところでストップをかける意味でモンスターを排除していただけに過ぎなかった。
「神」は反抗的な人間は許さず、彼らをも斬殺してしまう。
母を殺された少年は、「神」に復讐を誓う。
「神」の殺戮行為から少年を守ったロイドは、地下迷宮のダンジョンに挑む。
そこに「神」を倒す方法や、世界の謎を解く鍵がある。
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『怪物王女』のときからそうですが、読者の想像のナナメ上をいく設定・世界観を構築するセンスに脱帽です。よくこんなこと考えつきますね。
独特な世界観を構築しても、それを上手く面白いストーリーとして展開させるのは別の技量が要求されます。それらが両立されているのが素晴らしい。
世界観の構築に注力しすぎると、ストーリーやセリフが説明的になりがちで読者が共感しにくくなってしまうという危険が発生しますが、それを見事に回避しています。
情報を小出しにして読者を混乱させず、かつワクワクさせる展開を描けるのは天才の証です。
「神」が宇宙船の位置を特定し、地表から岩を投擲して宇宙船を破壊したのには驚きました。主人公は宇宙船という安全圏にいたのではなかったのです。
宇宙船が爆発したときは
「おいおい、主人公死ぬやん。どうやって助かるわけ?」
と心配になり、ロイドは主人公ではなかったのかと思ったりもしました。
流石、ストーリーテラーと呼ばれる作家さんですね。
先の展開がまったく読めません!
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