【ノンフィクション・自伝】『天才はあきらめた』―南海キャンディーズ山ちゃんの軌跡
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『天才はあきらめた』山里亮太 / 朝日新聞出版
南海キャンディーズ山里亮太さん(以下、山ちゃん)の自伝のような内容です。
まあ、山ちゃんのラジオ「不毛な議論」や他のバラエティ番組などで大体は知っていることが書かれていましたが、それは僕が山ちゃんのファンだからで、山ちゃんのことをあまり知らない方が読めば、彼がものすごい努力家であり強い精神力を備えておられることがよく分かります。
読後に思ったのが、本当に自分の人生をさらけ出して生きているんだなということ。
恥ずかしいことも情けないことも全部世間にさらけ出して、さらにそれを「笑い」にまで昇華させている覚悟と技術。
たとえ芸人だろうと人前ではカッコつけようとしてしまうし、世間に良いとこみせたいと思ってしまうもの。
そういう浅はかな考えも持っているダサさすらもさらけ出せる強さ。
こういう人を信用できずに、一体どんな人を信用できるのでしょうのか。
彼のことを嫌う人がいるみたいですが、僕には理解できない。
彼を嫌う人こそ、僕が嫌いな人種です。
劣等感や嫉妬をガソリンにして生産的なことに打ちこめる人は素晴らしいと思います。
ガソリンへの変換が普通の人には難しい。
多くの人は敗北を見て見ぬフリをして現実逃避したり、非生産的なことに時間を費やして傷の治りを待ってみたりしてしまうものです。
苦しい現実と向き合ってそれでもなお戦おうとする、そして結果を出すのはめちゃくちゃしんどいものです。
なぜここまで頑張れるのでしょうか。
怒りや嫉妬をエネルギーにできる変換機を搭載するにはどうしたらいいのでしょうか。
嫉妬するにも技術と才能が必要ということでしょうか。
巻末のオードリー若林さんの解説にも唸らされます。
山ちゃんを身近で見てきた同業者ならではの視点。
お互いに本当に尊敬し、認め合っていることが分かる素晴らしい解説でした。