【小説】『恩讐の彼方に』―復讐を優先するな【PSYCHO-PASS SS case.3】
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紙の本も読みなよ / A-key-Hit
『恩讐の彼方に』菊池寛 / 岩波書店ほか
⇧今からちょうど100年前(1919年)に書かれた短編です。
紙の本版は岩波書店、新潮社、角川、筑摩書房など多くの出版社から出ています。
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【小説】『恩讐の彼方に』―復讐を優先するな【PSYCHO-PASS Sinners of the System case.3】
<『PSYCHO-PASS SS case.3』について>
『PSYCHO-PASS Sinners of the System』は2019年1月から3ヶ月連続公開された劇場版三部作です。
2019年10月24日から放送のテレビアニメシリーズ第3期を控え、すでに劇場版DVDの販売やレンタルは始まっています。
『恩讐の彼方に』は、劇場版アニメ『PSYCHO-PASS Sinners of the System case.3』のタイトルでもあります。
作中に実際にこの本が登場し、テーマがリンクしています。
<『PSYCHO-PASS SS case.3』のあらすじ>
友人の復讐のために槙島聖護の殺害を果たした狡嚙慎也は、日本から脱出してアジアを転々とし、チベット・ヒマラヤ同盟王国にやって来ました。
そこでは様々な勢力が武力衝突を繰り返しており、内戦状態にありました。
難民の避難バスが武装ゲリラに襲われている場面に遭遇した狡嚙は、銃撃戦の末にバスの乗客たちを救うことに成功しました。
そして、そのバスに乗っていた少女・テンジンは狡嚙の強さを目にして、「先生になって欲しい」と彼に依頼しました。
実はテンジンは6歳の時に両親を武装ゲリラに殺害されており、彼女は仇を討つために犯人を捜していたのです。(現在は10代半ばくらい)
つまり「先生」とは「戦い方を教える先生」ということです。
「人の殺し方を教えることは出来ないが、身を守る方法は教えてやれる」と言って、狡嚙はテンジンの依頼を承諾しました。
テンジンの父は日本人でした。
そして彼の遺品の一つに、菊池寛の短編小説『恩讐の彼方に』がありました。
しかしテンジンは日本語が読めなかったので、今まで内容を知ることができませんでした。
狡嚙に出会えたことで、テンジンは彼に読み方を教わりながら少しずつ読み進めていくことにしました。
小説は復讐に関係する話です。
狡嚙は復讐に燃えるテンジンに危うさを感じます。
そして「復讐なんて命を賭ける価値は無い。一度でも人を殺せば、殺す前の自分には戻れなくなる」と諭します。
ある日、彼らは難民申請のために役所へやって来ました。
そこでテンジンは偶然にも両親の仇である人物を発見します。
果たして彼女は、復讐を果たすのでしょうか。
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<小説のあらすじ>
江戸時代(西暦1700年前半)。
主人公の市九郎は、主君の三郎兵衛の愛妾・お弓と密通しました。
そのことが三郎兵衛にバレて、処罰として彼が今まさに斬られようとしている場面から物語は始まります。
市九郎は自分が悪い事をしたと思っていたので、反抗するつもりは最初はありませんでした。
しかしいざ斬り殺される段階になったとき、「どうせ死ぬのだから」とつい反撃してしまい、三郎兵衛を殺害してしまいます。
主君殺しは大罪なので、市九郎はお弓にそそのかされて一緒に逃げ出します。
やがて二人の所持金は底をつき、美人局から強請、最後には盗賊になって人々から金を取るようになりました。
昼は茶店、夜は強盗を働く毎日が過ぎます。
ある日、豪農の若い夫婦が店にやってきました。
市九郎はいつものように店から遠く離れた場所に先回りして、彼らを襲って殺害し、身ぐるみをはいで店に帰って来ました。
しかし彼はこの殺人に良心の呵責を覚えてしまい、「女が付けていた高価なかんざしを盗り忘れているよ」というお弓の言動が浅ましく感じました。
もうお弓と一緒に暮らしたくないと思った市九郎は家を出て、浄願寺に駆け込みました。
市九郎は寺で事情を説明して自首する意志を示しましたが、僧侶に「悪行の報いを自ら受けるのも一法だが、仏道に帰依して、衆生済度のために、身命を捨てて人々を救うと共に、汝自身を救うのが肝心だ」と言われます。
それを聞いた彼は寺で修行を重ね、人々を救済するための旅に出ることにしました。
諸国を回る中で、市九郎は毎年何人も事故で死人が出ている「鎖渡し」という旅の難所を知りました。
そこの岩壁を通過するときに、人々が足を滑らして崖下に転落してしまうのです。
市九郎はそこで天啓を受けました。
その岩壁を掘り進んでトンネルを作り、隣の村までつなげれば、誰も死ななくて済みます。毎年「鎖渡し」で10人近く亡くなっているのなら、このトンネルが完成して10年経てば、100人の命を救うことになると。
これまで何人もの罪なき人の命を奪ったことに苦しんできた彼は、ついに贖罪方法を思いついたのです。
しかし岩壁は固く巨大で、貫通するほどの穴を掘ることなど絶対に不可能だと皆からは笑われ、市九郎に協力してくれる者は誰もいませんでした。
仕方なく彼は独りで掘削作業を始めます。
人々に馬鹿にされようと、彼の作業は休まずに続けられました。
何年も経つにつれて、市九郎の執念に感化された村人たちは、ついに彼に協力するようになります。
10年を超え15年を超え、市九郎は痩せ細り、長年の作業がたたって、もはや満足に歩けず、目も見えなくなりました。
それでもなお掘り続ける姿に、村日たちは尊敬の念を持つようになります。
そんなある日、かつて市九郎が殺害した主君の息子・実之助がやって来ます。
彼は長い間、父の仇を討つために諸国を旅して市九郎を捜していたのです。
実之助はようやく復讐の相手を見つけ出せたことに興奮します。
ところが村人たちは彼の行動を阻止しようと立ちはだかりました。
果たして、実之助は復讐を果たすことができるのでしょうか。
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<まとめ>
小説『恩讐の彼方に』も、『PSYCHO-PASS SS case.3』も、復讐を巡る物語です。
「復讐なんて優先するものじゃない」
「復讐なんて命を賭ける価値は無い」
どちらもそんなメッセージが込められています。
特にこの小説では、
復讐がどうでもいいと思えるくらいの喜びに出会える瞬間が人生にはあり、
復讐にとらわれてるとその瞬間を見逃すぞと諭されているようです。
小説は30ページに満たない長さですが、読後に深い感動に包まれるでしょう。
順番としては、この小説を読んでから、『PSYCHO-PASS SS case.3』を鑑賞した方が理解しやすいかと思います。
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【小説】『恩讐の彼方に』―復讐を優先するな【PSYCHO-PASS Sinners of the System case.3】